オーストラリア発! 次世代の自然派ワイン「ソモス」を飲んでみた

近年、飲食店でも取り扱うところが増え、じわじわと注目が高まる自然派ワイン。今回はそんな自然派ワインの中から、オーストラリアとメキシコという異なる国籍の2人で立ち上げたワイン「ソモス」をご紹介。若き才能が手掛けるその味わいとは。

ライター:青田俊一青田俊一
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名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします! 今回はオーストラリアの自然派ワインをご紹介します。

オーストラリアからやってきた自然派ワイン「ソモス」

今年のトレンド予測の記事でも取り上げたように、ここ最近、自然派ワインを取り扱う飲食店がとても増えたような気がします。ここまで増えてくると、ちょっと飲んでみようかという気持ちになりますよね。そんなわけで昨年ぐらいからじわじわと飲む機会が増えてきたのですが、これが意外とハマってしまいまして。今回はその中から、個人的におすすめしたい自然派ワインをご紹介したいと思います。

それが、「ソモス」という南オーストラリアの自然派ワイン。オーストラリアのワインというと大量生産型というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、近年では高品質なワイン産地として注目を集めています。
ソモス
「ソモス」の始まりは2010年、オーストラリアのベン・コールドウェルと、メキシコからワイン醸造を学ぶためにオーストラリアに留学していたマウリシオ・ルイス・カントゥーという国籍の異なる2人の若者の出会いがきっかけでした。当時、醸造と栽培を学ぶため大学在籍中だった2人は意気投合し、大学卒業後すぐの2013年に「Juguette Wines」を立ち上げます。

当初は伝統的なスタイルのワインのみを生産していましたが、若い2人にはそれだけでは物足りなかったようで、2014年に立ち上げたのが今回ご紹介する「SOMOS(ソモス)」です。ちなみに「SOMOS」とはスペイン語で“私たちの”という意味だそうです。

ソモスはミニマル・インタヴェンションスタイル(最低限の人的介入)でのプロジェクトで、バイオダイナミック、オーガニック農法で栽培されたブドウのみを信頼のおける農家から購入し、野生酵母による醗酵、最小限の添加物使用というアプローチでワインをつくっています。

自然に配慮したブドウ栽培と野生酵母での醸造、いわゆる自然派ワインになるわけですが、つくり手によって味わいがかなり異なってくるというのも面白いところ。そんなわけで早速試飲といきましょう。

ソモス「ロス・メロンス ディナミコス」を飲んでみた

今回ご紹介するのは3種類。オレンジ、白、赤というラインナップです。

まずは「ロス・メロンス ディナミコス」というオレンジワインからです。
ソモス ロス・メロンス ディナミコス
「ロス・メロンス ディナミコス」はマクラーレン・ヴェイルに位置するビオディナミの畑から収穫された、ヴィオニエというブドウ品種でつくられるオレンジワインです。スイカ男(?)のラベルがなんとも特徴的ですね。

ヴィオニエはアロマティックな香りとリッチな果実味が特徴のフランス、ローヌ地方を代表する品種。オーストラリアで栽培が盛んな黒ブドウのシラーズと関係が深いことから、こちらも多く栽培されています。
ソモス ロス・メロンス ディナミコス
色合いは濁ったオレンジ。メロンのような甘い香りと白い花のフローラルな香りが立ち上がります。口当たりは柔らかく、しっかりとした旨みのある果実味に、かすかにタンニンを感じます。オレンジワインは結構な確率でえぐみが強いタイプに出会うのですが、こちらは非常にきれいでバランスの取れた味わいです。

