スーパー音楽グルメ、コピーライターの脇田洋二さんのおすすめ家飲み音楽とは? 《私の家飲みプレイリスト⑥》
南米から、ロンドン経由で北米まで。まるでロードムービーのようなプレイリストをお届けします。
(記事の最後にSpotifyで実際に音楽が聴けるプレイリストがあります。音楽を聴きながらの家飲みをぜひお楽しみください)
今回、選曲してくれたのはこの方!
クリエイティブディレクター /コピーライター 脇田 洋二さん
1962年生まれ。会社員として広告デザイン制作会社に勤務するかたわら、音楽リスナーとしてジャンルを問わず様々な新しい音楽との出会いを探し続けている。
脇田さんの選曲はこちら
- セザール・ラセルダ・・・Isso Também Vai Passar
- ジルベルト・ジル・・・Afogamento
- パブロ・パッシーニ・・・Billi
- ダニエル・サンティアゴ・・・Caminhada
- アントニオ・ロウレイロ・・・Algum Lugar
- リアン・ラ・ハヴァス・・・Green & Gold
- ジェイミー・アイザック・・・Staying with Me All Night
- ジョン・ブライオン・・・Lady Bird
- ペトロス・クランパニス・・・Little Blue Sun
- キャロル・キング・・・Song Of Long Ago - Live
- クリス・シーリー・・・Thanks for Listening
南米から、ロンドン経由で北米まで
「最初はアコースティックな感じで始めたいですね」と脇田さん。まずはブラジルのコンテンポラリーなアーティスト、セザール・ラセルダの曲「Isso Também Vai Passar」からスタート。まだ暮れなずむ夕方が似合いそうな、爽やかで優しいアコースティックサウンドです。脇田さんが家で飲むのは主に週末。お好みはハイボールやワイン。「この曲ならワインかな」。続いての2曲目はブラジル音楽界の大御所、ジルベルト・ジル。「ジルベルト・ジルは1942年生まれの76歳。それなのに音楽はまったく年を感じさせません。この曲は今年リリースされた新作から。とてもいいアルバムです。ちなみにポール・マッカートニーも、ポール・サイモンもほぼ同い年で、彼らもそれぞれ新作を出していて、それがまた素晴らしいんですよ。まったくすごい人たちです」。3曲目は、パブロ・パッシーニという、ブエノスアイレス生まれで現在ブラジルで活躍中のギタリスト兼作編曲家。「基本的に歌ものが好きですが、このあたりで日も暮れてきて、ちょっと尖ったインストものも聴きたくなります」。確かにちょっとパット・メセニーを思わせるような複雑な表情を持つ美しい音世界が展開されています。4曲目のダニエル・サンティアゴも同じくブラジルのギタリスト。美しさと鋭さが同居したインスト曲。「これ、いいなぁとか言いながら、どんどん呑める感じの曲でしょ(笑)」。次のアントニオ・ロウレイロは? 「この人はボーカル、ピアノ、ヴィブラフォン、ドラムス、ベース、なんでもできる天才。現在のブラジルで最も注目されている若手音楽家の一人です」
さて、家飲みも中盤。「そろそろ南米を出ましょうか。お酒もこのあたりでハイボールにしましょう」。ソーダで割るウィスキーの銘柄は? 「あまりこだわりはないですが、学生時代にとても高かったウィスキーやバーボンが、今はずいぶん安くなったのでよく飲んでいます。でも、面倒な時は缶のハイボールですね(笑)」。そしてソングリストはブラジルからロンドンへ。「最近のロンドンのミュージシャンでよく聴いているアーティストが何人かいるので紹介します。まずリアン・ラ・ハヴァスという人の曲を聴いてください」。お、これは軽やかでコンテンポラリーで、どこかコスモポリタンな感じがする質がいいポップス。シャキっとした曲調が、中締めにちょうどいいですね。次はジェイミー・アイザックというアーティストの曲が続きます。「この人は1994年生まれだから、まだ24歳という若手ですが、さまざまな音楽の影響が感じられて面白い。来日公演も見に行くつもりです」。たしかに思索的で深みがあって、黙ってじっくり味わいながら聴きたい曲です。
さて、ロンドンの新鮮な才能を堪能したところで、いよいよアメリカへ。「アメリカではいきなりだけどジョン・ブライオンという、これは映画音楽の人の作品。今年見た『レディ・バード』という映画の曲で、映画自体もすごくいい作品でしたが、この曲のリフレインがずっと耳に残って、あまりにもよかったのでアナログレコードも買いました」。たしかに冒頭のメロディの繰り返しには陶酔感があります。気持ちよく酔えそうです。さて次のペトロス・クランパニスはどんな人なのでしょうか。「ニューヨークなどで活躍中のギリシャ人のジャズベーシストです。ストリングスを入れたジャズのラージアンサンブルですが、クラシックのテイストも入ったコンテンポラリーなジャズで、すごくいいです」。透明な陶酔感という感じでしょうか。こちらもいい感じで飲める曲です。
「さてそろそろ、ラストスパートにしましょう。このあたりで、大好きなキャロル・キングを聴きたくなりました。キャロル・キングなら正直言ってどの曲でもいいぐらい好きですが、ここはあえて、ちょっと渋めに『Song Of Long Ago』という曲を、1971年に録音されたカーネギーホールでのライブ盤で。このテイクが切なくてとてもいいんです」。そしていよいよ締めの一曲。「仕上げはパンチ・ブラザーズなどでも活躍しているマンドリン奏者のクリス・シーリー。パンチ・ブラザーズも素晴らしいけど、『Thanks for Listening』というソロアルバムが素晴らしい。そのアルバムの最後の曲が今回リストに選んだタイトルチューンの『Thanks for Listening』ですが、これがもう美しくて優しさに満ちた曲で、クリスのボーカルがとてもいいんです。で、これを聴いたら、お酒を飲み干して寝ます(笑)」。
脇田さん、ブラジルから、イギリス、そしてアメリカまで続くめくるめく極上の音楽の旅、ありがとうございました。ぜひみなさんも以下のSpotifyのリストを聴きながら、家飲みをお楽しみください。
Spotifyで聴く、脇田洋二さんの家飲みプレイリスト
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※記事の情報は2018年10月30日時点のものです。
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