秋の楽しみ「ひやおろし」をさらに楽しむには?
秋、お楽しみの「ひやおろし」の季節です。今回は日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する、簗塲友何里(やなば ゆかり)さんの「ひやおろしをさらに熟成させる」お話です。
落ち着いた秋の楽しみ「ひやおろし」
外気と貯蔵庫の温度が同じくらいになった秋に、出荷される日本酒を「ひやおろし」と言います。春に造りを終え、火入れをして夏を越す。半年ほど蔵で熟成した日本酒です。
ひやおろしを更に熟成させてみましょう
私が経営するフランス料理と日本酒のレストランSAKE Scene〼福でもお客様に時々聞かれるのは、どのような日本酒が熟成やお燗に向いているのかという事。まさに、ひやおろしは、熟成に向いた酒質のものが多いです。
ひやおろしは、すでに半年蔵で寝かせていますし、早飲みしなくても大丈夫。ということで、旨味のしっかりとした、優しく丸い味わいの秋の日本酒、ひやおろしを、さらに寝かせてみるのはいかがでしょうか。さらに熟成させることで、深い出汁のような旨味が感じられるようになりますよ。
ひやおろし製造年度別飲み比べ
今年の秋桜は、優しい丸みを帯びた味わいで、綺麗に切れていく儚げだけど凛とした気品を感じる味わいです。冷酒、常温も良いですが、ぬる燗で味わうのが最高です。
ちょうど手元に、2017年に仕込まれた同じ秋桜があり、これは飲み比べてみようと満を持して開けました。ちょうど2年熟成したものです。さて、飲んでみると……
ひやおろしとして出荷されたばかりの頃の面影を残しつつ、ほど良い熟成感が、ひと味違う世界を見せてくれます。ぬる燗向きのお酒から、熱燗向きの日本酒に変身しました。ゆっくりと徐々に温めると、ふんわりと味わいが開いてきます。
日本酒を熟成させる楽しみ
長年にわたり、ゆっくりと確実に熟成し、色も褐色に変化して、お客様に飲まれる時を待っています。じっくり寝かせると味わいは椎茸の出汁のように変化して来ます。特にお燗をすると、深い出汁のような香りがして、熟成による日本酒の変化の可能性に驚きます。
日本酒の熟成には、光と温度変化が大敵。暗くて温度変化の少ない場所で保管しましょう。冷蔵庫で熟成させるのが一般的です。
旨味を味わう秋へ
※記事の情報は2020年9月15日時点のものです。
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