福井の酒と食、伝統工芸を発信-ESHIKOTOプロジェクト始動
福井を代表する銘酒「黒龍」。地酒ファンならずともその名を知る方は多いだろう。2024年春に北陸新幹線は、福井と東京は2時間53分で結ぶようになるが、「黒龍」はそれを見据えて「ESHIKOTO(えしこと)プロジェクト」を始動した。
ブルゴーニュのようなSAKEツーリズム
同町下浄法寺地区に3万坪の敷地を確保し、現在はレストラン&ショップの「酒楽棟」とスパークリングSAKEの貯蔵セラーのあるイベントスペース「臥龍棟」、そして清酒や焼酎の長期熟成用の「地下蔵」が完成、今後は宿泊施設や蒸留所を建設し、北陸・福井の酒と食にこだわりながら、伝統工芸や永平寺の文化を国内外に発信する。
ちなみに「ESHIKOTO」は永久(とこしえ)を逆から読んだ造語で、「いいこと」の意味もある。さまざまなつくり手やクリエーターがここで交流し、福井の「いいこと」を発掘・開発・育成を目指す。
長く温められた構想は10年ほど前から具体化に向けて動き出し、四季を通じて九頭竜川の美しい眺望を楽しめる下浄法寺地区に白羽の矢を立てる。用地を取得すると35軒の地元住民に主旨を丁寧に説明し、理解を得ながら開発を進めたという。
「スパークリング」は清酒のフロンティア
醸造責任者の畑山浩氏はスパークリングSAKEについて「清酒の製法は江戸期に確立したが、スパークリングSAKEはまだ始まったばかり。この酒への取り組みで新しい清酒の技術開発が一気に進むと感じている。乾杯の華やかさがありながら、肌理の細かい泡と味わいの複雑さ、清酒ほんらいの酸と旨味もあり幅広い料理に合わせられる酒を目指し、最低15ヶ月貯蔵している。大きな貯蔵庫をつくったのは、それだけの広さが必要であると同時に、きちんと貯蔵していることを見せる意図もある」と説明した。
ケーキとアペロを楽しむ「酒楽棟」
acoya福井の店内は、黒を基調とした「アペロacoya」と白を基調としたコーナー「パティスリーaccoya」に分かれており、前者ではESHIKOTOでだけ提供されるスパークリンSAKEや梅酒を味わえる。フードはもちろん厳選した福井の食材を活かしたもので、フレンチをベースにすぐ近くにある永平寺の禅を意識し仕立てたおつまみが並ぶ。一方のパティスリーaccoyaはケーキや焼き菓子を提供する。
〒910-1202
永平寺町下浄法寺12-17 レストランacoya
TEL:0776-97-9396
石田屋ESHITOKO
TEL:0776-63-1030
ESHIKOTO公式サイト
※記事の情報は2022年7月7日の情報です。
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