【アレンジひれ酒】作り方は無限大! 身近な食材でやってみたら楽しかった

冬の風物詩「ひれ酒」を、ひれに縛られず、コンビニやスーパーで手に入る干物や乾物で作ってみたらどうだろう? いろいろ編集部で実験してみた結果、かなり楽しいしおいしかったので、家飲み派の皆さまにおすすめします!

メインビジュアル:【アレンジひれ酒】作り方は無限大! 身近な食材でやってみたら楽しかった

ひれ酒とは? 基本の作り方は?

体の芯から冷えるような寒い夜、飲兵衛たちが恋しくなるのがひれ酒です。魚の旨味がじんわり溶け出した熱々をちびりちびりやる。堪えられないおいしさです。

そもそも「ひれ酒」は、河豚や鯛などのひれを炙って熱燗に浸すことで、ひれの香りや旨味を酒に移したもの。

ふつう熱燗の温度は50℃くらいですが、ひれ酒の場合は飲み頃温度が75~80℃くらいと超熱々。それというのも、ひれの旨味成分がお酒に溶け出す温度が70℃以上だからなんだそうです。
ひれ酒

物の本によれば、もともとひれ酒は漁師たちに親しまれていた飲み方でしたが、物資乏しい戦後、安い三増酒をなんとかおいしく飲みたいと巷でもこの飲み方に注目が集まり、広まっていったんだとか。

いろんな食材で自由に楽しむ「アレンジひれ酒」

そんなひれ酒をいざ家で飲みたい!と思っても、近所のコンビニやスーパーで河豚や鯛のひれがそう簡単に手に入るわけではありません。しかも高級魚のひれとなると値段も少々お高め。

もっと身近な食材でひれ酒が楽しめないものか…。「ひれ酒=食材の香りや旨味を移した熱燗」と解釈すれば、旨味を含んだ食材なら他にも色々あるので、何もひれにこだわらなくてもいいんじゃ? 

そんなわけで、コンビニのおつまみコーナーや台所にある熱燗に浸したら旨味が広がりそうな身近な干物やら乾物やらを集めて、どれがアレンジひれ酒としておいしいか実験してみることにしました!
乾物各種

日本酒はかなり熱々にするので、繊細な味を楽しむタイプよりも、どっしり頑丈そうなパック酒が良い気がします。コンビニおでん出汁割りの記事でも素晴らしい仕事をしていた、白鶴「まる」をチョイス。これを沸騰直前くらいの熱燗にしておきます。
まる

せっかくなので編集部メンバーにも声をかけて、この実験に付き合ってもらうことにしました。

【アレンジひれ酒】…魚介編

■うるめいわし

まずは、コンビニのおつまみコーナーで入手したうるめいわしから。

これをひれ酒を作るときのように炙ります。
いわしを炙る

炙ったうるめいわしを熱燗にイン。お皿でフタをして少し蒸らします。
コップにふたをする

3分くらい経ったらできあがり!
いわし酒
編集部員A

編集部員A

おお、何かがじわじわ溶け出しているのがわかりますね!

編集部員E

編集部員E

これ、ひれ酒の味に近いですよ。いい出汁が出てます

編集部員S

編集部員S

想定内ではあるけど、おいしい!

編集部員F

編集部員F

ほんとにスープみたいですね~

編集部員S

編集部員S

熱燗に浸した後のいわし、柔らかくなっててイケる! 酒とつまみ、二度楽しめるのがまたいいね~

編集部員Y

編集部員Y

ほんとだ。おかずにもなるね。ごはんと一緒に食べたい

■あたりめ

お次は、先ほどのうるめいわしとともにおつまみコーナーに並んでいた、あたりめ(ひれはどこにも付いてないですけど)。これも炙って熱燗に投入。
あたりめ酒
編集部員Y

編集部員Y

イカの香り…というか、焼きイカの香りだ

編集部員S

編集部員S

これも炙って正解だね~。うまいうまい

編集部員E

編集部員E

熱燗に浸すと出汁ってこんなに出るものなんですね

編集部員F

編集部員F

お酒から出したイカそのものは旨味が抜けてて、なんかゴムみたいです(笑)

