銘酒 蔵元探訪記02「株式会社篠崎(福岡県朝倉市)」
全国各地の酒蔵と銘酒を訪ねる「銘酒 蔵元探訪記」、今回ご紹介するのは、福岡県朝倉市で230年の歴史をもつ蔵元、株式会社篠崎です。もともと、地元産の酒米にこだわる地酒の蔵元でしたが、今や焼酎、梅酒、リキュール、さらには甘酒といったお酒以外の製品も製造するユニークな飲料メーカーとして知られています。その原点にあるのが、日本酒の蔵元として培ってきた「麹」の技術です。経営企画部長の篠崎倫明さんにお話をうかがいました。
麹を使ってワクワクさせたい
日本酒の蔵元として培った麹の技術を使って、お客さまの生活を豊かにしたい、お客さまをワクワクさせたい、ということで、ものづくりを行っています。
麹の可能性
例えば、地元のお肉を麹で加工するですとか、甘酒を工業用に展開して製菓メーカーさんに使っていただきやすい製品を作る、また、甘酒はこんな風に飲むといいよ、こんな風にお料理に使えるよ、といった普及活動も行っていきたいと思っています。
先人が残した麹の文化を、今の時代に合わせて解釈して新しいものづくりをしてまいります。
評価はお客さまのもの
あとは、どんな評価であってもお客さまに委ねる、ということですね。
株式会社篠崎を表す3つのキーワード
篠崎の最大の特徴は、麹と「麹文化」にこだわった製品づくり。その射程の中には、日本酒はもちろん、焼酎、甘酒まで含まれる。
特に、日本酒ブランド「国菊」の名を冠した甘酒は、大ヒット商品となった。
甘酒の製造はとてもデリケートで、常にアルコール発酵や腐敗のリスクにさらされている。このヒット商品の影には、膨大な時間をかけた試行錯誤が必要だったという。徹底した衛生管理のもと、ハイレベルなものづくりが要求されるのだ。そして今後は、甘酒を飲料以外の様々な分野へ応用していく試みも始まっている。
篠崎は、麹の持つ力を、あまねく人々に広めたい、という「麹の伝道師」なのだ。
篠崎の麹の技術を培ったのは、日本酒の蔵元としての長い歴史だ。江戸の中期に酒造りをはじめ、220年の歴史を誇る。日本酒「比良松」は地元産の原料にこだわり、地元の米農家が栽培する山田錦を、100パーセント使用している。地元の米を、地元の地下水を使って、地元の蔵人が醸す。地域に根ざした酒造りが信条だ。
また、「比良松」や「朝倉」など、ブランド名にも地元の地名を好んで使っている。これも地元愛の証。
九州は、焼酎王国だ。篠崎の製品にも特徴のある麦焼酎がある。
樽の中での数年間の熟成を経て完成する熟成麦焼酎「千年の眠り」は、その洋酒を思わせる味わいに熱心なファンが多く、海外での評価も高い。さらに、樽から取って出しの熟成麦焼酎をほぼそのままボトルに詰めたリキュール「朝倉」は、焼酎ファンのみならず、ウイスキーや、ラム酒といった洋酒の愛好家からも驚きと賞賛の声で迎えられている。
- 1現在のページ