「女性が女性のために選んだワイン」を飲もう!

女性による女性のためのワイン審査会「サクラアワード」の受賞ワインが発表されました。

メインビジュアル:「女性が女性のために選んだワイン」を飲もう!
世界でも珍しい、女性による女性のためのワイン審査会「サクラアワード」が開催され、2月14日に受賞ワインが発表されました。サクラアワードは2014年に始まり今年で6回目。2019年は34カ国から4,326本のワインがエントリーし、日本のワイン業界で活躍する延べ560名の女性審査員がブラインド・テイスティングによる審査を行いました。

審査の結果、278アイテムが「ダブルゴールド」、1,013アイテムが「ゴールド」、715アイテムが「シルバー」を受賞(審査結果はこちらをご覧ください)。受賞ワインはFOODEX JAPAN2019(2019年3月5日〜8日)で展示され、3月5日(火)の授賞式ではダイヤモンドトロフィーと特別賞が発表されます。

編集部は、このアワードを開催する一般社団法人ワインアンドスピリッツ文化協会理事長であり、アワードの審査責任者も務める田辺由美さんに、サクラアワードへの思いや、ワイン選びのコツなどをうかがってきました。

同じ食文化で育ったプロが選んだワインだから美味しい

田辺由美さん

INTERVIEW

田辺由美 さん

ワインアンドワインカルチャー株式会社代表取締役、ワイン総合コンサルタント、ワインエデュケーター



——どのようなきっかけでサクラアワードを始めたのでしょうか。

ワインを飲む女性は年々増えてきています。日本のワイン市場は女性が牽引しているんです。しかも若い女性です。だけど皆さん、飲みたくても何を基準に選んだらいいかわからない。1500円出したのにまずかった、というような失敗をしたくないから、ついもっと安いワインを買ってしまうんですね。

そうじゃなくて私は、ワインの美味しさが伝えられるような、1500円から3000円くらいの、手に届くような価格帯の良いワインを探すお手伝いをしたいなと思っているんです。それで、ふだんからワインをお仕事にしている女性の目線で選んだワインなら、一般の消費者にも受け入れられるのではないかということで、女性だけで選んでみようと。1万円とか2万円するワインが受賞しても、普通は買えません。だから一般の消費者に広めることが目的で、手に届くような価格帯を意識しています。

日本の女性であれば、ご飯を食べ、みそ汁を飲み、誰も同じような食生活を通して大人になっています。そういう食文化のなかで育った女性が選べば「日本人の女性が選んだのだったら美味しいんだろうな」って思えます。

だから私も審査する方たちに、自分の家で「こういうワインだったら飲める」とか「こういうワインだったら今日のお料理に合う」とか、そういうイメージをしながら点数をつけてください、と伝えています。皆さんプロなので、自分の味覚を信じて、世界のトップが美味しいとか不味いとか言っているからではなくて、あくまで自分の文化の中で育った味覚というものを大事にして選んでいただきたいのです。そうすることで、そんなにワインに詳しくない一般の消費者にも受け入れられるワインが選ばれるようになると思います。  
 
審査風景

——今年エントリーしているワインの特徴や傾向はありますか?

そうですね。6回目になってくると、エントリーするワインの作り手のかたたちも、過去の結果を見て「こういうワインを日本の市場に出せば日本の女性が買ってくれるんだ」と勉強して、より日本の食文化に合うワインが出てくるようになってきました。

——日本の食文化に合うようなワインとはどのような感じでしょうか?

エレガントでちょっと酸味がある感じですね。日本人だってステーキも食べますからなかには重たいものもあります。でもたぶん、日本人が考える重たい味わいと、肉食文化で育ったヨーロッパの生産者たちが考える重たいワインの間にはかなり差があります。彼らが考える、重たいワインを合わせる肉というのは、鹿肉や猪や鳩のような臭みのあるジビエです。でも私たちが考える肉料理はステーキやすき焼き。そこには大きな開きがあります。だから私たちが重たいと言っているものも、彼らにとってはそんなに重たいワインではありません。

それに日本人の食文化の根本はやはり旨味と出汁ですから、それに合うワインだと思います。サクラアワードは「日本の食卓に合うワインを」ということをコンセプトにしていて、オフィシャルブックにも毎年「日本のこの料理」に合うワインとして、組み合わせをたくさん掲載しています。料理はお寿司、天ぷらといろいろ。ジャパニーズポトフというのもありますが、これは鍋のことです。鍋といえば出汁そのもので、こうしたものに合うワインが増えていると感じます。
 
審査会風景

——初心者がワインを選ぶときのアドバイスをぜひお願いします。

美味しいワインに出会ったとき、その銘柄を覚えるというのは大変だと思います。ただそのラベルに書いてあるブドウ品種だけ覚えておけば、「私はシャルドネが好きなんだな」とか「マスカット・ベーリーAが好き」などと好みが分かってくるので、次に選ぶとき役立ちます。価格はもちろん安くて美味しいほうが良いに決まっているのですが、この世の中に安くて美味しいものってそんなになくて、ある程度、価格と美味しさは連動します。で、やはり1000円以上のもの、できたら1500円~2000円のものを選んでいただいたほうがいいと思います。

ちなみに私は、このサクラアワードで「シルバー」を受賞したワインに注目して、自宅で飲むことが多いです。ダブルゴールドやゴールドの受賞ワインはもちろんたいへん美味しいのですが、シルバーだって自信をもっておすすめできる品質です。ぜひサクラアワードの受賞ワインを、ワイン選びのきっかけにしていただければと思います。
 
審査用ワイン

※記事の情報は2019年2月14日時点のものです。

 
  • 1現在のページ