2017.09.28
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アルコールをゆっくり吸収させるには〈老けない人は何を飲んでいる?②〉

カルパッチョとワインの写真

ベストセラー「老けない人は何を食べているのか」の著者、森由香子さんの連載コラム。家飲みしながら健康に暮らすヒントをご紹介します。

牛乳を飲んでも胃に膜はできません

「百薬の長」ともいわれるお酒、健康的にいつまでも楽しく飲みたいものです。お酒は適量であれば老化や病気の原因とされる活性酸素の害からカラダを守りアンチエイジング効果が高まります。

 

ところが、ひとたび飲みすぎれば、カラダへのアルコール吸収量が増加し、活性酸素を大量に発生させてしまいます。活性酸素が増えすぎてしまえば老化や病気の原因をつくりカラダに悪い影響を及ぼしかねません。

 

できるだけ酔いを軽減させる、アルコールをカラダへ吸収させにくい飲み方をすることが、活性酸素の害からカラダをまもる健康的なアンチエイジングな飲み方といえるでしょう。

 

健康的でない飲み方として、空腹の状態で飲むこと、酔いがまわりやすいので何か口にいれてから飲んだ方がよいのは説明するまでもありません。では、お酒を飲む前に牛乳を飲んで、胃に膜を張ると酔いが軽減されるというのは本当でしょうか。

 

これは、都市伝説にすぎません。

 

少しは胃の粘膜の保護になるでしょう。でも牛乳は胃酸によって凝集されヨーグルトのような状態になるため、飲んでも膜が張らないことがわかっています。では、どうしたらアンチエイジングな飲み方になるでしょうか。

 

飲む前に、油やクエン酸、酢酸が豊富な食品を

それは、お酒を飲む前、あるいは飲みながら、油脂類、クエン酸、酢酸などの有機酸が豊富な料理や食物を1品必ず食べることです。

 

具体的にいえば、マリネ、カルパッチョ、生ハムとケッパー、野菜サラダにフレンチドレッシング、野菜炒めにお酢など、他にもたくさん挙げられると思います。

 

この油脂類や有機酸の摂取が酔いをなぜ軽減させるのか、そのメカニズムをラットで実験科学的に確認されたのが、早稲田大学人間科学学術院・人間総合研究センター今泉和彦氏と上越教育大学生活健康系・上越教育大学大学院の立屋敷かおる氏です。

 

両氏の研究報告(2005年The Japanese Society of Physical Fitness and Sport Medicine)では、アルコール吸収速度を遅くするために油脂類や有機酸が働くメカニズムが解説されています。まず、口の中へはいった食物は、胃の中で消化され粥状になります。これは糜粥(びじゅく)と呼ばれます。糜粥中に含まれる油脂類が胃の内分泌性因子(*1)を介して胃の運動を抑制し、食物の滞留時間を延長させる、つまり、胃内排出速度(*2)の遅延がおこり、その結果、アルコール吸収速度が遅くなり酔いにくくなるというのです。

 

ほかにも実験により、クエン酸、酢酸のような有機酸でも、同じ効果が明らかに認められたそうです。また小腸におけるアルコール吸収速度は、胆汁や胆汁酸によっても低下することも確認されました。胆汁や胆汁酸は、油脂類によって分泌が活発になるのです。

 

いかがでしょうか。ポイントは、油脂類、クエン酸、酢酸です。日ごろから、活性酸素が大量に発生しないよう油脂類や有機酸を含むおつまみを食べてアルコールをゆっくり吸収させ、アンチエイジングな飲み方をしましょう。

 

 

(*1)胃の内分泌性因子:胃抑制ペプチド、gastric inhibitory peptide (GIP)。十二指腸粘膜のK細胞から分泌されるペプチドホルモン。胃液分泌と蠕動運動を抑制。幽門を通過する糜粥の酸性度と脂肪及び脂肪酸含有率が高いとGIPがより多く放出され、酸性糜粥の十二指腸への排出をおくらせる。

 

(*2)胃内排出速度:胃から小腸へ移行する速度

 

 

※記事の情報は2017年9月28日時点のものです。

 

森 由香子(もり ゆかこ)

森 由香子(もり ゆかこ)

管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。クリニックにて栄養指導、食事記録の栄養分析、食事管理業務に従事。フランス料理の三國清三シェフととともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験をもつ。管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の立場から食事からのアンチエイジングを提唱している。「老けない人は何を食べているのか」「病気にならない人は何を食べているのか」「体にいい『食べ合わせ』」「太らない人の賢い食べ方」「老けない人の献立レシピ」など著書多数。大学院(人間生活科学専攻、健康-栄養科学専修)在学中。  ⇒管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士|森 由香子 公式サイト  

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