禁酒法時代のワイン? バーボン樽で熟成させたカリフォルニアの赤ワインを飲んでみた。
禁酒法時代の真っ只中にブドウ栽培を開始したワイナリーがその頃をオマージュして作った赤ワインをご紹介。バーボン樽での熟成という奇をてらった新しいスタイルのワインの味わいはいかに。
禁酒法時代のワイン
前述のイメージからかワインは樽で熟成させるのが当たり前だと思っている方もいるかもしれませんが、樽で熟成させるのはコストがかかりますので、私たちがデイリーで飲んでいるワインには樽で熟成させているものはほとんどありません。逆にある程度のお値段のものは樽で熟成させている場合がほとんどです。そしてこの樽の使い方がワインの味を左右するというのも事実だと思います。
で、今回ご紹介するのは、その樽になんとバーボンで使用した樽を使った赤ワイン「ナーリー・ヘッド 1924 バーボン・エイジド ダブル・ブラック カベルネ・ソーヴィニヨン」です。
この“1924”という数字、まあなんとなく年号のように思えますよね。お察しのとおり、この“1924”という数字はインデリカート家がカリフォルニアでブドウ栽培を開始した年に由来します。この1924年はアメリカでは禁酒法の真っ只中。そんな禁酒法下の状況においてブドウ栽培を続けたという信念に敬意を表して生み出されたのがこの“1924”シリーズです。
で、なぜバーボン樽なのかというと、この禁酒法に理由があります。以前にも記事にしたことがありますが、禁酒法時代 (1920年~1933年) には密造酒も出回りました。その中のひとつが法の抜け穴を利用したバーボンでした。
当時バーボンは薬用として認められているものがあり、医師の診断書があれば薬用として購入することができたそうです。医師の診断書を何かしらの手段で入手することができれば、お酒が飲めたというわけです。そんな禁酒法時代のストーリーが、このバーボン樽での熟成につながっています。
成り立ちが分かったところで、早速お楽しみの試飲タイムといきましょう。バーボンというと甘いバニラのような香りが特徴的ですが、果たしてこれがワインの味わいにどう影響を与えているのでしょうか。
バーボンは他のウイスキーとは異なり、使えるのが新樽のみ。樽の再利用ができないため使用済みの樽は、他のウイスキー産地にて使われることがほとんどです。日本の蒸留所でもバーボン樽を使っているところがありますが、ワインで使っているという話は聞いたことがありません。どんな味わいなのか楽しみです。
バーボン樽熟成の赤ワインの味わいは?
色合いは美しいルビーレッド、カベルネ・ソーヴィニヨンらしい濃厚な色合いです。香りは甘くてほんのりスモーキー、そのあとに黒い果実の香りが広がります。口当たりは予想に反してやわらかくなめらか。それでいて濃厚な果実味のある力強い味わいです。タンニンは控えめで、余韻に樽の香りが残ります。炭火で焼いたハンバーグに合わせたいです。
フレンチオークを使用するヨーロッパのワインが繊細な味わいになるのに対し、アメリカンオークを使用するカリフォルニアのワインは甘いバニラの香りが強く出るのが特徴です。
この香り、好きな方はとことん好きなのですが、少々くどいと思われる方がいらっしゃるのも事実。これがバーボン樽を使うことでもっとくどくなるかと思いきや、ちょうどいい塩梅になっています。
バーボン樽で熟成という少し奇をてらった新しいスタイルですが純粋に美味しいです。私のような果実味たっぷりの濃旨ワインが好みの方には堪らない1本ですね。お値段も2,000円ちょっとという価格帯なので、家飲みにも最適。焼肉との相性は抜群だと思います。ぜひお試しあれ。
ちなみに、この“1924”シリーズは今回ご紹介したカベルネ・ソーヴィニヨンとは別にジンファンデルがあるのですが、こちらはまさに禁酒法時代の潜り酒場で好まれたスタイルを再現したワインとのことで、濃厚な味わいが私の好みっぽいので、また別の機会にこちらでご紹介できればと思います。
ナーリー・ヘッド 1924 バーボン・エイジド ダブル・ブラック カベルネ・ソーヴィニヨン【商品概要】
- 産地:アメリカ
- 原料品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100%
- アルコール度数:14.5%
- 容量 / 容器:750ml / 瓶
- 参考小売価格:2,400円(税別)
- 輸入元:モトックス
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