適度な飲酒量を計算しよう〈老けない人は何を飲んでいる? ⑨〉

「お酒は適量を」とよく言われますが、ではその適量はどのように計算すればいいのでしょうか。

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「適度な飲酒」とは、一日あたり20gが目安。

職業柄、どのようなアルコール飲料ならばカラダによいのですか? ときかれることがあります。ビール、焼酎、ワイン、日本酒、ウイスキー、酎ハイ、カクテルなど、様々な種類がありますが、カラダに良いアルコール飲料はこれだ! というエビデンスはいまのところありません。

私は、アルコール飲料を飲みながら健康が維持できるかどうかは、飲酒量しだいというところではないかと思います。ご存知のとおり、アルコールの代謝能力は個人差があるので、アルコールの適量も個人によって差があるものの、ひとつの基準として、厚生労働省が示している数値があります。

21世紀に入り厚生労働省が策定した、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針「健康日本21」では、「節度ある適度な飲酒」は、1日平均、純アルコールにして約20g程度とされました。この改訂版である平成25年からの計画「健康日本21(第2次)」では、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」は、1日当たり純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上とされています。

人は、自分の飲食したもの、その量を忘れがちです。そして知らないうちに、飲酒量がどんどん増えていきます。毎日の晩酌、宴会、友人や同僚との飲み会で、純アルコールにしてどのぐらい飲んだか把握している人はほとんどいらっしゃらないでしょう。

健康的な飲酒ライフをこれからも続けていくうえで、一度、飲酒量を把握することをおすすめします。

自分の飲んでいるアルコール量を把握する計算式。

アルコール量は、以下の式で求められます。

アルコール量(g)
= 酒量(ml)× アルコール度数(%)/100 × 0.8(アルコールの比重)

たとえば、アルコール度数5%のビール(500ml)に含まれる純アルコール量は、500ml×5/100 (5%)×0.8=20gとなります。前述の「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」に照らせば、男性なら500mlのビール2缶、女性なら1缶がボーダーラインとなるわけです。

ある疫学調査によるおもしろい調査結果を紹介します。

INTERMAP(International Study of Marco-and Micronutrients and Blood Pressure)の疫学研究(1997~1999年に実施された栄養素摂取と血圧に関する国際共同研究、40~59歳の男女、4680人に対して、4日分の24時間思い出し法による栄養調査と1週間思い出し法による飲酒調査)によりますと、一般の日本人を対象として、中国、米国、英国の4か国で比較すると、日本人男性の飲酒量が最も高く、女性の飲酒量も英国についで2位、米国よりも高い数値でした。日本男性の平均飲酒量は、純アルコールで27g程度という報告がされています。ちなみに、このときに日本で調査対象となった県は、北海道、富山県、滋賀県、和歌山県でした。

健康的な飲酒は、節度ある適度な飲酒を実践することです。自分の飲んでいるアルコール量を把握して、肝臓に負担をかけない飲酒を心がけましょう。


※ 記事の情報は2018年2月8日現在のものです。
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