ボディがしっかりしているので、濃いめの味付けの料理との相性も良さそうです。個人的には中華料理、特に花椒を使った料理に合わせたい1本です。

ソモス「ブランキート」を飲んでみた

続いて白ワイン、「ブランキート」です。

ソモス ブランキート
「ブランキート」は毎年異なるブレンド比率でリリースしているとのことですが、このヴィンテージはヴェルメンティーノが主体。

ヴェルメンティーノはイタリア、サルディーニャ地方を代表する白ブドウ品種。イタリア以外では、サルディーニャ島と同じくティレニア海に浮かぶフランスのコルシカ島くらいでしか生産されているイメージがなかった品種なのですが、ここのところオーストラリア産のヴェルメンティーノをよく見かけるようになりました。

ちなみに最近ではほかにも、サンジョヴェーゼやネロ・ダヴォラといったイタリア原産のブドウ品種を使ったオーストラリア産ワインをよく見かけるようになったのですが、これは温暖化によって品種の代替が進んだ影響だそうです。
ソモス ブランキート
色合いは少しグリーンがかったイエロー。柑橘の香りとハーブの香りが爽やかな印象で、酸味もすっきり爽やか。ヴェルメンティーノらしいミネラル感あふれる味わいで、魚介との相性は抜群だと思います。個人的に合わせたいのはタコぶつのような大衆居酒屋の肴。それくらいカジュアルに楽しんでほしい1本です。

先述のように、このブランキートは毎年ブレンド比率を変えているのですが、味わいの方向性は一貫して変えておらず、“潮風を感じるようなミネラリックな白”がコンセプトとなっています。こちらもまさにそのコンセプト通りの味わいですね。

ソモス「ティンティート」を飲んでみた

最後は赤ワイン、「ティンティート」です。
ソモス ティンティート
「ティンティート」はグルナッシュが主体の赤ワイン。こちらもヴィンテージによってブレンドの比率を変えているようです。

グルナッシュはスペイン原産といわれている品種で、スペインでは「ガルナッチャ」、イタリアのサルディーニャ島では「カンノナウ」とも呼ばれており、比較的暖かいエリアでの栽培が盛んです。こちらもシラーズと相性が良いことから、オーストラリアでは注目の品種となっています。
ソモス ティンティート
色合いは明るく透明感のあるルビーレッド。 ラズベリーなどの赤い果実のほんのり甘い香りに、味わいは少し酸味のある果実感とほんのりスパイス感。タンニンは控えめで口当たりはなめらか。グルナッシュは割と濃厚な味わいのものが多いイメージですが、こちらはかなりすっきりとした印象なので様々な料理と合わせやすそうです。 個人的には肉じゃがのような家庭料理と合わせたいですね。こちらもそれくらいカジュアルに楽しんでほしい1本です。

ちなみにソモスのおふたりはまだ30代。まだまだ進化すると考えると、これからがさらに楽しみです。

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自然派ワインは味わいの幅が広いイメージで、個性の際立ったものが多い印象だったのですが、ここ最近は技術力の向上もあってかレベルが格段に上がり、とても馴染みやすくなったような気がします。取り扱う飲食店も増え、ますます身近な存在となった自然派ワイン、中でもこのソモスは料理に合わせやすく飲みやすいので家飲みにも本当におすすめ。ぜひお試しいただければと思います。

 

【商品概要】ソモス ロス・メロンス ディナミコス

  • 生産国:オーストラリア
  • 原料品種:ヴィオニエ
  • アルコール度数:13.9%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:4,200円(税抜)
  • 輸入元:kpオーチャード

【商品概要】ソモス ブランキート

  • 生産国:オーストラリア
  • 原料品種:ヴェルメンティーノ 88%、ヴェルデーリョ8%、ピノ・グリ 2%、ソーヴィニヨン・ブラン 2%
  • アルコール度数:12.4%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:3,200円(税抜)
  • 輸入元:kpオーチャード

【商品概要】ソモス ティンティート

  • 生産国:オーストラリア
  • 原料品種:グルナッシュ 69%、ウーヴァ・ディ・トロイア 12%、ピノ・ムニエ 10%、メンシア 9%
  • アルコール度数:13.5%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:3,200円(税抜)
  • 輸入元:kpオーチャード
※記事の情報は2023年2月20日時点のものです。
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