2017.11.01
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燗酒が恋しい季節。カンタンお燗術のご紹介です。

熱燗をとっくりから盃に注ぐ社員

日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する日本酒ラヴァー、簗塲友何里(やなば ゆかり)さん。家で飲む日本酒の魅力と楽しみ方を、ゆるりと綴っていただきます。今回は「秋深しお燗酒の季節」というわけで、家でおいしくお燗をする方法を伝授していただきました。

お燗の季節到来!

すっかり寒くなり、お燗酒が恋しくなる季節がやってきました。秋も深まるこの季節、温かい日本酒のおいしさにのんびり浸るのはいかがでしょう。でも家でどうやって日本酒を温めて良いのやら。レンジでチン? お湯を沸かして湯煎する? お燗機で温める? 今回は、ゆっくりのんびりお燗と向き合う最高の時間をすごすための、失敗しない方法をお伝えしていきます。

どんな日本酒がお燗向き?

お燗に向く日本酒は、味わいの濃い、しっかりとしたお酒です。以下のキーワードを参考にしてみてください。

 

◯茶瓶・緑瓶に注目
まずざっくりと言って、お醤油が入っているような茶色い瓶に入っている日本酒はお燗に向いている確率が高いです。なぜなら、茶色の瓶や緑色の瓶は、リターナブル瓶といって、空き瓶を回収してまた使用する瓶で、酒蔵にとっては最もコストが低い容器です。瓶にお金をかけるかわりに、味で勝負。しっかりとした酒造りをしている可能性が高いのです。そういう蔵のお酒はお燗の温度に耐えられ、味わいが増すしっかりしたお酒が多いと思います。また、酒屋さんで購入する時に、冷蔵庫ではなく室温で保管されているものも温めても味わいは崩れにくいと思います。

 

◯精米歩合が低いお酒
一部例外もありますが、一般的には、熟成古酒や精米歩合が70%など、お米をあまり削っていないものはお燗に向いています。また、造りの種類では「山廃」や「生酛造り」の日本酒はコクがあり、温めても美味しいです。

 

◯火入れ
流通しているほとんどの日本酒は、火入れと言って、発酵を止めて殺菌するために加熱処理を2回行って出荷されています。しっかり火入れがされている日本酒は温度変化に耐えられる質があると言えます。ラベルに「生酒」と書いてあり冷蔵庫に保管されてるものは、火入れをせずに出荷されています。お燗に向くのは「生酒」と書かれていないお酒です。また、火入れしたお酒はラベルに「火入れ」と表記してある場合もあります。

 

◯フルボディ?の日本酒
私の場合は、まずは冷や(室温)で口に含んでみて、ボリューム感と奥行きが感じられ、複雑な味わいががあれば、よし、温めてみよう! と決断します。ワインで言えばフルボディータイプの日本酒です。こういうお酒はお燗に向いていることが多いです。試してみると、その日本酒の新たな一面が見えてくるかと思います。あとはなんといっても、お燗向きの日本酒が得意な蔵名を覚えるのが、安心して日本酒を温められるコツでしょうか。

温めてみましょう

ではさっそくお燗をつけてみましょう。

 

◯電子レンジで温める
レンジでチン! は、こだわりが感じられない方法だ、、というご意見が聞こえそうですが、同じ日本酒を同じ量で、同じ時間温めれば、同じ味わいになるというのは良い点です。お手軽に温かい日本酒が飲みたいという場合には、ぜひどうぞ。ただし香りが飛ばないように容器にラップで蓋をして、ちょっと冷まして味を落ち着かせてから飲むことをお勧めします。急激に温めた後はとんがった味がして、お燗の醍醐味である丸い柔らかみが感じにくいです。また、徳利の場合は温度ムラができやすいので、できれば「片口」にラップをかける方がムラなく仕上がります。片口とはお酒やお醤油などを小分けにする時に使う、片側に口のついた容器。お酒をいれるのには重宝します(下の写真)。

レンジから取り出す時は、大変容器が熱くなっているので、注意です!

