豚肉の栄養は、アルコールの分解に役立つ? 管理栄養士が解説します!
豚肉は、「鳴き声以外に捨てるところがない」と言われるほど使い勝手のよい食材。たんぱく質やビタミンB1など、アルコールの分解にも役立つ栄養も豊富に含まれています。今回は、そんな豚肉の栄養や健康効果について、管理栄養士の森由香子先生に解説していただきます。
総務省統計局の2021年の家計消費割合(二人以上の世帯/支出金額[円])によりますと、豚肉が31,892円、牛肉が23,210円、鶏肉が16,915円と、家計における肉の支出金額では豚肉がトップとなりました。
今回は、品種改良を重ねた結果、近年さらに美味しさが進化している豚肉の栄養についてお話しします。
豚肉はおつまみとしての使い勝手もバツグン!
ガツ(胃)、ヒモ(小腸)、ミミ(耳)、豚足(足)、ハツ(心臓)、コブクロ(子宮)、レバー(肝臓)など、ホルモンの種類も豊富です。沖縄では「豚は鳴き声以外、捨てるところがない」とも言われており、ラフテー、ソーキ、イリチー、ミミガーなど、頭から足まで余すことなく使ったバラエティ豊かな豚肉料理が存在します。一時期は、沖縄に長寿者が多いのは豚肉を大量に食べているためではないか、と考えられていたほどです。
また、豚肉はお肉の中でも、ハムやベーコン、ソーセージなどさまざまな加工食品に利用されることが多いですね。その理由は、口の中で溶けやすい脂にあります。豚肉の脂の融点はおおよそ28~48℃で、体温で溶けやすいのです。脂のついた生ハムを食べても、口の中に脂だけが残るということがないのはそのせいです。
豚肉に含まれる栄養素は?
▼横スクロールでご覧ください
豚肉の栄養
食品名 | 重量(g) | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | ビタミンB1(mg) |
---|---|---|---|---|---|
かたロース(皮下脂肪なし) | 100 | 212 | 17.8 | 16 | 0.66 |
ロース(皮下脂肪なし) | 100 | 190 | 21.1 | 11.9 | 0.75 |
もも(皮下脂肪なし) | 100 | 138 | 21.5 | 6 | 0.94 |
ヒレ(赤肉) | 100 | 118 | 22.2 | 3.7 | 1.32 |
そともも(皮下脂肪なし) | 100 | 175 | 20.2 | 10.7 | 0.85 |
ばら(脂身つき) | 100 | 366 | 14.4 | 35.4 | 0.51 |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
すべての部位の中で、たんぱく質やビタミンB1が豊富なのはヒレ肉です。ヒレ肉は豚の背中の肉であるロースの内側にある肉で、1頭につき全体の約2%しか取ることができない希少な部位です。ヒレ肉に含まれるビタミンB1の量は、すべての食品の中でもトップクラスに値します。
たんぱく質もビタミンB1も、アルコールの分解には欠かせません。家飲み好きの読者の皆さまには、毎日摂り入れていただきたい栄養素です。
以下の項目で、それぞれのはたらきと、摂取するときのポイントついて詳しく見ていきましょう。
アルコールの分解に役立つ豚肉の栄養を効率よく摂るには?
ビタミンB1は、アルコールが分解されるときに必要なビタミンです。アルコールが分解されてエネルギーに変わるときや、アルコールの量が60gを越えるほど大量に飲んだときに必要となります。
注意したいのは、アルコールにはビタミンB1の吸収を鈍くしたり、排出を加速させたりする作用があることです。そのため、飲酒するときは上記の作用を考慮して、ビタミンB1が多い食品を積極的に摂り入れる必要があります。
また、含硫化合物が含まれる食品(にんにく、ネギ、玉ねぎ、ニラなどの野菜)と組み合わせると、ビタミンB1の効用をさらに活かすことができます。こちらは、調理の際でも、食べ合わせる際でも構いません。これらと組み合わせることによって、ビタミンB1の吸収が高まり、体の中で作用が持続します。
ダイエット中のおつまみや、栄養補給におすすめの豚肉の部位は?
またときどき、豚ばら肉でたんぱく質が十分に摂れていると勘違いされている方を見かけます。豚ばら肉自体はとても美味しいのですが、脂が多いため、たんぱく質の補給にはそれほど向いていません。ご留意ください。
豚肉にはお酒好きにうれしい栄養がたくさん!
家飲みのおつまみにも積極的に取り入れて、健やかな飲酒ライフをお過ごしください。
※記事の情報は2022年11月14日時点のものです。
- 1現在のページ