100人の唎酒師の想いが詰まった日本酒を飲んでみた。

伝統ある灘の蔵元、沢の鶴がクラウドファンディングで商品化した日本酒「100人の唎酒師」が一般発売開始。沢の鶴の技術の粋を集めて生まれた「100人の唎酒師」の味わいとは?

ライター:青田俊一青田俊一
メインビジュアル:100人の唎酒師の想いが詰まった日本酒を飲んでみた。
名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします! 今回は灘の蔵元、沢の鶴がクラウドファンディングで商品化した日本酒をご紹介します。

老舗蔵元、沢の鶴の新しい挑戦

いま日本酒界隈ではクラウドファンディングによるプロジェクトが盛んです。これは酒蔵の規模に関わらず、大手の蔵元でも新たな挑戦としてクラウドファンディングを活用する取り組みが増えてきています。

今回はそんな取り組みの中から、沢の鶴が商品化した日本酒「100人の唎酒師」をご紹介します。
100人の唎酒師
「100人の唎酒師」は今年の3月にクラウドファンディングにて先行予約販売され、目標を大きく上回る支援金額を達成し話題となりました。そして満を持して、この9月から全国で一般発売が開始されることになります。

沢の鶴は創業300年という長い伝統と、以前こちらでご紹介した農機具メーカーのヤンマーとの取り組みのような、革新的な一面の両方を併せ持つ蔵元。そんな沢の鶴には、美味しい日本酒を造るために誰よりも日本酒を知らなくてはならない、という考えに基づき、唎酒師の資格を持つ社員が100人以上在籍しています。

この100人の唎酒師達に自分たちが飲みたい日本酒をヒアリングして生まれたのがこの「100人の唎酒師」です。

沢の鶴の唎酒師100人の思いとこだわりが詰まった日本酒

100人の唎酒師達が関わる、まさに全社をあげての一大プロジェクト。そのため、この商品には沢の鶴の技術の粋が集められています。その中でも特徴的なのが「限外濾過(げんがいろか)」です。

搾りたての日本酒には麹菌が作った酵素が溶け込んでいて、この酵素が日本酒の成分を変化させていきます。そのため常温で流通させる際は加熱処理(火入れ)することで酵素の働きを止めて出荷します。

しかし、この火入れの工程には本来の風味を損ねてしまうという欠点があるため、搾ったままの酒本来の味わいを楽しむためには酵素が働かない温度、つまり冷蔵での流通が必要になります。

この「限外濾過」と呼ばれる技術では、加熱処理ではなく濾過によって酵素を極限まで取り除くことができるので、風味を損ねることなく搾ったままの味わいを楽しむことができます。これによって冷蔵での流通がマストだった生酒が、常温で手軽に手にすることができるようになる画期的な技術なのです。だから「100人の唎酒師」は純米生原酒ながら常温での流通が可能となっています。

また、こだわりはそれだけではありません。沢の鶴といえば純米酒、もちろん米にもこだわります。米は山田錦の本場、兵庫県播州産を使用。それを灘の酒造りに欠かせない宮水を使い、生もと造りで仕込む、沢の鶴のこだわりのすべてが詰まったとも言える日本酒。これは期待大。というわけでお楽しみの試飲タイムです。

100人の唎酒師を飲んでみた

品質の劣化を防ぐため袋状のパッケージで瓶を覆っています。パッケージには「100人の唎酒師」にちなんで、実際の沢の鶴の社員をイメージして描かれたイラストが使われています。日本酒ではあまり見かけないキャッチーなデザインですね。
100人の唎酒師
袋から取り出しました。袋の内側には断熱、遮光に優れたアルミを使用しているのも嬉しい気遣いです。
100人の唎酒師
グラスに注ぐとまず甘いメロンのような香りが漂います。味わいはとにかくしっかりとした米の旨みが印象的です。アタックから余韻まで終始しっかりとした旨み、生酒のフレッシュさより、生原酒ならではの力強い旨みを感じます。

原酒なのでアルコール度数が18.5%もあるのですが、その割には口当たりはなめらかなので、つい飲み過ぎてしまいそう。このしっかりとした旨みは、脂ののった魚や肉料理に合わせるとバランスが良さそうです。

純米酒にこだわる沢の鶴ならではの旨みのある味わい、さすがです。この味わいが常温流通で手軽に手に入るのも嬉しい限りです。秋の食卓にもぴったりな味わいなので、これからの季節の家飲みにおすすめの1本。

100人の唎酒師の想いの詰まった味わい、ぜひお楽しみください。
 

100人の唎酒師【商品概要】

  • アルコール度数:18.5%
  • 原料米:兵庫県播州産山田錦
  • 容量 / 容器:720ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,250円(税抜)
  • 製造元:沢の鶴
※記事の情報は2020年9月12日時点のものです。
  • 1現在のページ