好みの白ワインに出会える選び方、飲み方をソムリエが伝授!
白ワインを飲んでみたいけど、何を基準にしてセレクトすればいいのかが分からない…。そんなワイン初心者の方々のために、白ワインの基本的な選び方や飲み方をソムリエが伝授します。おすすめの美味しい白ワイン10本もご紹介。
白ワイン・赤ワイン・ロゼ…なにがどう違う?
今回は白ワインにフォーカスをあてていきますが、まずはそれぞれの違いを簡単に説明していきましょう。
■白ワインと赤ワインの違い
白ぶどうを使って、果皮や種を抜いた「果汁ジュース」の状態で発酵させたのが白ワイン、そして、黒ぶどうを使って果皮や種を含んで発酵させたものが赤ワインです。赤ワインにあって白ワインにはない特有の「渋み」は、黒ぶどうの果皮や種に含まれているタンニンと呼ばれる成分由来のものです。
■オレンジワインとロゼワインの違い
また、オレンジワインは白ぶどうを使って赤ワインのように造ったワインを指し、ロゼワインは黒ぶどうを使って白ワインのように造ったワインを指します。このロゼワインの造り方は「直接圧搾法」と呼ばれる製法ですが、他にも赤ワインと同じ製法でつくり、色がついた段階で果皮をとりのぞいて発酵させる「セニエ法」、発酵前の黒ぶどうと白ぶどうを一定の割合で混ぜて造る「混醸法」があります。つまり、
果皮や種を含んで発酵させる=オレンジワインと赤ワイン
果皮や種を抜いたジュースの状態で発酵させる=白ワインとロゼワイン
ということ。
ポイントは以下の2点です。
- 使用されているぶどうは「白ぶどう」なのか、「黒ぶどう」なのか
- 発酵する際、「果皮や種を含んだ状態」か、それとも「果皮や種を抜いた果汁ジュースの状態」か
白ワインの選び方は「ぶどう品種」に注目!
■好みのワインをぶどうの品種で選ぶ
もちろん生産される地域や醸造方法によってニュアンスは変わりますが、それぞれの品種の性格や特徴を覚えておくだけでも、好きなワインに出会える確率がぐっと高まります。
シャルドネ
【主な生産地】フランス、アメリカ、オーストラリアなど世界各国
【味わいの特徴】
樽熟成されているとコシが強く、奥行きのある味わいで余韻が長い。バニラやクレームブリュレのようなアロマ。樽熟成されていないと、軽めでキレのある味わい。レモンやパイナップルのアロマ。
【料理・おつまみとの相性】
軽めのシャルドネには生牡蠣や魚介のカルパッチョ、樽熟成されたシャルドネにはクリーム系のパスタやグラタンとの相性が良いです。
白ワイン用ぶどう品種のなかで最もポピュラーな品種で、世界中で栽培されています。そのため、生産地や造り方によって味わいと香りが七変化する品種。ミネラル感のあるキリッとした辛口にもなれば、バターのようになめらかな濃い味わいにもなります。キンキンに冷やすよりも、12~13℃くらいで飲むとアロマがより広がって味わいが際立ってきます。
ソーヴィニヨン・ブラン
【主な生産地】フランス、ニュージーランド、チリ、南アフリカ共和国、アメリカ
【味わいの特徴】
爽やかな酸味とグレープフルーツのようなほのかな苦味。レモンやライム、洋梨のアロマに、ハーブや若草のような「グリーン」のニュアンス。果実味のあるドライな辛口で幅広い料理とペアリングできます。ボディは軽やかで飲みやすい仕上がりになります。
【料理・おつまみとの相性】
新鮮な魚介のカルパッチョやシュリンプカクテルなど。生ハムやフレッシュチーズとの相性も抜群です。ボンゴレビアンコやお魚のハーブソテーにもバッチリです。
リースリング
【主な生産地】ドイツ、アメリカ、オーストラリア
【味わいの特徴】
コクのある甘口からスッキリドライな辛口まで幅広い味わいが楽しめます。辛口の場合は酸味が際立っていて、口がきゅっとすぼまるようなフレッシュな飲み口になります。桃やはちみつのようなほんのりと甘い香りが特徴ですが、生産地によってはペトロール香(石油の香り)や火打ち石のような香りがします。
【料理・おつまみとの相性】
爽やかな甘口ならインド料理などのスパイシーな料理と、辛口なら鴨のローストやベーコンなど、オイリーなお肉料理との相性が良いです。生ハムとフルーツを使ったサラダも◎。
生産地によって飲み口が変わりますが、アルコール度数が9%未満なら甘口寄りと判断してもよいでしょう。
ピノ・グリ(ピノ・グリージョ)
【主な生産地】イタリア、アメリカ、ドイツ
【味わいの特徴】
柑橘系のアロマで、フルーティでコクのある辛口。親しみやすい味わいで、幅広いお料理とペアリングができます。
【料理・おつまみとの相性】
カニやエビを使った魚介料理、クリーミーなチーズなど。オイルサーディンや白身魚のフライにも合わせやすいです。オリーブオイルを使ったアヒージョとの相性も抜群です。
ゲヴェルツトラミネール
【主な生産地】フランス、ドイツ、モルドバ
