海外旅行と映画ライター、前原利行さんのおすすめ家飲み音楽とは? 《私の家飲みプレイリスト④》

音楽好きがおすすめする「家飲み音楽」をお楽しみください!

ライター:池谷 恵司池谷 恵司
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今回、選曲してくれたのはこの方!

ライター&編集者 前原利行さん

1961年生まれ。音楽業界、旅行会社を経て、現在は海外旅行、映画に関わるフリーランスのライター&編集者として活動中。訪問した国はアジア、ヨーロッパ、アフリカなど80カ国以上。仕事のかたわらバンド活動も続けており、ときおりライブも行っている。近況はブログhttps://mahaera.exblog.jp/で。

ライター&編集者 前原利行さん
あなたは家飲みのお供にどんなBGMをかけていますか? 音楽好き&お酒好きの方々に、素敵な家飲みミュージックを選曲していただく連載企画「私の家飲みプレイリスト」。今回ご登場いただくのは、海外旅行&映画ライターの前原利行さん。仕事で海外取材に行くだけでなく、音楽好きで海外のコンサートにもプライベートで行くほどの音楽好き。今回のテーマは「海外まで見に行くほど好きなアーティストたちの曲で飲む」。果たしてどんなプレイリストになったのでしょうか?
(記事の最後にSpotifyで実際に音楽が聴けるプレイリストがあります。音楽を聴きながらの家飲みをぜひお楽しみください)

海外まで見に行くほど好きなアーティストたちの曲で飲む

自身でベースやキーボードも演奏し、バンドも組んでいるというほどの音楽好きな前原さん。初めての海外旅行もそれが高じて、本場のライブハウスに行くのが目的だったとか。それがやがて仕事につながり、現在は海外旅行専門のライター&編集者として20年以上も活動しています。そんな前原さんがイエノミスタイルのために選んだ音楽は「海外まで見に行くほど好きなアーティストたちの曲」でした。

▼ 前原利行さんの選曲はこちら
・イーグルス - The Long Run
・ヴァン・モリソン - I'm Not Feeling It Anymore
・トム・ペティ - Wild Flowers
・ボブ・ディラン - Mississippi
・ブルース・スプリングスティーン - Darkness On The Edge Of Town

一曲目は、仕事をしたくなくなるような(笑)

「取材や打ち合わせ以外は基本的に家で仕事をしているので、仕事のオンオフは意識的に自分でつけてますね。そこで一曲目は、仕事をしたくなくなるような(笑)、楽しい曲を選びました」。
イーグルスのアルバム『ロングラン』からタイトルトラックの「The Long Run」。バンドにブラスセクションが入った、ミドルテンポの明るいナンバーだ。 「イーグルスの中ではそんなメジャーな曲ではないけど、当時リアルタイムの新曲だったから思い入れがあるのかな。もちろん仕事なんてしてない高校生の頃で(笑)。だから仕事モードを“オフ”にするスイッチみたいな曲です。お酒は一杯目ってことで、まずはビールですね。」

2曲目はアップテンポだが大人のムードの曲、ヴァン・モリスンの「I'm Not Feeling It Anymore」。意外な展開だ。『オーディナリー・ライフ Hymns To The Silence』というヴァンの1991年の2枚組CDアルバムに収録。前原さんはいつまでたっても来日しないヴァンにしびれを切らし、アメリカへライブを見に行ってしまったというほどのヴァン・モリスン好きだという。
「これ、初めて聴いたヴァンのアルバムの曲。当時、あまりロックを聴かなくなっていた30代前半。仕事が忙しくて人生悩んでいた時期だったので、この穏やかさにはまりました(笑)。特に有名な曲じゃないですけど。当時付き合っていた人と夜遅く六本木の「トニーローマ」に食事に入った時、たまたまBGMで流れていたんですよね。その後、彼女とは別れてしまいましたが、思い出深い曲で。そう、店のステーキの量が多くて、生まれて初めて持ち帰りをしたこともなぜか覚えています(笑)。このアルバム、今でも夜の深い時間、リラックスしたいときによく聴いています。お酒はもちろんウイスキー。スコッチの水割りですね」
 
