甲類焼酎を飲み比べてみた! 本当に違いはあるのか?
チューハイやサワーのベースとして使われる甲類焼酎。数ある甲類焼酎の中から、一般的に手に入りやすい銘柄を集めて飲み比べてみました。果たして、どんな違いが見つかるのか? そして家飲み甲類焼酎のベストバイとは?
甲類焼酎とは?
どんなソフトドリンクも「酒」に変えてくれる魔法の液体、甲類焼酎。家飲みのお供として愛飲している方もいらっしゃると思います。
焼酎には、本記事で扱う「甲類焼酎(連続蒸留焼酎)」と、皆さん大好きな芋焼酎などの「乙類焼酎(単式蒸留焼酎=本格焼酎)」があります。乙類の焼酎は、米、麦、芋などの原料の風味を残すため、たった一回しか蒸留しません。それに対し、甲類の焼酎は連続蒸留器という超強力な蒸留器を使って複数回蒸留を繰り返し、アルコール純度を高めています。その過程で原料の風味は消え去り「飲めるアルコール溶液」に変貌を遂げるのです。日本酒造りで「アルコール添加」に使われるのも、この甲類焼酎です。
甲類焼酎の原料
甲類焼酎の原料で圧倒的に多数派なのが、サトウキビ糖蜜です。これは、サトウキビから砂糖を作る工程で副産物として出る、糖分を含んだエキスです。これを連続蒸留器でアルコール濃度を高め、不純物を取り除きます。これに加水して製品にするわけです。サトウキビ糖蜜の他にコーンや麦などの穀物から造る場合もあります。
甲類焼酎を買ってみよう!
酒屋さんを覗いてみると、甲類焼酎の種類、結構あるんですね。目につくのが、巨大なペットボトルに入ったほぼ業務用甲類。酔えるジュースの大量生産アイテムですが、これとは別に、ちょっとおしゃれな720ml瓶などに入って「焼酎甲類」とラベルに記された瓶も。
代表選手は、創業100年を超える宝酒造の「宝焼酎」ですね。サッポロビールやサントリーからも甲類焼酎出ています。焼酎の1ジャンルとして確立している感あり! 多くは80年代に起こった、いわゆる「第二次焼酎ブーム」と言われる中から生まれて定着したものだと思います。缶チューハイが大ヒットし、バブルのさなか、若者たちは甲類焼酎に酔いしれていたのです。
しかし、でも、はたして甲類焼酎に味の違いなんてものがあるのでしょうか?不純物を取り除いたアルコール溶液が主。明らかにわかるような違いがでるようにも思えませんが……。そこで今回、コンビニや酒屋さんで手に入りやすい甲類焼酎の銘柄7種類を飲み比べてみることにしました。
甲類焼酎7種を比較!
飲み比べのラインナップは以下!
◆宝焼酎(宝酒造)
◆ピュアパック(宝酒造)
◆純(宝酒造)
◆トライアングル(サッポロビール)
◆JINRO(眞露株式会社)
◆鏡月(サントリー)
◆亀甲宮(宮崎本店)
ほとんどの銘柄がアルコール度数20度のものと25度のものがあります。今回は25度で揃えてみました。
飲み方は、ごくごくシンプルに、ロックと炭酸割り。微妙な味と香りの違いを見分けてみます。さて、編集部のみんなに招集をかけ、さあ、レッツ飲み比べ!(昭和……)
宝焼酎
100年以上も前から日本の甲類焼酎界を支えてきた宝酒造。酒粕から造る粕取り焼酎に始まり、独特の甲類焼酎造りを続けています。試飲一本目は、宝焼酎のスタンダードライン「宝焼酎」です。糖蜜から造った純度の高い焼酎に、長期熟成のトウモロコシや麦由来の焼酎をブレンドしているのが特徴です。さて、飲んでみましょう。
甲類焼酎、ハードな飲み比べだ…… と警戒感が先に立っていたせいもあってか「意外に飲めるじゃん」評価いただきました! たしかにこれ、まろやかで、甘味もあって飲みやすいですね。炭酸で割るとなぜか甘味が強くなるのが不思議です。焼酎を炭酸割りでしか飲まない人もいますが、こういうことか、と納得。良い基準ができました。さて、お次は?
ピュアパック
こちらも宝酒造。紙パックのみで提供されている焼酎です。宝焼酎よりも、スッキリ、キリッとした飲み口を目指しているとか。糖蜜アルコールに熟成甲類焼酎をブレンドしているのは、最初の宝焼酎と同じではありますが、違いは?
一口めでグイッとアルコール感が押してきます。最初の宝焼酎に比べるとそうとう、辛口な印象。その分、飲み応えがあると言えばあるかも。炭酸で割っても印象は同じですが、不思議な事に、氷が溶けて薄まって行くにしたがって、アルコールの存在感が消え、水みたいになってしまうところ。ある程度薄めるとどんどん飲める、これ、多分キケンなやつです!
