テキーラをもっと知りたい! テキーラ・マエストロ資格に挑戦してみた。

バイヤーズレポートでおなじみ、名古屋の酒類卸の青田がテキーラ・マエストロ資格にチャレンジ。取得までの流れを解説します。

ライター:青田俊一青田俊一
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テキーラ・マエストロ資格とは

テキーラと聞いて皆さん思い浮かべるのは、罰ゲームや悪酔いするお酒など、なにかとネガティブなイメージだと思います。昨年、今年とトレンド予測の記事でプレミアムテキーラがブームになると断言してきましたが、そんな悪いイメージもあってかなかなか周囲からの賛同を得られませんでした。それはそもそも私のプレゼンが十分ではなかったのではと思い、よりテキーラに対しての理解を深めるため、テキーラ・マエストロの資格取得講座を受講してきました。

テキーラ・マエストロとは日本テキーラ業界が認定する資格で、いわばテキーラ版のソムリエのようなものです。テキーラの基本を学ぶ全4回のクラスで、最後にテイスティングと筆記の試験を受けて合格すると資格取得となります。ワインのソムリエ試験とは異なり、酒業界に従事していなくても大丈夫なので、テキーラがお好きであればどなたでも資格を取得することができます。なので芸能人でも取得されている方がたくさんいるそうです。講座は東京では毎月、その他の都市では年に数回開催されていますので、私のように名古屋在住でも受講することが可能です。今回の受講クラスのメンバーにはなんと大阪や京都から受講に来ていた一般の方もいらっしゃいました。それだけテキーラが注目されているということで、業界の中の人間としては嬉しい限りです。

今回の4回のクラスは、日本テキーラ協会の林生馬会長が直々にレクチャーする講座。テキーラを飲むにあたっての心構えから始まり、テキーラの歴史、原料、製法、テロワール、ブランド、飲み方に至るまで、深く広い内容の講座となっています。
 
テキーラ・マエストロバッチ
合格者に授与されるテキーラ・マエストロバッチ
そして2日間で計8時間の講義の末、無事に合格。テイスティングと座学が同時進行というなかなかハードな講座(人生で一番いろんなテキーラを飲んだかもしれません)で、ちょっとほろ酔いの状態で筆記試験をするという、他にあまり例を見ない試験でした。案の定、最後のテイスティング試験は見事に外してしまいました。

今回の受講で最も勉強になったのは、バジェスとロスアルトスという2大産地の違いでした。気候の違いからテロワールの異なるこの2つの地方は、製造法から味わいまで異なります。熟練者になるとこの違いがテイスティングでも分かるようになるとのことでしたが、まだまだ経験不足、これから精進したいところです。そしてメスカルが、テキーラと同様に原産地呼称のお酒(メキシコの決められたエリアで造ったものしかテキーラ、メスカルを名乗ることはできません。)になっていたことも恥ずかしながら初めて知りました。(以前はアガベのお酒の総称がメスカルでした。)座学だけでなく、ジョージ・クルーニー氏プロデュースの「カーサミーゴス」や、日本人初のテキーラ職人である景田哲夫氏の「カスカウィン」などのプレミアムなテキーラが試飲できたりと、飲んでばかりではありますが貴重な体験ができたのもまた今回の収穫でした。

実際のところはテキーラはサボテンのお酒と思っている方もまだまだ少なくないのが現状ではないかと思います。(正しくはテキーラの原料はアガベ・アスールというリュウゼツランの1種で、植物の分類としてはアロエやアスパラガスに近しい。)4大スピリッツ(ジン、ラム、ウォッカ、テキーラ)の中で原産地呼称制度があるのは唯一テキーラだけ。日本ではまだまだ100%アガベのテキーラが少なく、本当に美味しいテキーラに出会える機会もそう多くは無いかと思いますが、そんなテキーラのテロワールの奥深さを多くの人に知っていただくため、家飲みでも楽しめるテキーラを目指し、今後も普及活動に勤しんでいきたいと思います。

※記事の情報は2019年5月6日時点の情報です。
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