甘酒は、なぜ「飲む点滴」と呼ばれるのか?
人気管理栄養士・森由香子さんによる連載コラム「老けない人は何を飲んでいる?」。今回は夏の季語でもある「甘酒」に注目! 「飲む点滴」「飲む美容液」と言われる人気の健康ドリンクですが、一体どんな栄養成分が含まれているのか? 詳しく解説します!
甘酒は、古くから日本人に親しまれてきた栄養ドリンク
「日本書記」のなかに、吉野の国樟(くす)国人が来朝し、醴酒(こさけ)〈甘酒〉をつくり天皇に献じたという記載があります。また、「甘酒売り」は、江戸の風物であり、甘味料の少ない時代には、人気の高い庶民の飲み物でありました。
そして今、現代の日本では「飲む点滴」「飲む美容液」といわれるほど滋味深い健康飲料として大人気となっています。
コンビニやスーパーへ行くと、米麹タイプ、酒かすタイプ、液体、フリーズドライ、玄米、発芽玄米、黒米など様々な原料から作られた甘酒が陳列され、選ぶのにも迷ってしまうぐらいの品揃えとなっています。
9種の必須アミノ酸をすべて含有する甘酒
では実際に、どんな栄養成分が含有されているのか、みていきましょう。
まず、体内で合成できない9種類の必須アミノ酸がすべて含まれています。必須アミノ酸は、皮膚、筋肉、臓器などのカラダを構成する成分や、酵素、ホルモンの原料となります。肉、魚、卵、大豆製品に豊富に含まれている栄養素です。
【必須アミノ酸】
- リジン
- フェニルアラニン
- ロイシン
- イソロイシン
- メチオニン
- バリン
- スレオニン
- トリプトファン
- ヒスチジン
コップ1杯の甘酒で、腸内環境が整う?
「プロラミン」です。 プロラミンは、人間の消化器官内で消化吸収されにくい難消化性たんぱく質の一種で、コレステロール低減や便通改善効果があります。2018年の金沢工業大学の尾関健二教授の研究室らが発表した報告によると、米麹と米のみから製造されている甘酒コップ1杯(約150ml)には、ヒトで機能性を発揮できるプロラミン量が含まれているとのことです。
また甘酒には、食物繊維や、善玉菌のエサとなるオリゴ糖も含まれていますので、腸内環境を整えることにも有効です。腸の粘膜は免疫細胞が集中しているため、腸内環境が良ければ免疫の活性化を高める効果も期待できます。
ほかにも、ビタミンB1、B2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸などのビタミンB群、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガンといったミネラルも含まれカラダの代謝を円滑にすすめてくれる成分がたくさん含まれています。
このように甘酒には、カラダに有効な様々な成分が高く含有されています。「飲む点滴」「飲む美容液」といわれるのが、納得できます。
甘酒を上手に取り入れて、夏バテも予防!
ストレートに飲むのもよいですが、ヨーグルト、牛乳、豆乳に混ぜ合わせたり、調味料として煮物、汁物に利用するのも味わい深くなります。凍らせてシャーベットにしていただくのもおすすめです。炭酸水で割ってのむのもおいしいですね。
甘酒は100gでカロリー約80Kcal(食品成分表)、糖質約18gと少し高めですので、摂りすぎに注意しながらお楽しみください。
※記事の情報は2019年7月17日時点のものです。
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