ドイツのビールを飲んでみた!~ソムリエ厳選のおすすめを紹介~
世界のさまざまな国で飲まれているビールですが、国によってそのスタイルは多種多様。そんな各国のビールを、ソムリエの資格を持つ名古屋の酒類卸、青田が紹介する企画。今回は10月、オクトーバーフェストにちなんでドイツビールにスポットを当ててご紹介します。
ドイツのビールをご紹介!
ドイツといえば誰もが知るところのビール大国。オクトーバーフェストで大きなジョッキ片手にビールを楽しむ光景は、ドイツのイメージとして何かしらで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
そんなドイツビールですが、日本のオクトーバーフェストに行ったことのある方でも、「とにかく量が多い、色が濃いものが多い」くらいの認識で、意外と詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
というわけで今回は、ドイツビールの特徴と代表的なスタイルをご紹介したいと思います。
ドイツのビール文化とビール純粋令
ドイツビールを語る上で避けては通れないのが「ビール純粋令」という法律の存在です。
「ビール純粋令」は1516年に制定された現存する世界最古の食品に関する法律で、そこには“ビールは麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とすること“とビールの製法について明確に規定が記されています。1993年にドイツ酒税法の範疇に加えられ、制定から数世紀経った今日までこの法律が厳格に守られています。ちなみにビール純粋令制定当初は、小麦は食料として重要だったためビールの原料としての使用は禁止されていましたが、1993年のドイツ酒税法の法制化の際に上面発酵の場合のみ使用が認められるようになりました。
このように製法について厳しいルールが存在しているので、ベルギービールのようになんでもありの多種多様なスタイルというわけにはいかず、ドイツビールにはある程度の味の方向性みたいなものが存在しています。とはいえ、ドイツでは1,200を超える醸造所で5,000種類ほどのビールがつくられており、同じドイツの国内でも土地が違えば水も変わるし、ラガーが得意なエリアもあればエールが得意なエリアもあったりするので、味の個性がまったくないということではありません。
法律の制約を受けながらも、個性豊かなビアスタイルを発展させてきたというのがドイツビールの面白いところでもあります。
ドイツビールのスタイル
まずは麦芽による違いです。この違いは色に如実に表れます。
大きく分けて、
・大麦麦芽や小麦を原料とする白ビールと呼ばれる淡い色のタイプ
・日本でもよく見かけるオーソドックスな黄金色のタイプ
・麦芽を高温で焙煎した濃色麦芽を原料とする濃い色のタイプ
の3つのタイプになります。
麦芽の違いというとさらに、燻製した麦芽を原料とする「ラオホ」というスタイルがあるのですが、こちらは日本ではあまり出回っていません。ただし、クラフトビールではたまに見かけるスタイルなので、気になる方はそちらを探されることをおすすめします。入手しやすいところだと富士桜高原ビールさんがつくっています。
次に酵母による違いです。こちらは、発酵の温度によってラガータイプとエールタイプの2つに分けられます。
日本で主流となっているラガータイプは、「下面発酵酵母」というもろみの下のほうで発酵する酵母が使われます。5度~10度という低い温度で発酵する、飲みやすくすっきりしたタイプで、ドイツ南部のほうに多いスタイルです。対するエールタイプは、よくクラフトビールでも見かけるスタイルで、「上面発酵酵母」というもろみの上のほうに浮き上がる酵母が使われます。常温で発酵するフルーティーな味わいのタイプで、こちらはドイツ北部のほうに多いスタイルになります。
ここまで少し長々と説明しましたが、百聞は一見に如かず!ということで、実際に日本で流通している銘柄を飲みながら説明していきます。
ドイツビールのスタイル4選!
ちなみにこの「ヴェルテンブルガー」を手掛けるヴェルテンブルグ修道院醸造所はドイツの南部に位置し、⻄暦1050年からビール醸造をし始めたという記録があります。現存する修道院醸造所としては最古のブランドといわれる、由緒ある醸造所です。
ドイツビール①|ピルス
ピルスナーは元々チェコのピルゼン地方発祥のスタイル。世界で最も飲まれているスタイルで、スーパードライなどをはじめ日本でも主流のスタイルなので、ご存じの方も多いと思います。
ただ日本のピルスナーは副原料に米やコーンを使っているものも多いので、副原料の使用が認められていないドイツのピルスナーとは少々味わいが異なります。
今回はよりドイツの気分を味わうためグラスも拝借しました。500mlがぴったり入る、普段使いにはかなり大きめのグラスです。
ドイツビール②|ヘフェ・ヴァイスビア・ヘル
ヴァイツェンはドイツ語で“小麦”を意味しており、その名のとおり原料に小麦を50%以上使ったスタイルとなります。ちなみにヘフェ・ヴァイスというのは無濾過で少々濁りがあるタイプで、ドイツではこのタイプが主流となっています。
フルーティで苦みが少ないのが特徴で、ビールが苦手な方にもおすすめのスタイルです。こちらも試飲をしてみましょう。
ドイツビール③|アッサム・ボック
ボックは古くからドイツで愛されているスタイルで、北ドイツのアインベックという町が発祥とされています。当初は上面発酵のビールでしたが、ドイツ南部のミュンヘンでつくられるようになってからは下面発酵が主流となっています。
アルコール度数が高めで、ローストした麦芽の甘みと重厚なコクが特徴のスタイルです。それでは試飲です。
ドイツビール④|バロック・ドゥンケル
濃色タイプにはもうひとつシュバルツというスタイルがあるのですが、こちらはシュバルツよりも麦芽の焙煎温度が低いため、シュバルツや先述のボックよりも色が薄く、黒というよりはダークブラウンのほうが表現的には近い色合いです。
濃色タイプではありますが、口当たりが軽く苦みも控えめで、すっきり飲みやすいのが特徴のスタイルです。
ダークブラウンの色合い、芳ばしいロースト香、控えめな苦みと麦芽のほどよい旨み。色のイメージに反してかなりすっきり、香りと味わいのバランスの取れた飲みやすい印象のビールです。
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今年は本場ドイツでも2年ぶりにオクトーバーフェストが開催されたそうです。いつかは本場のオクトーバーフェストを体験してみたいものですが、昨今の事情ではなかなか難しそうなので、今のところは家飲みで我慢するしかなさそうですね。ドイツビールは骨格のしっかりしたタイプが多く、脂ののった秋の味覚にもよく合います。ぜひ秋の味覚に合わせてオクトーバーフェストの気分をお楽しみください。
【商品概要】ヴェルテンブルガー ピルス
- 生産国:ドイツ
- 原材料:麦芽、ホップ
- アルコール度数:4.5%
- 容量 / 容器:500ml / 瓶
- 参考小売価格:670円(税抜)
- 輸入元:月桂冠
【商品概要】ヴェルテンブルガー ヘル・ヴァイス
- 生産国:ドイツ
- 原材料名:麦芽、ホップ
- アルコール度数:5%
- 容量 / 容器:500ml / 瓶
- 参考小売価格:670円(税抜)
- 輸入元:月桂冠
【商品概要】ヴェルテンブルガー アッサム・ボック
- 生産国:ドイツ
- 原材料名:麦芽、ホップ
- アルコール度数:7.5%
- 容量 / 容器:500ml / 瓶
- 参考小売価格:670円(税抜)
- 輸入元:月桂冠
【商品概要】ヴェルテンブルガー バロック・ドゥンケル
- 生産国:ドイツ
- 原材料名:麦芽、ホップ
- アルコール度数:4.5%
- 容量 / 容器:330ml / 瓶
- 参考小売価格:444円(税抜)
- 輸入元:月桂冠
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