2019年のボジョレー・ヌーヴォーを楽しもう

ボジョレー・ヌーヴォーの季節がやってきました。解禁日に株式会社イズミック主催のイベント「ボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ会」におじゃましてソムリエにお話を聞いてきました。今年のボジョレー・ヌーヴォーは、どんなお味なのでしょうか。

ライター:まるまる
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ボジョレー地域が春の霜害や夏の雹(ひょう)に悩まされた2019年

11月の第3木曜日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日。2019年は11月21日がその日でした。解禁日当日開催された株式会社イズミック主催の「ボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ会」は、メーカーや輸入業者のご担当者を招いて約30銘柄を試飲する会です。
 
会の様子

実は2019年は、フランス全土でぶどうが不作だった年らしいです。こういう年のボジョレー・ヌーヴォーはどういう味わいになるのか、イズミックのシニアソムリエ安藤琢哉さんにお話をうかがいました。

「フランス全体が不作だったようですが、特にボジョレー地区では春の霜害などの影響で収量が2〜3割ほど減ったようです」(安藤さん)

ぶどうの量が少ないと、味はどうなっていくのでしょうか。

「少ないからと言って味が悪くなるわけではなく、凝縮した味わいになることもあります。ただ今年は8月下旬に雹に見舞われたこともあって、とりわけ条件が厳しい年になりました。その影響なのか、味わいは、丸みを帯びたというより、エッジの効いたものになっていますね。そういうヴィンテージによる違いを味わうのも、ボジョレー・ヌーヴォーの楽しみのひとつです。またこういう年は、生産者の方針や技術が表面に出やすいのも特徴です」(安藤さん)
 
安藤さん
シニアソムリエ 安藤琢哉さん

イズミック リテールサポート部、シニアソムリエ 海田恵利さんも、安藤さんと同様の感想を持ったようです。

「果実味が抑えられて、おとなしめな印象ですね。作り手によって酸味が立っているものもあるし、華やかな香りが立っているものや、まとまっているものなど、けっこう幅があるなと感じました。作り手の手腕によって違いが出ていますので、その違いを飲み比べてみるのも楽しいと思います」(海田さん)
 
海田さん
シニアソムリエ 海田恵利さん

せっかくなので、ワイン初心者の筆者もいくつかの銘柄を試飲してみました。・・・いやどれも「か・な・り」美味しいんですが・・・。少なくとも、スーパーなどでジャケ買いした普通のワインを飲んで「失敗したよー」という経験だらけの我が身からすると、どれも素晴らしいワインにしか思えません。最近よく言われるようにボジョレー・ヌーヴォーは酸味ばかりで味が薄いなどというのも、まったく見当違いの風評にさえ思えてきます。厳しい年って本当なのでしょうか。イエノミスタイルのソムリエ編集部員、青田俊一さんにも聞いてみました。
 
青田さん
ソムリエ 青田俊一さん

「ふだんワインをあまり飲まない人にとって、ボジョレー・ヌーヴォーは入門編として、とてもいいワインですよ。しかも最近は技術の進歩がすごいので、たとえぶどうの出来が思わしくなくても、それに左右されない味に仕上がってきていますからね。今年も、ブランドによって幅はあるけれど、フレッシュな果実味もけっこうあって、ボジョレー・ヌーヴォーらしいものが結構出ています。いつものワインもいいけれど、この季節は新酒をみんなでワイワイ楽しみながら飲むのもいいものだ、と思います」(青田さん)

なるほど、ぶどうの出来不出来にかかわらず最近では美味しいワインができるということですね。そして私のような初心者には何年か熟成したものよりもむしろこっちのほうが良いこともあると。試飲してみて、たしかにその通りかもしれないと思ったのでした。
 
テーブルの上のワイン

ボジョレー・ヌーヴォーにはハムやソーセージ、焼き鳥が合う

ワインといえば、やはり飲みながら何を食べるかの選択が肝心な気がします。2019年のボジョレー・ヌーヴォーにはどんな食べ物が合うのか、安藤さんと海田さんに聞いてみました。

「本国フランスのボジョレー地区の名産といえば、ハムやソーセージなどの加工肉ですから、ボジョレー・ヌーヴォーはこうした食品によく合うワインだとよく言われます。私も、特に豚肉にとてもよく合うワインだと感じています。豚肉は果物のソースでよく調理されますし、ボジョレー・ヌーヴォーもまた、バナナの香りに例えられるように、フルーツの味わいが特徴のワインだから、互いの相性が良いのではと個人的に思っています」(安藤さん)

「焼き鳥です。ボジョレー・ヌーヴォーはタレを付けて焼いた焼き鳥が最も合うというのが私の持論です。ですが、今年はワインの果実味が少し前面に出ていない分、塩で焼いてレモンをふりかけた焼き鳥が合うのではないでしょうか」(海田さん)


なるほど、ハム、ソーセージ、それに焼き鳥(塩)。思い浮かべるだけで飲みたく食べたくなってきました。今夜はそれに決まり。さっそくボジョレー・ヌーヴォーを買いに、お店に行ってきます!
食べ物とワイン
※記事の情報は2019年11月26日時点のものです。
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