ダイエット中でも大丈夫! 賢いお酒の飲み方とは?
ダイエット中は大好きなお酒も我慢しなければ…と思っていませんか? 大丈夫! エネルギー収支のバランスさえ取れていれば、ビールを飲んだっていいんです。管理栄養士の森由香子さんがダイエット中の家飲みのコツをアドバイスします。
ダイエット中でもお酒は飲みたい!
ダイエット中、飲酒は厳禁とよく言われていますが、できればお酒を我慢せずにダイエットをしていけたらどんなによいでしょう。
今回は、お酒を楽しみつつ体重を増やさないための注意点についてお話いたします。
そもそもお酒のカロリーは?
ちなみにエネルギーを発生させる栄養素は、糖質、脂質、たんぱく質、アルコール(エタノール)の4種類あり、糖質1gは約4Kcal、脂質1gは約9Kcal、たんぱく質1gは約4Kcalです。
カラダの仕組みはとても複雑で、エネルギー量が同じであれば、どの栄養素からでも体脂肪になりうると考えられます。
例えば、脂質1000Kcal、たんぱく質1000Kcal、糖質1000Kcalがあったとしたら、脂質だけが体脂肪になりやすいというわけではなく、たんぱく質も糖質も脂質と同様に体脂肪に変わりうるのです。
ダイエット中はお酒の糖質よりもカロリーを意識すべし!
裏を返せば、適正エネルギー摂取量の範囲内に収まっていれば、飲酒をしても体重が増えることはありません。
適正エネルギー量が1食600Kcalの人は、飲酒も含めて600Kcal以内に収まれば太ることはないのです。
ダイエットのコツ①お酒を飲むぶん、糖質の多い食品を控える
ポイントは、アルコールを糖質とみなして考えること、つまり、お酒を飲む日は、糖質の多い食品やお菓子を減らすことです。
たとえば、ビール大瓶1本630g=約250Kcalありますので、ご飯1杯150g=約250Kcalと同じエネルギー量です。ご飯の代わりにビールを飲む=置き換えてエネルギー摂取します。
ちなみに、たんぱく質と脂質はアルコールに置き換えることはできません。なぜなら、たんぱく質は必須アミノ酸、脂質は必須脂肪酸と、文字通り私たちの体に必要な栄養素であり、これらは食べ物からしか摂取できないためです。
いつも、晩酌で糖質を摂っていた人は、糖質の多い食品、お菓子を食べないようにすれば、エネルギー量がその分減らせます。商品の裏に栄養成分表示が書いてありますので確認するようにしましょう。
時々、糖質オフの蒸留酒であれば体重が増えないと考えている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。アルコール度数が高くエネルギー量(カロリー)がありますので、糖質の多い食品からのエネルギー量を減らさないといけません。
とにかくダイエットをするならば、いつもよりも摂取エネルギー量を減らすように意識することです。
ダイエットのコツ②お酒を飲む前に運動を!
運動後も筋肉の活性化は続いており、疲労回復にもエネルギーが必要となります。アルコール代謝の過程で生じた酢酸はそれを補給するエネルギーにもなります。適量のアルコール(エタノール)は、代謝されると酢酸になり、筋肉で二酸化炭素と水に完全に分解されます。運動をした後の飲酒は、ダイエットに有効であると言えるでしょう。
ですので、飲む日は、運動、散歩など体を積極的に動かすなどのエネルギー消費をいつもより増やしてから飲酒することをおすすめします。
筋肉のエネルギー代謝速度は、運動時と安静時では数十倍異なります。運動をした後は筋肉の代謝が活性化されるので酢酸が二酸化炭素と水に分解されやすくなります。
ところが、運動しない安静時に適量以上に飲んだときは、酢酸が分解されず血中に滞り酸性化合物として悪酔い、二日酔いの原因をつくり、さらには酢酸が代謝されないため、太りやすくなります。血中の酢酸濃度が一定以上に上がると肝臓に再度取り込まれます。その時に血糖値が高く、高インスリン状態であれば酢酸は脂肪に合成され肝臓の細胞や脂肪細胞へと蓄えられます。
つまり、必要なエネルギー量を他の食品で十分に摂った状態で飲酒する(適正エネルギー量を超えた状態)と、お酒の代謝産物の酢酸は脂質に転化されるということです。
ですので、極端に言えば、おつまみなしで飲酒だけにすれば、低血糖状態となり体重は増えないということになりそうですが、空腹状態での飲酒は体にとても悪い飲み方なので絶対にお勧めしません。
また、お酒を美味しく飲むためと思って、運動後に水分補給を控えるのも大変危険です。水分が不足すると、脳、腎臓、心臓などの臓器に送られる血液の量が少なくなり、血管が詰まりやすくなります。さらに水分不足により、二日酔いも起こりやすくなります。お酒で水分補給はできません。運動後はまず水を一杯、飲酒中も飲酒後も水を飲むようにしましょう。
ダイエットのコツ③食前酒は控えて、グラスは小さめに
飲むスピートが速い方は、グラスを小さめにするなど、ゆっくり飲みをして満足感を得やすくする工夫をいたしましょう。
自分の適正エネルギー量を知ることがダイエット成功の鍵
【手順①】標準体重を知る
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
【手順②】1日の摂取エネルギー量を求める
BMIが25未満の方は目標体重を入れて算出するのがよいでしょう。BMIが25以上の方は、標準体重を元に算出します。
標準体重(目標体重)×○Kcal(身体活動量)=1日の適正な摂取エネルギー量
※身体活動量=
25~30Kcal 軽い労作(デスクワークが多い職業など)
30~35Kcal 普通の労作(立ち仕事が多い職業など)
35~Kcal 重い労作(力仕事が多い職業など)
1日3食を想定して、1日の適正エネルギー量から1食分のエネルギー量を算出します。
例えば、1日1800Kcalの人であれば1食600 Kcalとなります。そこから、夕食で飲むお酒のエネルギー量をあらかじめ調べ、600Kcalからそのエネルギー量を引いて、残りをおつまみで摂るようにします。
ビール大瓶1本が250Kcalですので、600Kcal-250Kcal=350Kcal
350Kcalに相当する分をおつまみで摂れば良いという計算になります。
おつまみは、たんぱく質食品から2品、野菜から3~4品程度、薄味のものを選ぶなど、1食あたりの適正エネルギー量の範囲内に収めます。
アジの塩焼き100Kcal、枝豆80Kcal、焼きなす30Kcal、ほうれん草お浸し20Kcal、たまねぎサラダ30Kcal、きゅうりとたこの酢の物70Kcalで合計350Kcalです。お酒も入れてちょうど600Kcalです。結構、食べられると思いませんか。
さらに、夕方にジョギング、散歩(息がはずむ程度)をしてから飲酒すれば、筋肉がエネルギー消費を手伝ってくれること間違いなしです。
運動をすると疲れがちですので、食べてすぐ寝てしまいたくなるかもしれませんが、起きていましょう。起きているだけでエネルギーは消費されていきます。
エネルギーの収支バランスは、毎日、体重測定をして確認します。体重が増えるようであれば、食べ過ぎ飲み過ぎといえますので、飲酒量、食事量を少し減らす方向にシフトしましょう。
※記事の情報は2020年9月14日時点のものです。
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