ソムリエが指南! 失敗しないスパークリングワインの選び方

パーティシーンを盛り上げるスパークリングワインの選び方を、ソムリエの資格をもつ青田俊一さんに教えていただきました。

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忘年会やクリスマス、お正月に新年会… 華やかなひとときを美味しく盛り上げてくれるのが、シュワッと黄金色に輝くお酒「スパークリングワイン」です。年末になると酒屋などでもスパークリングワインのコーナーが一気に充実してきますが、その中から自分の好みに合った美味しい1本を見つけるには、どうすれば良いのでしょうか? ということでソムリエの資格をもつ青田俊一さんに、おいしいスパークリングワインの選び方を教えていただきました。

この方に教えていただきました

青田俊一さん

WEBデザイナーとしてアパレルショップ、インテリアショップでの勤務を経たのち、お酒好きが高じて2009年にイズミックに入社。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。

青田さん画像

製法の違いが、味わいを大きく左右します

―スパークリングワインとひと口に言っても、国ごとでの呼び名も異なり価格帯もピンからキリまで様々ありますが、失敗のない選び方ってありますか?
青田:スパークリングワインの呼び名については各国それぞれのルールがあって、正直すべて覚えるのは大変です。でも、スパークリングワインを選ぶ際に、これだけは押さえておきたいポイントとしてあるのが“製法の違い”です。スパークリングワインの製法は、「トラディショナル方式」「シャルマ方式」「炭酸ガス注入方式」の大きく3つに分けられ、この製法の違いが明確な味わいの差になりますので、ぜひ覚えておきましょう。

トラディショナル方式は、瓶に詰めたスティルワインに糖分と酵母を加えて瓶内で二次発酵させる伝統的な製法です。発酵後も熟成させたり澱を取り除いたりといった作業が必要で、手間もコストもかかりますが、その分繊細で美しい泡立ちが特徴です。別名シャンパーニュ方式とも呼ばれていることからもわかるように、最高級スパークリングワインの代名詞であるシャンパーニュはこの製法で作られています。シャンパーニュの場合、製法以外にも生産地域やブドウの品種など様々な厳しい条件を満たす必要があるため価格も高くなっているのです。価格的にはシャンパーニュほど高くなくても、同じトラディショナル方式で作られているスパークリングワインとして知られているのが、フランスのクレマン、イタリアのフランチャコルタ、スペインのカヴァなど。これらの名前は覚えていて損はありません。
シャンパンを熟成している

シャルマ方式は、スティルワインを瓶に詰めずにステンレスの大きなタンクに密閉して発酵を行なう製法です。短期間に一定量のスパークリングワインを製造できるため、トラディショナル方式に比べてコストや手間を抑えることができ、管理しやすいのがメリット。また、製造過程でワインが空気に接触しないので、ブドウのアロマを残したフレッシュな発泡性ワインを造る場合に採用されます。特に日本やオーストラリア、チリ、ニュージーランドでは多く用いられる製法です。

炭酸ガス注入方式は、読んで字のごとく、瓶に入れたスティルワインに炭酸ガスを注入して、人工的にスパークリングワインを造る製法です。大量消費用のスパークリングワインの製法として利用されています。

「シャンパーニュだけが別格」というイメージでしたが、シャンパーニュと同じトラディショナル製法で作られているスパークリングワインも国によって色々あるんですね。たしかにこれは選ぶときのポイントになりそうです。

辛口? 甘口? 味選びのヒントはラベルにあり

―ところで、スパークリングワインでも辛口が好きな人と、少し甘めを好む人がいると思いますが、どこを見て味を選べばよいのでしょうか?
青田:答えは、ずばり瓶のラベルに書かれています。味わいについては主に6段階の表記法があり、例えばかなり辛口の場合は「Brut」、中辛口は「Sec」、やや甘口は「Demi-Sec」と表記されているので、ぜひラベルをチェックしてみてください。
・Extra Brut(エクストラ・ブリュット)=極極辛口
・Brut(ブリュット)=極辛口
・Extra Dry(エクストラ・ドライ)=辛口
・Sec(セック)=中辛口 
・Demi-Sec(ドゥミ・セック)=中甘口
・Doux(ドゥー)=甘口
ラベル画像

スパークリングワインをより美味しく楽しむコツ

―せっかく選んだスパークリングワインをより美味しく楽しみたいのですが、何かコツはありますか?
青田:まずはしっかり冷やしましょう。スパークリングワインは冷えが足りないと噴き出しの原因になるので、冷蔵庫で十分冷やすか、飲む前に氷をはったワインクーラーで30分くらい冷やせばOKです。冷蔵庫で冷やす場合は、ボトルを“寝かせず立てる”のがベスト。ただしドアポケットは振動が多いので、できれば避けたいところ。野菜室に立てて保管するのがおすすめですよ。

―グラスは、やっぱりフルートグラスが良いのでしょうか?
青田:泡を楽しむという意味では、やはりフルートグラスのような細長い形状のものが適していると思います。晩餐会などの特別な場所ではクープ型の口の広いグラスで出されることもありますが、空気に触れる面積が広いため炭酸が抜けやすく、味や香りを逃がしやすいというデメリットがあります。味わいそのものを楽しむという目的であれば、フルートグラスのほうがおすすめです。
フルートグラス

ソムリエ・青田さんが太鼓判を押すこの1本!


■とにかく間違いなく美味しい1本は?
こちらの「テタンジェ」はいかがでしょうか? シャンパーニュらしいエレガントさは持ち合わせていながら、シャルドネの割合が高いのでシャンパーニュ特有のクセが少なく、誰が飲んでも「美味しい!」と思える味に仕上がっていると思います。


商品名:テタンジェ ブリュット レゼルヴ
生産地:フランス
原料品種:シャルドネ40%、ピノ・ノワールおよびピノ・ムニエ60%
アルコール度数:12.5%

■1000円代で美味しいのは?
スペインのカヴァの中から選ぶがおすすめです。シャンパーニュと同じ製法で作られているのに、コストパフォーマンスが抜群に素晴らしい。近場の酒屋さんやスーパーにも置いてあって、比較的手に入りやすいのも魅力です。なかでも私のイチオシはこちらの「エレタット カヴァ」。

商品名:エレタット エルパドルウェル カヴァ ブリュット
生産地:スペイン カタルーニャ
原料品種:マカベオ50%、パレリャーダ25%、チャッレロ25%
アルコール度数:11.5%

■日本ワインの中から選ぶなら?
シャルマ方式で製造されている、「マンズ 甲州 酵母の泡」がイチオシです。甲州という日本らしい品種のブドウを使っているのですが、そのブドウの魅力を生かしながらきれいに発酵させています。もちろん和食にも合いますよ。

商品名:マンズ 甲州酵母の泡(やや辛口)
生産地:山梨
原料品種:甲州
アルコール度数:11%

■誰かにプレゼントするなら?
シャンパーニュももちろん喜ばれると思いますが、ちょっと変わったところでいうとイタリアの「フェッラーリ」がおすすめ。イタリアの大統領官邸や、国外のイタリア大使館の公式晩餐会の食卓でもサーヴされています。ちなみに車のフェラーリとは全く関係ないそうです(笑)。

商品名:フェッラーリ ブリュット
生産地:イタリア
原料品種:シャルドネ
アルコール度数:12.5%


※記事の情報は2018年12月3日時点のものです。
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