 

◯お鍋で湯煎
次のおすすめは鍋で湯煎する方法です。私は海外のイベントでお燗を付けるときもこの方法を使います。特別な機材もいらないので、手軽でかつ美味しいお燗が付けられる方法です。
まず、日本酒を徳利に満杯ではない量で入れ、徳利が半分ほど浸かる量のお湯を鍋で沸かし、火を止めて徳利を入れます。こうして、日本酒からふわっと香りが立ってくるまで温めましょう。

鍋でお燗をつけている写真

お湯の温度ですが、私は80度くらいのお湯でお燗を付けています。80度の少なめのお湯で、徳利の中に入ったお酒の対流でじっくりと温度をあげていきます。煮立ったお湯で、あまり急激に温度を上げるとお燗嫌いの方が感じる特有のツンとした強い香りがしてしまいます。ゆっくりと温度をあげることで、リラックス効果のある優しい香りを楽しめるのです。
この時、もし用意できるのであれば熱伝導率が良いチロリ使うのもお勧めです。チロリは日本酒を温めるための注ぎ口がついた容器です(下の写真)。これにお酒を入れ、同じ鍋で徳利も同時に温めましょう。お燗がついたらチロリから徳利へ移し替えてお楽しみください。

そうそう、温度を測るために料理用の温度計があると安心ですね。


◯お燗機を使う
お湯の温度を一定に保ってくれる、お燗機というものもあります。家庭用のものも色々あるので、お燗好きの方は備えておくとらくちんです。
そういえば、お燗機の代わりに、炊飯器を使っている方もいらっしゃいました。炊飯器の保温機能を使ってお湯の温度を一定に保ち、ゆるゆる晩酌を楽しむのです。それも良いアイディアかもしれません。

おすすめのお燗機は、「かんすけ」です。陶器でできた容器にお湯を入れ、保温しながら、付属のチロリでお燗をつけます。

気になる温度は?

お燗の温度、以前にも「5℃ごとに違う日本酒の名前と味わい、知ってますか?」でご紹介しましたが、お燗の温度は下記をご参考に。

 

人肌燗 35℃
ぬる燗 40℃
上燗 45℃
熱燗 50℃
飛び切り燗 55℃

 

温度計で測って、40度ぐらいになればぬる燗、熱燗なら50度ぐらいが飲み頃です。火入れをした日本酒なら熱燗、香りを飛ばしたくないようならぬる燗が良いでしょう。

 

いつものお酒の新たな一面を見つけましょう!

皆様も、好きな温度を見つけながらゆっくりとお燗を楽しんで見られてはいかがでしょうか?家にお持ちの日本酒の新たな味わいを発見できるチャンスです。冷やで飲んであまり好みの味ではない日本酒も、一度温めてみてはいかがでしょう? おいしいお酒に変身するかも。そして、プロが付けるお燗をお店で試してみて、自分のお燗とどこが違うか体験してみる。それもまた日本酒の楽しみ方のひとつです。一度はまったら抜け出せない、お燗の世界へようこそ!

 

※記事の情報は2017年11月1日時点のものです。

編集部おススメのお燗がおいしいお酒

純米霞城寿

山形セレクション認定酒。山形県産酒造好適米「出羽の里」を100%使用し、香り・味ともにバランスよく、コクのある旨口純米酒。ふくよかで優しい味わいをお楽しみ下さい。

小阪酒造、さんやほうの写真

さんやほう

関市の農家の方々が、田植えからいっさい農薬をつかわずに栽培したお米だけで仕込みました。自然がそのままのおいしいお酒です。

越路乃紅梅 特別本醸造

新潟県産五百万石を磨き上げ、香りと味のバランスを追求したお酒です。低音ビン熟成により実現した、やさしい香りと口当たり、そして心地よい後味をお楽しみください。

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山形県産酒造好適米「出羽の里」を使用し、穏やかで、スッキリとした味わい。飽きのこない辛口純米酒。 日本酒度+15の極辛口です。純米霞城寿とは同じ酒米から生まれた兄弟分。味わいの違いを飲み比べてみてはいかがでしょうか?

簗場友何里

簗場友何里

やなば ゆかり 日本酒専門店SAKE Scene 〼福 代表 東京で日本酒と発酵フレンチのマリアージュの店を経営。発酵フレンチとは、酒粕や味噌や醤油といった発酵食品をソースに使ったフレンチ。アミノ酸が多く含まれ、日本酒との相性が良くなります。 外資系メーカーから転身し、小規模蔵元の日本酒、燗酒の魅力を世界へ広める事業を開始。ポジティブ、好奇心旺盛、思い立ったら吉日を胸に即実行!趣味は歌舞伎鑑賞。 国際酒師 SSA認定 Certified Sake Sommelier , Introductory sake professional講師 日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート

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