坂口安吾や村上春樹…酒文学のエッセイ集『泥酔文学読本』が発売【プレゼントもあり】
文学と酒は相性がいい。酒が印象的に登場する文学のショートエッセイ集がこのほど発売。記事の最後には本のプレゼントもありますのでお見逃しなく。
しばらく続けたら、「酒」のシーンだけをコラージュした読み物になるかもしれないとも考えたが、本当に一冊にまとまってみるとなかなか感慨深い。そして、この本はどのページも含蓄があるのに、どこからでも読めるという優れもの、ちょい飲みのお供にぴったりなのである。ボリュームもちょうどいい。毎日、一遍ずつ肴にして2か月以上飲める。
坂口安吾 ジン、そして角瓶
著者の七北数人氏は2人の作品の熱心な読者で、特に坂口安吾については解説本を何冊か上梓しているほどだ。
特に評判になったのは『評伝坂口安吾 魂の事件簿』(2002年集英社刊)だろう。今も手に入るのだろうかと検索すると、中古がアマゾンで「\7952~」と出た。こんなに値がつくのならと、書棚にあった一冊を取り出してみると、一読しただけできれいなままだ。メルカリで送料込み3000円くらいで売れないかしらなんて囁きが聞こえてくる。
彼は毎年、安吾の命日にサントリー角瓶とグラスを供えるという。ジンをはじめ強い酒を好んだ安吾だったが、晩年は角瓶が多かったのだそう。2004年の50回忌には当時赤坂にあったサントリー本社ビルで、安吾が通った銀座の名門バーのマスターを担ぎ出して、安吾のお気に入りだった卵黄を落としたカクテルを飲むイベントを主催した。このあたり詳しくお知りになりたい方はぜひ、『泥酔文学読本』を買ってお読みください。
村上春樹 青春のビール 大人のウイスキー
私も初期のころよく読んでいたが、バーでビールを飲みすぎた登場人物が、顔を洗うだけで元気に帰っていくシーンが何カ所かあったことを覚えている。そういえば居酒屋で吐く迄飲んだ時に、トイレで真似して顔を洗ったことがあったっけ。まったく酔いは醒めず、汚れたハンカチで顔を拭く羽目になった。
初期の三部作にはビールばかり出てくる印象があったが、作品をつぶさに見てみるとそうでもないらしい。『もし僕らの言葉がウイスキーであったなら』なんて作品を書くくらいだから当然といえば当然だが、ウイスキーがあちこちの作品に登場する。『フォアローゼズ』『シ-バス・リーガル』『ジャック・ダニエルズ』『カティサーク』『ワイルド・ターキー』等。
村上作品はけっこう読んでいるという方が少なくないと思う。だが、こんな酒たちがどこに出てきたかわかったらたいしたものだ。ふつうは絶対にわからない。いくつかは記憶していたであろう著者だって、執筆前には読み返して、あれとこれとをつなげて、こう展開してと構想を練ったと想像する。仕事には真摯に向き合う彼のことだから、きっと飲まずに考えただろうが、私だったら間違いなくウイスキーを手にしている。あなたならどんな酒を手にするか、そんなふうに読むのもよい。
『泥酔文学読本』 あなたが知ってる作家は?
『泥酔文学読本』を3名様にプレゼント
ご応募は、メールタイトルに「泥酔プレゼント応募」と記入のうえ、本文に「お名前」「送付先」を明記して、下記へお送りください。締め切りは7月7日(日)まで。結果は賞品の発送をもって発表にかえます。
プレゼントは株式会社春陽堂書店が発送。
いただいた個人情報は厳重に管理し賞品の発送以外での用途には利用いたしません。
応募先はこちら info@shunyodo.co.jp
※記事の情報は2019年7月3日時点のものです。
『さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。
- 1現在のページ