和+スピリッツ!? ニッポンの新しいスピリッツを飲んでみた。

日本の麹文化でカクテルベーススピリッツを。世界へ向けて新たなカクテル文化を発信する日本の新しいスピリッツとは一体?

ライター:青田俊一青田俊一
メインビジュアル:和+スピリッツ!? ニッポンの新しいスピリッツを飲んでみた。
名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします!

世界に向けて新しいカクテル文化を発信するスピリッツ

みなさんはスピリッツといえば何を思い浮かべますか?ほぼ100%の方が、世界4大スピリッツのジン、ウォッカ、テキーラ、ラムの4つのうちのどれかを思い浮かべるのではないでしょうか。私もそうでした、このスピリッツに出会うまでは。それが今回ご紹介する「TUMUGI」です。
TUMUGI

「TUMUGI」はいいちこでおなじみの三和酒類が造るスピリッツです。ポイントは“麹”を使ったスピリッツであるということ。“麹”というと甘酒に入っているあれですよね、くらいの認識の方が多いかもしれませんが、味噌や醤油、酢、日本酒、焼酎、漬物などなど、日本の発酵食品の製造過程には欠かせない菌です。そんな麹菌ですが実は日本にしか存在しません。アジアには中国の紹興酒やインドネシアのテンペのような発酵食品がありますが、こちらはクモノスカビ菌という麹菌の親戚みたいな菌によるもの。発酵についてさらに詳しいことを知りたい方は、発酵デザイナーの小倉ヒラク氏の著書「発酵文化人類学」を読んでいただくとして、とにかく“麹”はスゴイということがお分かりいただければ何よりです。ちなみにこの麹菌は日本の“国菌”として認定されております。

で、なぜ三和酒類がこの“麹”を使ってスピリッツを開発したかというと、日本独自の麹を使って造るお酒に興味を持ってもらいたい、将来この麹で造ったお酒が世界の4大スピリッツにならんで5大スピリッツになって欲しいという願いからだそうです。日本のバーテンダーには世界で活躍されている方もたくさんいらっしゃるのですが、カクテルを作るのに使うのはもちろん先述の4大スピリッツ。海外のコンテストなどで日本のお酒について聞かれても、実は日本のバーテンダーの多くは意外にも日本のお酒について詳しくはなかった。それで日本のお酒を改めて見直そうということになり、日本の蒸留酒の代表である焼酎に着目。焼酎について学んでいく中で分かってきたのが“麹”の存在。その“麹”を使い、カクテルベースとなる日本らしいスピリッツとして生まれたのがこの「TUMUGI」です。結果、国際的なバーテンダーのコンテストでもこのTUMUGIを使ったカクテルが賞を獲得するようになり、4大スピリッツの次、5番目のスピリッツとまで言われるようになっています。

と、薀蓄はこれくらいにして、お楽しみの試飲タイムにいってみましょう。

「TUMUGI」を飲んでみた。

このTUMUGIですが、そもそも麹のスピリッツとはなんぞやということで、ざっくり説明しますと、大麦麹100%の全麹造りの本格麦焼酎に、大分のかぼす、日田市のミント、三カ日のみかん、四国のゆず、瀬戸内のレモンの5つの厳選した国産ボタニカルのスピリッツをブレンドして造られた蒸留酒です。ここでボタニカルにジュニパーベリーを加えるとジンにもできるわけですが、あえてジュニパーベリーは使用せず、日本ならではのオリジナルのスピリッツにしているところがポイントです。
 
TUMUGI
まずはそのものを味わうためロックにしてみましょう。口当たりは柔らかく、麹のほんのり甘い味わい、他のスピリッツと同様に40度あるのでもう少しアルコール感が強いかと思いましたが、非常にまろやかな印象です。これも麹のなせる業でしょうか。割り材を選ばなさそうな懐の広さを感じます。

お次はカクテルの定番といえばジントニック、ということでトニックウォーターで割ってみたいところですが、トニックではちょっと甘すぎる。ソニックにします。ソニックとはトニックウォーターに炭酸を加えて甘さを抑えたもの。私がいつも会社近くの地下の飲み屋街で頼むのもジンソニックです。しかしこのソニック、ジントニックがバーテンダーの力量のものさしと言われるほどシンプルなゆえに難しいカクテルなのだから、このジンソニックという飲み物はさらに加減が難しいのではないかと個人的に思っています。たしかに自宅で作ると全然美味しくできない。そんな私たちに朗報です。このTUMUGI用に開発されたソニックウォーターがあるのです。
ドライソニック

このドライソニック、地味に便利です。今回はこちらを使ってTUMUGIソニックを作ります。
TUMUGIソニック

ソニックにしたので麹そのものの持つ甘みを壊さず、かつこの甘みがソニックのほんのりとした甘みを引き立てます。飲み飽きしないどころかまた欲しくなる、ちょっとくせになる味です。ボタニカル由来で柑橘系との相性は良いので、ライム、レモンにとどまらず、オレンジのようなしっかり甘みのあるものまで様々な柑橘を加えて楽しむのもよいかと。個人的にはTUMUGIの故郷、大分つながりでカボスを加えてとり天と合わせたいところです。

バーテンダー愛用の日本のスピリッツというとちょっと敷居が高そうですが、これなら気軽に家飲みでも楽しめるのではないでしょうか。新しい日本のスピリッツ、とても使い勝手がよいので1家に1本ぜひどうぞ。
 

TUMUGI【商品概要】

  • 原材料:大麦麹、大麦、国産かぼす、国産ミント、国産みかん、国産ゆず、国産レモン
  • アルコール度数:40%
  • 容器 / 容量:瓶/ 750ml
  • 参考小売価格:1,800円(税別)
  • 製造元:三和酒類株式会社(大分県)

ドライソニック【商品概要】

  • 原材料:果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、レモンエキス(レモン(瀬戸内産))、炭酸、酸味料、香料
  • 容器 / 容量:瓶/ 340ml
  • 参考小売価格:189円(税別)
※記事の情報は2019年6月17日時点のものです。
  • 1現在のページ