【味わいの特徴】
ライチや白桃、バラのようなアロマで、飲み口はドライな辛口。かすかな塩味を感じます。ときには「甘み」と「苦み」を同時に感じられる複雑味のある味わいになります。好き嫌いのわかれる個性的な味わいで、ファンも多いです。
【料理・おつまみとの相性】
「ゲヴェルツ」はドイツ語で「スパイス」の意味。餃子やしゅうまい、ヴェトナム料理やタイ料理との相性が良いです。
とにかく華やかなアロマが特徴的なので、香りを重視する方にはぜひ試していただきたいぶどう品種です。
シュナン・ブラン
【主な生産地】南アフリカ共和国、フランス、アルゼンチン
【味わいの特徴】
ライトなタイプからコクのあるタイプまで幅広い。スパークリングやデザートワイン、ブランデーにも使われるぶどうです。特に南アフリカ共和国でつくるシュナン・ブランは、コクのあるネクタリンやはちみつのようなニュアンスを感じます。
【料理・おつまみとの相性】
野菜とチーズをたっぷり使ったキッシュ、豚肉のパテ、マッシュルームのサラダなど。
シャープな酸とアロマティックな香りが特徴の品種です。
甲州
【主な生産地】日本
【味わいの特徴】
1300年もの歴史をもつ日本の土着ぶどう品種。その名の通り山梨県を中心に栽培されています。梨やみりん、そしてお米のような「吟醸香」を感じます。ドライな辛口に仕上がっていて日本人に親しみやすい味わいです。
【料理・おつまみとの相性】
甲州は和食との相性がとても良いです。お寿司や刺し身、サバやサンマの塩焼き、アジフライ、天ぷらといった家庭料理に寄り添うやさしい味わいです。
その他、香り高いフランスのヴィオニエ、夏にピッタリのスペインのアルバリーニョ、魚介と合わせたいオーストリアのグリューナー・フェルトリーナーetc…美味しいぶどう品種を挙げれば枚挙にいとまがないですが、白ワインの主要なぶどう品種は以上の7種。
こんなに覚えられない! と思った方は、主要品種の中でも人気どころの「シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング」の3つをおさえておけば間違いありません。
■産地で白ワインを選ぶ
もちろん例外は多々ありますが、「フランスのシャルドネ」と「カリフォルニアのシャルドネ」を飲み比べてみると、同じぶどう品種なのに味わいがこんなに違うなんて! と驚かれるかもしれません。そういった生産地によって味わいがまた変わってくるのも、ワインの醍醐味の一つです。
白ワインの理想的な温度とは?
甘口白ワインの場合は2~6℃、辛口白ワインは6~13℃前後が適温と言われています。ただ、「キンキンに冷えた白ワインが好きだ」と考える方も多いと思います。
最初は冷蔵庫から出したばかりの温度は大体5~7℃前後なので、最初の一杯は冷たい状態で飲んで、2杯目以降は次第に温度が上がっていくのを楽しむのがオススメです。温度が上がると、今まで閉じていた香りがひらいて、味わいにより一層ふくよかさが出てきます。
ソムリエ太鼓判! 白ワインのおすすめ銘柄10選
【甘口の白ワインのおすすめ5選】
\低アルコールで飲みやすさ抜群!/十勝ワイン ナイヤガラ 720ml
◾DATA
生産地:北海道
原料品種:ナイヤガラ
アルコール度数:9%
味わい:ライトな甘口
シャンモリ 甲州遅摘み完熟甘口 720ml
◾DATA
生産地:山梨県
原料品種:甲州
アルコール度数:11%
味わい:さわやかな甘口
ソムリエ吉川
収穫時期をあえて遅らせて糖度をあげた完熟の甲州を使用しています。厚みのある味わいなので、よく冷やしてから飲んでいただきたいです。食中よりも食後酒として飲むのが◎
オブセッション シンフォニー
◾DATA
生産地:アメリカ カリフォルニア
原料品種:シンフォニー
アルコール度数:14%未満
味わい:フルーティな甘口
ソムリエ吉川
白桃をかじったようなジューシーな味わいが特徴。マスカットの香りが鼻いっぱいに広がります。お酒が苦手な方でも楽しめる一本です。満腹感のある食後にデザート感覚で飲むのにも最適。
マドンナ リープフラウミルヒ
◾DATA
生産地:ドイツ
原料品種:リースリング、その他
アルコール度数:9.5%
味わい:すっきりした甘口
ソムリエ吉川
酸味と甘みのバランスが良く取れていて、スパイシーなエスニック料理や中華料理との相性が良いです。甘すぎずスッキリとした飲み心地なので、幅広い料理とマッチします。
ラングート ツェラー・シュバルツ・カッツ
◾DATA
生産地:ドイツ
原料品種:ミュラートゥルガウ、リースリング
アルコール度数:9.5%
味わい:すっきりした甘口
ソムリエ吉川
フレッシュな白桃のような果実味を感じる甘口ワインです。しつこすぎないさっぱりしたタイプなので、食中酒としてもカジュアルに楽しめる一本に仕上がっています。