編集部員A

編集部員A

これは「二度おいしい」ってわけにはいかないか。それだけ味がお酒に溶け出してるってことでしょうね

■ほたて貝ひも

続きまして、味付きのほたての貝ひもです。熱燗に浸すと、さっきまで縮こまっていた貝ひもがみるみる戻されていきます。
ホタテ紐酒
編集部員E

編集部員E

ふやけた貝ひもがグラスの中でたゆたう感じが素敵ですね~

編集部員Y

編集部員Y

飲んでみると、これは結構磯の香りが強い! 俺はそこが好きだけど

編集部員S

編集部員S

うーん、ちょっと甘いかなー。調味料の味が出てる。ほたての旨味より調味料の味のほうが勝ってる感じ

編集部員F

編集部員F

味付きじゃないプレーンな貝ひもでやってみるとまた違ったかもしれませんね

■かつおぶし厚切り

編集部の台所にあった、かつおぶしの厚切りでも実験!
鰹節酒
編集部員F

編集部員F

お蕎麦屋さんの前を通ったときのような、いい出汁のにおいがします

編集部員S

編集部員S

これおいしい。でも欲を言えば、かつおの味はもう少し控えめがいいかも

編集部員A

編集部員A

かつおの量がちょっと多かったですかね

編集部員Y

編集部員Y

少しぬるくなると、味がマイルドになるけどね

編集部員E

編集部員E

香りはいいんだけど、やっぱり旨味が強すぎて私はちょっと苦手です。厚切りじゃなくて花かつおでやるともう少し上品に仕上がるかも

後日談:花かつおでも試してみたところ、予想通り(↑)、香りも味わいもより繊細で優しい感じになっておいしかったです!

【アレンジひれ酒】…その他の乾物編

魚介系干物のひれ酒が押し並べておいしいのは「やっぱりね!」という感じですが、それ以外の乾物ではどうでしょうか?


■おつまみ昆布

「おやつ昆布」「おしゃぶり昆布」とも呼ばれるスティック状のアレ。ほんのり調味されています。
昆布酒
編集部員A

編集部員A

これ、懐かしの昆布茶の味じゃないですか?

編集部員S

編集部員S

唐辛子を入れてピリッとさせても良さそう

編集部員Y

編集部員Y

昆布…っていうか、「都こんぶ」の味がしない?

編集部員F

編集部員F

たしかにアミノ酸感ありますね

編集部員E

編集部員E

さっきの貝ひももそうだけど、ひれ酒にするなら味付きじゃなくて素のままの食材のほうがいいのかもしれませんね

■ドライトマト

テレビの料理番組でトマトと昆布の旨味成分は同じである、というようなことを聞いたので、一番想像つかないですがドライトマトも浸してみました。
ドライトマト酒
編集部員E

編集部員E

あー、なるほど…! 私、塩トマト好きなんですけど、その味がします

編集部員S

編集部員S

最初は頭が混乱する味だけど、慣れてくるとおいしい

編集部員Y

編集部員Y

これはもうトマトスープだよ

編集部員A

編集部員A

トマトってやっぱり旨味成分がすごいんですね。

ぐいぐい進む系ではないけれど、これもアリ

編集部員F

編集部員F

私はトマトが苦手なので厳しいですが、トマト好きにはおすすめですね

■干ししいたけ

いりこ・かつお・昆布に続く、和食の基本だし食材といえば「干ししいたけ」。
干しシイタケ酒
編集部員F

編集部員F

ふあ~! いい香り~

編集部員E

編集部員E

香りも味も主張しすぎずお上品~。私この飲み方好きです!

編集部員S

編集部員S

しいたけのエキスがすごく出てる

編集部員A

編集部員A

かつおや昆布とはまた違った旨味ですね

編集部員Y

編集部員Y

きのこの乾物って干ししいたけくらいしか思いつかないけど、ほかの種類のきのこでも試してみたいね

■ドライリンゴ

最後にドライフルーツ。これもひれ酒からはかなり遠いですが、日本酒の香りを表現するのにバナナやリンゴなんかに例えたりもするし、イケるのでは?
ドライリンゴ酒
編集部員A

編集部員A

わ!香りがデザート! こういうホットドリンクありそう

編集部員S

編集部員S

ほんとだ、意外とありだね~。風邪の時に飲みたい感じ

編集部員Y

編集部員Y

アップルティー飲んでるみたい。食後にもいいね

編集部員F

編集部員F

私もこれ好きです。女子にウケそう

編集部員E

編集部員E

これは飲み続けたくなる味。他のドライフルーツでも試してみたいですね

【結論】アレンジひれ酒の作り方は未知数

今回様々な食材でアレンジひれ酒を試してみたところ、本物のひれ酒に近いという点では、やはり満場一致で「うるめいわし」という結果になりました。熱燗に浸したあとの、いい具合に柔らかくなったいわしもおつまみとしてグッド。

それから出汁系食材では干ししいたけの繊細なおいしさも高評価でした。

そして一番意外でおいしかったのが「ドライリンゴ」! これはもう、普段お酒を飲まない方にも全力でおすすめしたいデザート系ホットドリンクでした(※ちなみにドライフルーツはお家でも簡単にできますよ!)。

この試み、最後まで「そもそもこれをひれ酒と言っちゃって良いものか…」という心のしこりは残り続けましたが、「やってみると楽しい」ということはお約束できますし、今回試していない干物や乾物の中にも「これぞ!」というものがきっとあるはずです。みなさんもこの冬、ぜひいろんな食材でお試しください。


※記事の情報は2019年12月25日時点のものです。
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