日本ワインの祭典「山形ワインバル」参戦レポート
7月2日に3年ぶりに開催された「山形ワインバル」。県内のワイナリーや山形産のブドウを使うワイナリーが上山(かみのやま)に集結しました。老舗からスタートアップまでさまざまな日本ワイン堪能できるこの催しをレポートします。
灼熱の「山形ワインバル」
前売りチケット(3,500円:試飲券10枚+オリジナルグラス付き)は発売と同時にネットで購入し、コンビニで発券済み。チェックイン前だが宿に車を置かせてもらい会場に向かう。10分ほど歩いて受付したのは午前11時であった。
さあ、たっぷりと山形の日本ワインを味わうぞ!
山形県の日本ワインの生産量は4位
日本のワイン産地というと山梨県を思い浮かべる人が多いだろう。勝沼盆地を中心にワイナリーが点在し、日本ワイン(日本で栽培されたブドウを原料に日本で醸造、瓶詰めされたワイン)の生産量は堂々の日本一だ。第2位は信州ワインバレー構想を掲げて県をあげてワイナリーの開業をバックアップする長野県、第3位は余市・仁木や空知地区でワイナリー開業ラッシュが続く北海道。そしてこの3強に次ぐのが古くから良質なワイン用ブドウの産地である山形県だ。
また、山形県はブドウの生産量では第3位で、山形から原料のブドウを調達する県外のワイナリーは多い。山形産の原料用ブドウのおよそ3分の1が県外に流出していると言われている。
栽培されているブドウ品種は、白ワイン用ではデラウェア種やナイアガラ種、赤ワイン用はマスカット・ベーリーA種がもともと多かった。生食用としても販売でき、かつては甘味果実酒の原料としても使われた品種だ。現在はシャルドネ種やリースリング種、メルロ種やカベルネ・ソーヴィニョン種など欧州系ワイン用品種の栽培が盛んで、シャルドネ種の生産量は国内でもっとも多い。
ワインづくりの歴史を見ると、初代県令の三島通庸がワイン醸造を奨励し、1892年に酒井ワイナリー(南陽市)が、1920年にタケダワイナリー(上山市)が誕生する。その後、続々とワイナリーが誕生していくが、戦時下のワイン増産方針(ワインに含まれる酒石酸が音波防御レーダーに必要だった)に翻弄されたり、甘味果実酒の消費に陰りが出て転換を余儀なくされたり、他の産地と同様に厳しい環境変化にさらされる。現在は荒波を潜り抜けた老舗に加えて、新興のワイナリーが誕生し、日本ワインの産地として注目されている。
で、最初に訪ねた第5会場で東北最古の酒井ワイナリーのブースを発見、ここは良質な日本ワインを生産するワイナリーを格付けする「日本ワイナリアワード2022」で最高位5つ星を獲得している。ちなみに山形県ではタケダワイナリーと高畠ワイナリーも5つ星を獲得しており、5つ星格付けが3か所以上あるのは山梨県の8か所に次に多い。
日本ワインの実力派からニューフェースまで
第3・4会場は日本ワイン万華鏡
さて、次は第4会場。第3会場は道を挟んですぐ隣でひと塊という感じ。ここでも頑張って飲んだ、飲んだ。お邪魔したブースをご紹介。
上山の日本ワインと共に歩んだワイナリー
ここではまず、サントネージュワイン(山梨)にご挨拶。アサヒビールから離れ、日本ワイン専業メーカーとなってから初めてだ。「かみのやま〇〇畑」と冠した商品があることからもわかるように、同社の上山との縁は深い。約40年前にブドウの栽培適地を探していた同社は、上山に着目し農家にワイン用の欧州系ブドウ栽培を働きかけた。以来、農家と勉強会を開くなど、一緒になって良質なブドウづくりに取り組んできた。今回ご紹介している「山形ワインバル」のアイデアも、こうした栽培農家たちの勉強会から生まれたと聞く。
締めは日本ワインの飛び切りの白
ぶらぶらしているとウッディファーム&ワイナリー(上山市)のブースを発見。長く果樹を栽培しジャムやジュースに加工する事業を進めてきた同社は、10年前にワインづくりに乗り出し、瞬く間に日本ワインのトップワイナリーのひとつとなった。某ワインコンサルタントが、SNSでこちらのアルバリーニョ種がすばらしいと絶賛していて気になっていたのである。ブースには残念ながらアルバリーニョ種はなく(当然ですね)、代わりと言っては何だが『ソービニョン・ブラン』をいただく。
そして結果的に今回の大トリになったのがサントリー登美の丘ワイナリー(山梨)の『かみのやま産シャルドネ』。さすがにサントリーは太っ腹でどのワインもチケット1枚。たいへんお得と欲が出て、つい『かみのやまメルロ』も飲んでしまい試飲チケットをすべて使い切ってしまった。
タケダワイナリー(上山市)も試さなければと思っていたのだったが後の祭り、次回に持ち越しとなった。
※記事の情報は2022年7月21日時点のものです。
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