昼酒が酔いやすいのは理由があった〈老けない人は何を飲んでいる? ⑩〉

その理由は、最近よく耳にする「時間栄養学」に関係があるのです。

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注目を集める体内時計と「時間栄養学」

「時間栄養学」という学問をご存知でしょうか。

「時間栄養学」とは、これまでの何をどれだけ食べたらよいかという従来の栄養学の考え方に加えて、いつ食べたらよいか、食べる時間を加味したものをいいます。

近年の研究により、私たちのカラダの中には、体内時計とよばれるカラダのリズムを刻む(生体リズム)時計が組み込まれており、その体内時計は、数種類の時計遺伝子により管理されていることがわかりました。

2017年には、体内時計研究がノーベル医学生理学賞を受賞したことから、「時間栄養学」は、とても注目をあびる学問になりました。

「時間栄養学」では、アルコールによる酔いに対する体内時計の作用も研究されており、その成果も明らかになりつつあります。たとえば、ラットを用いた研究ですが、アルコール代謝や酔いにも、生体リズムが関与しており、たとえば早朝に飲酒すると、酔いが覚めにくく、また、生体リズムが乱れることでアルコール性脂肪肝が亢進することが判明しています。

分解酵素が減る時間帯はお酒に酔いやすい

少し詳しく説明しましょう。アルコールの代謝は、アルコール脱水酵素(ADH)の働きによりアセトアルデヒトになります。次に、アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)で分解され酢酸になり無毒化されます。このアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)は、お酒が強い人、弱い人を決める酵素で、どちらかで聞いたことがあると思います。

このアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の分泌量には、生体リズムがあり、1日のなかで増減があることがラットを用いた研究によりわかっています。つまり、このセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)がたくさん分泌されている時間帯は、酔いにくく、少ない時間帯は酔いやすいのです。

ラットの実験でいちばん酩酊が長く続くのは、早朝にアルコールを投与したとき。夕方から真夜中にかけては、酩酊が長く続かないことがわかりました。

さらに、早朝の摂取は、他の時間帯に比べて血中のアルコール消失が少し遅い傾向にある結果となりました。

ラットの研究データだけでなく私たち人間も、朝や昼など日中に飲酒すると酔いが回るのが早いと感じることがよくあります。そのことを考えると、これは納得のいく研究結果ではないかと思います。

近い将来、いつどのように飲酒すると私たちの生体リズムにやさしいのか、健康維持に役立つのか、明らかになっていくことでしょう。


※ 記事の情報は2018年3月13日現在のものです。
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