バーでカクテルをスマートに注文するには<お酒のたしなみ入門④>
バーでカッコよくカクテルを注文してみたいけれど、ちょっとハードル高め。今回はバーテンダー・林伸次さんが、カクテルの上手なオーダー術をわかりやすく教えてくれました。
あれ、実は全部「カクテル」だということはご存じですか?
カクテルの定義は、「お酒と何かをミックスした飲み物」です。ウイスキーを炭酸で割った「ハイボール」も焼酎を炭酸で割ってレモンを絞り込んだ「レモンチューハイ」も「カクテル」です。カクテル、そんなに難しいものではありません。
まずは「ロング」か、「ショート」か
こういう長いグラスに入っていて、スピリッツやリキュールを炭酸やジュースで割ったカクテルをロングカクテルと呼びます。
こういう小さいグラスに入っていて、シェイカーを使ったり、ミキシンググラスを使ったカクテルをショートカクテルと呼びます。
カクテルには「ベースのお酒」というものが必要です。土台ですね。
例えば、カシスソーダはカシスリキュールに炭酸を足したロングカクテルですが、「カシスリキュール」がベースです。あるいは、モヒートは、ホワイトラムとミントとライムと砂糖に、炭酸を足したロングカクテルですが、「ホワイトラム」がベースです。
たまに「柑橘系がベースのカクテルをお願いします」という言葉を聞きますが、それは間違いですね。その方は「オレンジやグレープフルーツ、あるいはレモンやライムを使ったカクテル」のことを考えているはずなので、「柑橘系の果物を使ったカクテルをお願いします」と言うのが正しい注文です。ですので、「ベース」という言葉を使って注文したいときは、「ジンをベースにした、何かさっぱりしたカクテルをお願いします」とか、「ウオッカをベースに柑橘系の果物を使って、軽めのカクテルをお願いします」というのが正しい注文の仕方になります。
そして、その時に「ロング」か「ショート」を伝えると、バーテンダーはお客様の要望がわかって、もっと作りやすくなります。
ショートカクテルは、多くの場合、シェイカーを使ったカクテルです。例えば「ギムレット」という有名なカクテルがありますが、ギムレットはシェイカーの中に、ジンを45mlとライムジュースを15ml入れて、氷を足してシェイクしたカクテルです。
でも、「せっかくバーに来たんだから、シェイカーを使ったカクテルを飲みたい」って時、ありますよね。そんな場合は「ショートで、飲みやすくて度数が低いカクテルを何かお願いします」と言えば、度数が低めのカクテルが出てきます。
そうではなくて、ゆっくりと一緒に来た人と話ながら飲みたい、という時は、「ロングカクテル」をおすすめします。「ウオッカをベースに何か飲みやすいロングカクテルをお願いします」といった感じでしょうか。この時、「炭酸は苦手です」とか、「甘すぎるのは苦手です」といった感じで好みを伝えるのも良いかと思います。
あと、バーってバーテンダーの後ろにすごくたくさんの「ボトル」が並んでいますよね。そのボトルに指さして、「そのお酒は何ですか?」と質問するのも楽しいです。
「これはカルバドスというリンゴのブランデーです」と答えたとしますよね。それに対して「では、そのリンゴのブランデーをベースに、何かショートカクテルを、(あるいはロングカクテルを)お願いできますか」って注文すると、バーテンダーが色んなカクテルをすすめて、作ってくれます。
場数を踏むほど、美味しいカクテルにたどり着く
例えば「そんなにお酒に強くないので、軽くて甘いのを」といった感じでも大丈夫です。良いバーであればあるほど、良いバーテンダーであればあるほど、そういう「なんとなく」の注文で、その人にぴったりのカクテルが出てきます。
バーテンダーは、お客様をよく見ています。服装や髪型なんかで、「普段からバーに慣れているんだろうな」とか「こういうカクテルを美味しいと感じるだろうな」っていうのを観察して、そういうカクテルを作ります。是非、お試しください。
「私をイメージして何かカクテルを」という注文ありますよね。
でもそれは「初めてのお店」では危険です。そういう「ゲームみたいな注文」は店側もお客様側も、「どう転ぶかわからない」ので、出来れば避けたいところです。
何度か通って、「顔や好み」なんかも覚えてもらって、「大丈夫そうだな」と思ったら、言ってみるのもありかもしれません。そういう関係になったときに、「私のイメージのカクテル」、たぶんすごく美味しいと思いますよ。是非、バーに通って試してみてください。大人の美味しさです。
おさらいです。
①まず、「ロング」か「ショート」です。ロングはゆっくり飲めます。ショートはシェイカーを使ってキンキンに冷えたのが出てくるのですぐに飲んだ方が美味しいです。
②その次は「ベース」です。ウイスキーがベースなのか、カシスやディタのようなフルーツリキュールがベースなのか伝えましょう。
③アルコールの「強い、弱い」も伝えた方が良いです。炭酸や柑橘系の好みも伝えましょう。
④そして、慣れてくると「そのボトルは?」とか「さっぱりした感じ」といった感じで注文できると、少しずつ上級者になれます。
カクテルの注文の仕方、わかると世界が広がりますよ。
※記事の情報は2019年2月18日時点のものです。
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