昔ながらの「卵酒」は本当に風邪に効くのか?

風邪気味の時に飲むホットドリンクとして昔から親しまれてきた「卵酒」。でも、本当に効くの? そんなモヤモヤを、森さんが管理栄養学のアプローチで解き明かしてくれました。

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風邪気味のときには「卵酒」?

秋から冬にかけてだんだんと気温が下がるこれからの季節、空気が乾燥してくると風邪が流行ってきます。ご存知の通り、風邪はウイルスが体内に侵入し増殖することで発症します。鼻水、のどの痛みからはじまり、さらに進行すると咳や熱がでるようになります。風邪は引きはじめが肝心と言われますよね。いつもと異なる体調を察知して対処することで、風邪がひどくならずにすむことがあります。

「ちょっと肌寒いなぁ」など体のサインをキャッチしたら、早めの対処法として昔から飲まれている「卵酒」をおすすめします。言うまでもありませんが、風邪を引きそうなとき、私たちの体は免疫力が下がっている可能性が高いです。

そんなときに取り入れていただきたいのが「卵酒」。理由は、日本酒と卵の有効な栄養成分にあります。

「日本酒」の体温上昇効果で血流を促進

燗酒
まず、日本酒などのアルコールは体を温める効果があり、体温が上がれば血流がよくなります。血液は、体の約60兆個ある細胞に酸素や栄養を供給したり、細胞から老廃物を受け取ったりしています。

その血液の中に免疫細胞である白血球が含まれています。免疫細胞(白血球)は、体の隅々を血流にのってパトロールし、体の異物処理をして体を外的から守っています。つまり、免疫機能に作用するのです。
パトロールイメージイラスト
逆に、体温が下がって血流が悪くなると免疫細胞(白血球)の作用も弱くなり免疫力が下がりやすくなります。ちなみに、風邪を引いたときに熱がでるのは、熱に弱いウイルスを退治しようとする働きからだそうです。

「卵」の良質なタンパク質が皮膚や粘膜を丈夫に保つ

卵
次に、卵です。卵は完全栄養食品といわれるように、私たちの体に必要な栄養成分(ビタミンCと食物繊維は除く)が含まれています。特に必須アミノ酸が豊富で、卵は良質なタンパク質と言われています。タンパク質は、体の中で消化、分解されるときのエネルギー産生が高いこともあり体温を上げる効果も大きいです。

また、風邪はウイルスが皮膚や粘膜から侵入することから始まります。そのため、タンパク質をしっかりとって皮膚や粘膜を丈夫に保つことは、風邪予防につながるのです。
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他にも、卵には、ウイルス侵入ブロック効果を高めるビタミンA、免疫細胞(白血球)を強化させるリン脂質レシチン、免疫細胞(白血球)合成を助けるビタミンB2、ビタミンB6、亜鉛が含まれています。

補足ですが、日本酒にもタンパク質、ビタミンB6、亜鉛が含まれています。このようなことから、日本酒と卵は風邪予防に効果が高い組み合わせなのです。

ただし、完全に風邪を引いてからの卵酒はNG!

ただし、完全に風邪を引いてからは、卵酒は飲まないほうが良いでしょう。なぜなら、アルコールが質の良い睡眠を妨げてしまうから。ぐっすり眠ったほうが回復力が高まります。また、薬を飲んでいる人であれば、薬が効きにくくなったり、薬の副作用が出たりする可能性も大きいのでご注意ください。

季節の変わり目は気温差が大きくなります。「ちょっと肌寒いなぁ」と感じたときは、「卵酒」で風邪予防をいたしましょう。


※記事の情報は2019年9月18日時点のものです。
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