【辛口白ワインのおすすめ5選】
\ソムリエイチ押しのニュージーランドワイン/クラウディーベイ ソ-ヴィニヨン・ブラン 750ml
◾DATA
生産地:ニュージーランド マールボロ
原料品種:ソーヴィニヨン・ブラン
アルコール度数:13%
味わい:ドライな辛口
ソムリエ吉川
青草やハーブのような爽快なアロマに、グレープフルーツのニュアンス。カルパッチョやシュリンプカクテルなど、魚介料理に合わせたい一本。個人的にも数あるニュージーランドワインのなかで一番好きなワインです。
ブエナ・ヴィスタ ソノマ シャルドネ 750ml
◾DATA
生産地:アメリカ カリフォルニア
原料品種:シャルドネ
アルコール度数:13.5%
味わい:フルーティな辛口
ソムリエ吉川
アメリカで最も古い歴史を持つ老舗ワイナリー。樽熟成由来のバニラやナッツの香りがしっかりとアロマに表れています。黄金色の色調が印象的で、13℃前後の温度でゆっくりと時間をかけていただくのがオススメ。
紫波リースリングリオン白辛口 750ml
◾DATA
生産地:岩手県
原料品種:リースリングリオン
アルコール度数:10%
味わい:フルーティな辛口
ソムリエ吉川
リースリングリオンは甲州三尺とリースリングの交配種で、日本で生まれた地ぶどうです。すっきりとした酸味が特徴。お寿司や天ぷらにもあわせやすく、和食にもってこいの一本です。
イニエスタ コラソン ロコ ブランコ 750ml
◾DATA
生産地:スペイン
原料品種:ソーヴィニヨン・ブラン、ベルデホ
アルコール度数:13%
味わい:フルーティな辛口
ソムリエ吉川
世界的に有名なサッカープレイヤー「イニエスタ」がプロデュースする白ワイン。トロピカルフルーツやグレープフルーツのような爽やかなアロマが特徴で、爽快な酸が口の中にすっと入ります。前菜からメインまで、幅広い食事にマッチする、家飲みにぴったりの白ワインです。
ロバート・モンダヴィ プライベートセレクション バーボンバレルエイジド
◾DATA
生産地:アメリカ カリフォルニア
原料品種:シャルドネ
アルコール度数:14.5%
味わい:熟成間のある辛口
ソムリエ吉川
リッチでクリーミーな飲み口。バーボン樽で熟成されたボリューム感をしっかりと感じられるので、クリーム系のパスタや鮭のムニエルとの相性は抜群です。
プロが教える! 白ワインで作る簡単カクテルレシピ
①オペレーター
白ワイン、ジンジャーエール
〈作り方〉
グラスに氷を入れ、白ワインとジンジャーエールを1:2で割る
\ここがpoint!/
フレッシュのレモンやライムを搾って入れると、柑橘系の爽やかなアロマが相まってより美味しく仕上がります。ジンジャーエールは辛口タイプがオススメです。
②ワインミモザ
白ワイン、オレンジジュース
〈作り方〉
白ワインとオレンジジュースを1:1で割る
\ここがpoint!/
グレープフルーツジュースや、ブラッドオレンジジュースでも美味しく作れます。氷を入れてロックスタイルで楽しむのもオススメです。
③ホワイトサングリア
白ワイン、お好みのフルーツ、フルーツリキュール
〈作り方〉
①適量にカットしたフルーツを容器に入れ、白ワイン500mlを満たす。
②フルーツリキュールを50ml入れて2日程度冷蔵庫にて保管。
\ここがpoint!/
フルーツはキウイ、リンゴ、オレンジ、白桃、マンゴーなどお好みのものを。ピーチリキュールやアプリコットリキュールが様々なフルーツに合わせられます。
リキュールがない場合はシロップでも代用可(写真はキウイとルビーグレープフルーツ)。氷を入れて炭酸で割っても◎
④ホワイトスピリッツァー
白ワイン、炭酸水
〈作り方〉
白ワインと炭酸を1:1で割る
\ここがpoint!/
氷を入れてオレンジやライムなどの柑橘系のフルーツを搾ると爽やかな印象に。食前酒にもオススメです。
⑤ホワイトモーニ
白ワイン、グレープフルーツジュース、トニックウォーター
〈作り方〉
グラスに氷を入れ、白ワイン、グレープフルーツジュース、トニックウォーターを2:1:1で割る。
\ここがpoint!/
トニックウォーターの苦味が苦手な方は、炭酸でも代用可。
白ワインは味わいにクセがないので、フルーツジュースや炭酸飲料ととても相性が良いです。余った白ワインは料理酒に回す方も多いかと思いますが、是非このレシピを参考に白ワインベースのカクテルをつくってみてください。
※記事の情報は2020年8月27日時点のものです。
- 1現在のページ
ソムリエ吉川
アルコール度数が低いので、お酒が苦手な方にも飲みやすいワインに仕上がっています。甘口ワインは途中で飲み飽きてしまうのがデメリットですが、甘みだけでなく爽やかな酸味も感じられるので、飲み飽きないのが嬉しいポイントです。