青森郷土料理『イカメンチ』祖母伝授の本場レシピ! レシピのコツとイカのさばき方

イカの香ばしい香りが家飲み欲そそる、青森県津軽地方のおつまみ「イカメンチ」。外はカリッ、中はふわふわになるレシピを青森の祖母に教わりました。一度覚えたらすぐできる、スルメイカの簡単なさばき方もご紹介します!

メインビジュアル:青森郷土料理『イカメンチ』祖母伝授の本場レシピ! レシピのコツとイカのさばき方

本場青森のイカメンチレシピを教わります

青森県民が愛してやまない郷土料理「イカメンチ」をご存知でしょうか? 

外はカリッと中はふわっとした食感で、たっぷり入った野菜の甘みとイカの香ばしさが家飲みにピッタリのおつまみです。青森では「いがめんち」と呼ぶところもあり、地元のスーパーでは人気のお惣菜として売られています。

青森県出身の筆者も実家に帰ったときはよく食べますが、実は一度も作ったことはなく……。帰省せずともいつでも作れておいしくお酒が飲めるように、今回は実家の祖母にイカメンチのレシピを教わります!
おばあちゃん

青森の郷土料理「イカメンチ」のレシピ・作り方

そもそも「イカメンチ」の起源は、終戦直後の青森ではイカがとても貴重な海産物だったため、青森の漁師がイカを残すところなく食べられるように、とイカメンチのレシピが生まれたと言われています(諸説あり)。

なので今回は従来の作り方にならって、スルメイカをまるごと1杯使ってイカメンチを作っていきます。
 

〈材料(2人分)〉

 スルメイカ……1杯
 キャベツ……1/8玉
 玉ねぎ……中1/2個
 にんじん……1/3本
 卵……1個
☆片栗粉……大さじ2
☆薄力粉……大さじ2
☆しょうゆ……小さじ2
☆砂糖……小さじ1
☆すりおろししょうが……小さじ1
☆塩……小さじ1
 
スルメイカ
スルメイカは、地元のスーパーで購入してきました。写真のように乳白色で透明感があるイカは鮮度がいい証拠。

新鮮なものほど透明度が高く、目は黒々として艶があり、胴体にハリがあります。逆に鮮度が落ちているものは、目がくぼみ、ツヤがなく、白く濁っています。白濁した身に茶焦げた斑点があるものは、腐敗が進んでいる証拠なので購入は避けたほうがよさそうです。

それではさっそく作っていきましょう!
 

① イカをさばく

イカをさばく
冷凍・生どちらにしてもイカをまるごと使う場合は、先にイカの下処理を済ませておきます。
スルメイカのさばき方はこちら
 

② 具材をみじん切りにする

イカみじん切り
イカの下処理を済ませたあと、胴体、エンペラ(三角の耳)、イカゲソをみじん切りにします。もしあればフードプロセッサーで細かくしたほうがふわふわな食感になるのでおすすめです。

 
野菜は粗みじん切り
キャベツ、玉ねぎ、にんじんを粗みじん切りにします。写真ではうっかり細かいみじん切りにしていますが、粗めに切ったほうが野菜の食感が残って美味しいと思います。
 

③ 材料をすべて練り混ぜる

材料をすべて混ぜる
②と☆をあわせて、粘りが出るまで練り混ぜ、溶き卵を入れます。ただ、気温や具材の切り方によって粘りけの強さは変わるので、混ぜてみて柔らかいようであれば、溶き卵の量は少なめにしてみてください。

うまくまとまらないときは薄力粉と片栗粉で調整するか、大葉に包んで丸ごと揚げるアレンジもおすすめ。
 

④ 170度の油で揚げる

フライパンに2センチくらいの高さまでサラダ油を入れ、170℃に熱します。
中弱火で揚げていきます
スプーンで楕円型を作り、油にそっと落とします。

焦げやすいので、油の温度が上がりすぎないよう注意してください。このときは弱中火くらいの火加減で揚げています。

きつね色になったらクッキングペーパーや新聞紙にあげて、余分な油を落として出来上がり!
イカメンチ、完成!
ん~サクサクふわふわの仕上がり! やはりお惣菜コーナーで買うものとは比にならないくらい美味しくできました! イカの香ばしい味わいでビールが進む進む。揚げ物といっても、たくさん入った野菜の甘みがぎゅぎゅっと凝縮されているので、重くなりすぎず何個でも食べられそうです。


