2017.06.28
783 view

ニッポンの蔵元へ行こう 【山形県・寿虎屋酒造】

全国各地の酒蔵と銘酒を訪ねる「銘酒 蔵元探訪記」、今回ご紹介するのは、山形県山形市でおよそ300年の歴史をもつ蔵元、寿虎屋株式会社です。
地元産の原料にこだわり、山形ならではの酒造りを目指す寿虎屋酒造。2017年、日本酒の分野で「GI-地理的表示 山形」の取得を推進し、山形の地酒の世界進出を主導しています。代表取締役 大沼幹雄さんにお話を伺いました。

水が支えた300年

江戸享保年間、八代将軍、徳永吉宗の時代に創業して、およそ300年の歴史があります。私で16代めになります。酒質としましては、軟水で仕込むお酒なので柔らかい味わいです。きつい男酒ではなく、ふくよかでやさしいなお酒になっております。平成元年に、山形市内の七日町から、こちらに蔵を移しました。移転先を決めるにあたっては、なにしろ、水が命なものですから、県内の東西南北ボーリングをしてまわって水質を検査した結果、ここに湧き出す高瀬川の伏流水が、元の水質に一番ちかい、ということでここに新しい蔵を建てました。蔵の場所が変わっても、伝統の味わいはしっかり受け継いでおります。

機械と職人のハイブリッド

平成元年にこの蔵を建てるとき、大きく思い切ったのは機械の導入です。
昭和の時代は、酒造りの季節になると、蔵人が土日もなく泊まり込んで酒造りをしていたものでした。私の父の時代の酒造りです。ですが、現在は8時間労働、当社の場合ですと朝8時から5時までの通い仕事です。そうなると、夜間の温度管理をどうするかということになるわけです。麹菌も酵母も微生物ですから、24時間動き回っているわけですね。この温度管理を機械にやってもらおうと。夕方帰るときに温度をセットして、夜間、その温度からはずれると、冷却装置に水を通したり温水を通したりして温度をコントロールします。こうすることで、きっちりと温度管理が出来て安定したお酒作りができます。機械による安定した管理の上に、杜氏の感性、感覚がともなって安定的においしいお酒ができるのです。
また、麹もしっかり温度管理をした上で衛生的な環境で造りますので、「きれいな麹」が育ち、味わいもきれいなものになります。時代が求める、すっきりした香り高いお酒を提供するためにも、機械化は必要だったんです。

GI 地理的表示山形

山形というのは、東京や大阪、京都などの自治体と比較すると、まったく海外から認知されてないんです。その状況を打破するために、県内の酒造組合のメンバーが一致団結して「GI 地理的表示山形」を取得しました。これは、山形の米と山形の水で、山形の蔵人が山形の蔵で、しかも山形の麹と山形の酵母で醸した酒、さらには審査会に出品して品質を認められた商品だけにつけることができる、100パーセント山形を保証するマークです。申請から二年半かかりました。山形には日本酒の蔵が51蔵あります。そのひと蔵たりとも欠けず、全蔵がこぞって取得したのは、快挙だと思います。

寿虎屋酒造を表す3つのキーワード

●三百年の掟やぶり

動画には登場していないが、寿虎屋には名物銘柄がある。それが「三百年の掟破り」だ。三百年の蔵の歴史の中で一度も流通したことのなかった禁断のお酒、蔵の中でしか飲めなかった「無濾過の原酒」を商品化したものだ。しぼりたてそのままのお酒を蔵見学の方に飲んでもらうと、とても評判がよく、なんとか出荷できないものかと試行錯誤を続けたという。無濾過の原酒は、温度が上がると発酵が進んで味が変わってしまう。これを解決したのが、宅配業者が始めたチルド配送だった。保管から配送まで、最先端の物流技術が、300年間の掟をついに破らせたのだ。

●山形の名酒米「出羽の里」

山形オリジナルの酒造好適米、出羽の里。寿虎屋でも出羽の里で醸したお酒が人気だ。GI山形一番乗りの霞城寿、そして、その弟分と蔵人が呼ぶ「虎屋の純米」。同じ酒米を使って、まったく味わいの異なる二種類のブランド展開し、山形の酒米への強いこだわりが伺える。また、米とともに重要な水は、自社井戸から湧き出る豊富な蔵王山系伏流水を使用。鉄分の極めて少ない、良質な軟水で、やさしいお酒が仕込まれている。

●紅花の里

スタジオジブリの映画「おもひでぽろぽろ」の舞台のモデルとなったのが、寿虎屋酒造のある山形市高瀬地区。まさに蔵の建物の目前に紅花の畑が広がる。初夏になると、オレンジや朱色の紅花が一面に咲き、多くの観光客が訪れる。この風景は、華道池坊主催の「池坊花逍遥100選」で、未来に残したい日本の花風景のひとつに選ばれた。土地の気候風土の中にある日本酒地酒。この美しい情景がそのまま、やさしい味わいのお酒に宿っているようだ。

※記事の情報は2017年6月28日時点のものです。

寿虎屋酒造のおすすめ商品をどうぞ

純米霞城寿

山形セレクション認定酒。山形県産酒造好適米「出羽の里」を100%使用し、香り・味ともにバランスよく、コクのある旨口純米酒。ふくよかで優しい味わいをお楽しみ下さい。

大吟醸雄町

酒造好適米の「雄町」を48%まで磨き、落ち着いた吟香とコクのある深い味わいの酒。雄町は、日本最古の純血酒米と言われ、その深い味わいは多くのファンを持ちます。寿虎屋酒造では、本場、岡山から取り寄せた雄町を20年以上もこだわって醸し続けています。

虎屋の純米

山形県産酒造好適米「出羽の里」を使用し、穏やかで、スッキリとした味わい。飽きのこない辛口純米酒。 日本酒度+15の極辛口です。純米霞城寿とは同じ酒米から生まれた兄弟分。味わいの違いを飲み比べてみてはいかがでしょうか?

Monthly Access Ranking

月刊アクセスランキング