発酵食品と日本酒は相性抜群!

おいしくて身体に良い!と、注目をあつめる「発酵食品」。日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する日本酒ラヴァー、簗塲友何里(やなば ゆかり)さんに、発酵食品と日本酒の組み合わせの妙を教えて頂きました。

ライター:簗塲友何里簗塲友何里
メインビジュアル:発酵食品と日本酒は相性抜群!

おせち料理には発酵食品がたくさん

おせち料理
2020年の年明けは、皆さまどのように過ごされましたか?お正月のお料理と言えば、おせち料理が代表的です。日本酒好きの皆さまにとっては、さまざまなおせち料理と日本酒を楽しめる、嬉しいひとときかと思います。

おせち料理は年始から何日間か食べるため、保存がきく発酵食品を用いた料理が多く含まれます。調味料の醤油や味噌、みりんも発酵食品ですね。これに合わせる日本酒も、麹で発酵しています。なので、日本酒とおせち料理との相性はばっちり。

発酵食品は5000年前からある

エジプトワインの壁画
5000年前ほどの古代エジプトの壁画。左側に酒の壺が描かれている
「発酵食品」という言葉、近年の健康ブームからかよく耳にするようになりました。実は、この発酵は、約5000年前から世の中に存在していることが確認されています。メソポタミアやエジプトではワインやビールらしきものが、すでに造られていたことが遺跡などに記録が残っているのです。

日本でも、1400年前の奈良時代には、すでに瓜の漬物が造られていた記録があるそうです。

このように、人類と長く関わりのある発酵食品ですが、日本人にとっては、あまりに身近すぎる存在でもあります。意識しないまま、毎日何かしらの発酵食品を口にしているのではないでしょうか。納豆、漬物、魚介系発酵食品、調味料、そして日本酒など、日本にはたくさんの発酵食品があふれています。

発酵食品と日本酒のペアリング

漬物と日本酒
発酵食品と日本酒の相性はどんな風にして生まれるのでしょうか?

例えば、辛口と表示されている日本酒を口に含み、同時に漬物や味噌を食べると、日本酒が甘く感じます。これは日本人が「美味しい」と感じる、昔から馴染みのある日本酒のマリアージュのひとつです。

また、日本酒は麹菌による複雑な発酵により造られるので、旨味成分のアミノ酸が白ワインの5倍以上もあります。昔から日本にある発酵食品も、微生物の働きによりアミノ酸が多く含まれ、本来の食材の味にコクや奥深い味わいがプラスされます。この豊富なアミノ酸同士のコンビネーションが、絶妙な相性を生むのです。

発酵食品を使った料理のアレンジ

私が経営する発酵フレンチと日本酒のマリアージュのレストラン「SAKE Scene〼福」では、発酵食品をソースに入れてアレンジすることで、日本酒との組み合わせを良くしています。日本酒ペアリングをしている例をいくつかご紹介しましょう。
酒粕
発酵アレンジの強い味方、酒粕
まずは、酒粕の使用例。「鰆(さわら)の酢締め 酒粕とハーブのソース」という前菜があります。酢締めをした鰆に、さまざまなハーブとほどよい量の酒粕で香りの良いコクのあるソースを絡めます。これには、きりっとした、新芽のような香りを感じる、軽やかな新酒を合わせます。
 
白味噌
白味噌も大活躍
白味噌もよく活躍しています。例えば「岩中豚のロースト 白味噌のシャルキュトリーソース」。粒マスタードを使用した酸味のあるソースに白味噌のコクを加えることで、味に深みが増して、日本酒に良く合うようになります。このお料理には、能登杜氏が醸す米の旨味をグッと引き出した、濃厚な味わいの日本酒を合わせます。
岩中豚のロースト 白味噌のシャルキュトリーソース
岩中豚のロースト 白味噌のシャルキュトリーソース

発酵食品パワーで健康な年に

このように、発酵食品は栄養価も高く、味にコクが出て、保存もきき、良いことばかり。日本という発酵食品大国にいる幸せを実感しながら、日本酒の家飲みに、たくさん取り入れていただきたいと思います。

2020年も発酵パワーで健康な年に! 本年も料理とお酒のペアリングなど、日本酒の魅力をお伝えしていきたいと思います。

※記事の情報は2020年1月9日現在のものです
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