今でも夜の深い時間、リラックスしたいときによく聴いています。
3曲目は、ミドルテンポのアコースティックなナンバー。ボブ・ディランの「Mississippi」。アメリカの田舎の酒場で、地元のバンドが演奏しているようなシンプルなアレンジが印象的だ。ボブ・ディランは、前原さんがいちばん好きなアーティストだという。
「中学からずっと好きで、公式盤はすべて持ってますから、アーティスト別で言えば家で聴く回数は、ディランがNo.1です(笑)。でも聴くとリラックスより興奮しちゃうアルバムもありますけど」
この「Mississippi」のオリジナルは2001年の『ラブ・アンド・セフト』収録だが、前原さんが選んだのはそれではなく2008年に発表された未発表・未発表テイク集の『The Bootleg Series Vo.8/テル・テイル・サインズ』収録のもの。そのわけは?
「最初に出たオリジナルより、こっちの方が断然良いだけです。ずるいですよね。後出しジャンケン(笑)。でも、こっちのほうが初期テイク。アメリカ南部の屋外、あるいは木造の小屋に深夜に集まって演奏しているような静けさがたまらないですね。遠くの水車が回る音が聞こえるようです。妄想ですけど(笑)。このころになると家飲みしていても、夜の静けさがとり囲んでいます。12時過ぎましたね。お酒は、やはりバーボンでしょう。アーリータイムスかな。」

4曲目は、昨年(2017年)亡くなったトム・ペティの2枚目のソロアルバム『Wild Flowers』からタイトルトラックの「ワイルドフラワーズ」。前原さんはトム・ペティも大のファン。彼もめったに来日しないタイプなので、やはり海外へライブを見に行ってしまったそうだ。
「昨年、トム・ペティ&ハートブレイカーズが40周年記念ツアーをするということで、いてもたってもいられずにアメリカまで見に行ってしまいました。5月のニューオリンズのジャズ&ヘリテージフェスティバルです。ところがその日は朝から暴風雨で、フェス会場が開かない。中止かなと諦めかけてきたころ、急に雨が止んで風も収まり、ようやく15時半に開きました。デイフェスでペティの出演が最後の17時だったので、本当にギリギリ。17時半に登場したペティは、通常のコンサートと同じセットリストでたっぷり2時間演奏してくれました。その時は半年後にペティが亡くなるなんて思いもよりませんでした。彼が亡くなった晩は、知り合いのバーにペティのCDを持ち込み、全部かけてもらいました」
 
中止かなと諦めかけてきたころ、急に雨が止んで風も収まり、ようやく15時半に開きました。
この曲はアコースティックギターのストロークから始まる、ミドルテンポのフォークロックナンバー。選んだ理由は?
「最初の数小節聴いただけで、アメリカ映画に出てきそうな、わらが積まれた納屋みたいなところで演奏しているような音でしょ。それも妄想ですが(笑)。ペティの好きな曲はたくさんあるけど、木の香りがするようなこの曲は、仕事の疲れを癒してくれます。盛り上がらずに終わるところもいいですね(笑)。お酒はテネシーのジャック・ダニエルでしょうか。

最後の曲はブルース・スプリングスティーンの1978年のアルバム『闇に吠える街』からタイトルトラックの「闇に吠える街 Darkness On The Edge Of Town」。スローテンポのハードなロックバラードだ。そして前原さんはこの20年ほど来日していないスプリングスティーンにもしびれを切らし、またもや海外にライブに行ってしまったという。 「2016年、ヴァン・モリスンをニューオリンズに見に行った2週間後、今度はバルセロナにブルースのコンサートを観に行ってきました。いや、お金持ちじゃないですよ(笑)。仕事もすごく忙しかったけど、なんかその時、今行かないと死ぬまでに見れないって気持ちが強かったんです。その1ヶ月前の4月にはプリンスも亡くなっていたし。場所はバルサのホームのカンプノウスタジアム。観客は5万人ぐらいいたでしょうか。土曜とはいえコンサートが始まったのが21時で、終わったのが深夜1時。そのうちアンコールが1時間もあり、もう永久に終わらないかと思いました(笑)。アンコール1曲目は、プリンスに捧げた「パープルレイン」。4時間もブルースと一緒にいると、もう他人とは思えない。あのエネルギーの1000分の1でももらえたらと思いました」
数多いスプリングスティーンの曲の中から、この曲を選んだ理由は?
「ピアノ、ドラム、ベースだけのイントロからもう物語に引き込まれるでしょ。アメリカの寝苦しい夜の熱気が感じられます。深夜3時を回り街に静けさが漂っているのに、主人公は眠れない。人生の半分は過ぎているのに、すでに自分は敗者のように感じているんですね。だけどまだ何かはやれるぜという感じの曲ですよね。これも妄想ですが(笑)。明日への希望を込めながら、今日という1日を終えるのにピッタリの曲です。もう5杯も飲んでたら、翌日起きれなくなりますよね(笑)。でもとどめの一杯は、ジンでいきます。意外ですか?」
 
(取材協力)Bar「英泉」 小田急線「小田急相模原」下車徒歩3分
[住所]神奈川県相模原市南区松が枝町19-8 [電話]042-705-2505 [営業]18時〜翌3時(木曜定休)

spotifyで聴く、前原利行さんの家飲みプレイリスト



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※記事の情報は2018年8月12日時点のものです。
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