* * *

今回は基本のイカメンチの作り方でしたが、イカメンチは衣や具材を少し変えるだけでまったく違ったおつまみに変化します。

イカメンチのアレンジレシピを地元の友人に訊いたところ、紅生姜や枝豆を入れて味の雰囲気を変えたり、天ぷら粉を使ってサクサクに、豆腐や長芋を混ぜてよりふわふわモチモチな仕上がりにしてみたりと各家庭によってアレンジのバリエーションは様々でした。

新鮮なスルメイカを見つけた時は、ビールのお供にぜひ作ってみてください。

おまけ。スルメイカのさばき方をマスターせよ!

祖母にイカの解体をお願いしてみたところ、さすが青森の漁師町に暮らしているだけあって手際よく教えてくれました。イカをさばき慣れていない人には少々難しそうに思えますが、やってみると意外と簡単! 

スルメイカに限らず剣先イカやアオリイカなど他のイカでもさばき方はほとんど同じなので、この機会にチャレンジしてみてください。知ってるよ~という方は復習用にどうぞ!
 

① まずはイカを胴体とゲソに分ける

イカのワタを引き抜く
イカの目の上あたりに指を入れると、胴とワタ(内臓)がくっついているところがあります。そこに親指を第1関節まで差し込んで剥がし、ゲソを軽くひねりながらゆっくり引っ張って胴体からワタごと引き抜きます。
 
胴体とワタ
上下できれいに分かれました
胴体の内側には透明な軟骨がくっついているので、忘れず抜き取ってください。
 

② 胴体の下処理

胴を水で洗い流す
胴には汚れがついていたり中に内臓が残っていたりするので、流水で洗い流します。

胴とエンペラのあいだに指を入れる
エンペラと胴のあいだに親指を入れて、エンペラのてっぺん側に指をすべらせ、胴とエンペラを引き離します。皮とエンペラは切り離してしまわないようご注意を。

胴の皮を剥く
左手で胴の先をしっかりと持ち、エンペラを下方向に引いて皮を剥ぎ取ります。エンペラと反対側の皮も同様に剥ぎます。今回は出来上がりの見た目をよくするために皮を剥いでいますが、面倒であれば③、④の手順は省略してもいいそう。

〈調理ポイント〉
素手で剥がしにくいときは、キッチンペーパーや豆絞りを使うときれいに剥がせます!

軟骨があった部分に包丁を入れて胴の身を開きます。
身を切り開く
写真ではイカを浮かせて切っていますが、危ない持ち方なのでまな板の上に寝かせて切ることをおすすめします!
 

③ ゲソの下処理

ゲソとワタに切り分ける
次にゲソの下処理です。目の上のくびれている部分に刃を入れます。

※今回はワタを使わないので墨袋ごと捨てますが、ワタも料理に使いたい場合は、墨袋(黒っぽい細長い臓器)を傷つけないようにやさしく剥がし取ってください。
 
イカの目を指で引っ張って取り除く
次に目玉を取り除きます。目の周りにはコリコリと硬い軟骨があるので、食感が気になる人は切り取ってください。

ただ先述したように、イカメンチが生まれたきっかけはイカを無駄なくおいしく食べるために考えられたと言われているので、本来の意味としては軟骨もそのまま入れてしまうのが青森式のようです。
 
イカのくちばしを取る
くちばしはゲソを裏返した中央の身の中にあるので指で押し出し、飛び出てきた部分をくり抜きます。
 
長いゲソ2本を切る
ゲソの足をそろえ、そのうちの長い2本の足を他と同じ長さに切りそろえます。大きな吸盤がついていて食感がよくないので切り捨てます。

ゲソに塩をふる
塩を多めに振りかけます。ぬめりけや小さな吸盤が残っているので、こそぎ落とすようにゲソを1本ずつ手でしごき取り、吸盤が気にならなくなったらイカの下処理は完了! 

イカをさばいた経験のない人でも面白いくらいキレイに解体できるので、機会があればこちらも挑戦してみてください~


※記事の情報は2019年2月6日時点のものです。
 
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