純
宝焼酎が80年代初頭にリリースしたこだわりの甲類焼酎。たしか、ロックスターがCM出ていたよなーと検索したら、かのデビッド・ボウイ様でした。コチラになにやら復刻CMがありました。この頃33才、お美しい♡ このCMがきっかけとなって「戦場のメリークリスマス」への出演に繋がったそうで……。キャッチフレーズは「時代が変わればロックも変わる」。11種類の甲類をブレンドしたこだわりの焼酎です。ではさっそく……
ブレンドの妙か、洋酒を思わせる飲み口です。目隠しをして飲んだら焼酎とは思わないかもしれません。香りも強いですが、わざとらしくはなく、飲みやすい印象ですね。炭酸で割るととても上品なサワーになります。んー、垢抜けて「アーバン」な感じ?
トライアングル
これも80年代の登場、純のライバル的な存在でした。最初はキッコーマンが造っていましたが、現在はサッポロビールが蔵元です。糖蜜アルコールに、コーンや大麦などから造った焼酎をブレンドするのは純と似ていますが、これに大麦で造った「乙類」の焼酎を加えているのが特徴です。
ちなみに、CMタレントは、かの松田優作。「オレとおまえとトライアングル」がキャッチフレーズでした。ボウイVS優作。さて、どっちがうまい?
アルコール感が…… というより、酒としての飲み応えがある印象。純より男っぽいですね。純がボウイなら、確かにこっちは優作か! 炭酸で割ると甘味がぐっと出てきて飲みやすくなり、そのくせ飲み応えも失われない、腰の強い酒という印象です。
JINRO
お次は、JINRO。韓国産の甲類焼酎です。よく、焼き肉屋さんに置いてあるイメージですね。原材料は米と麦だそうです。これに、名水、韓国馬山の地下深水を加水しています。
これも、炭酸割りが好印象です。癖もなくスッキリしていて飲みやすい。甘味もあります。ひょっとして、甲類焼酎らしさってこういう事なのかな~。
鏡月
発売はサントリーですが、もともと韓国産の甲類焼酎。いろんなフレーバー付きのものが出ていて、人気だそうですが、今回はもちろん、ピュアな鏡月を飲んでみます。原材料は、糖蜜に麦、米、とうもろこしだそうです。ミネラル豊富な天然水を使用しているのがウリ。
これはロックで飲むのが正解かもしれません。炭酸で割ると存在感がなくなって何を飲んでいるのか分からなくなりました。苦みやパンチを楽しむ焼酎ですね、きっと。
亀甲宮焼酎
今回の飲み比べ、トリは通称キンミヤ、熱狂的なファンもいる亀甲宮焼酎です。レモンサワーやホッピーのベースとして大人気ですね。原料は糖蜜アルコールと水(超軟水だそうです)だけ。「シンプル」は果たして「ベスト」なのか?
遂に「健康に良さそう」というコメントまで飛び出したキンミヤ。たしかにこのまろやかさ、上品な飲み口、悪酔いする気配すら感じさせないすっきり感は、さすがとしか言いようがありません。これはロックでも炭酸でもウマイ!
2強は宝焼酎とキンミヤ
こうして7種類を飲み比べてみると、甲類焼酎の中でも様々な個性があることがわかります。一番盛り上がったのが最初に飲んだ「宝焼酎」と最後の「キンミヤ(亀甲宮)」でした。
宝焼酎はブレンドの技術で旨味を引き出したまろやかで飲み応えもある焼酎。キンミヤはシンプルな造りと柔らかな水質で極限とも思える滑らかな飲み口が好評価です!
甲類焼酎で家飲み
実は、この試飲会の朝までなんとなく気が重かったのです。自分で企画をだしておきながら、もう一人の自分が、こう責めたてます。「甲類焼酎に味の違いなんてあるわけないだろ!」「結局全員が悪酔いして即解散だ」「3年先まで笑いものにされるぞ」「いい加減に目を覚ませ!」…… しかし、結果はなかなか面白い飲み比べ体験になりました! きっちり7本を飲み分けてくれた編集部のみんなにも感謝です。
甲類焼酎の魅力は「アルコールを摂取する楽しみ」に直結している気がします。そういう意味ではウォッカに近い? ただ「割るのがデフォルト」というのが独特か。普段は割り材の影に隠れてしまう甲類焼酎ですが、たまには主役として楽しんでみるのも良い家飲みになるのでは? と思います。でも、飲みすぎにはくれぐれもご注意ください!
※記事の情報は2020年7月31日時点のものです。
スムース甲類焼酎キンミヤの記事はコチラにも!
みんなの感想
「思っていたよりやわらかいね」
「これ、飲める!」
「甘味が美味しい」
「炭酸で割ると味が濃くなる」
「ホントだ!」
「甘味も強くなる」