カクテルブーム到来に期待! カクテルフェスタに行ってみた

コロナ禍で家で飲む機会が多くなったことで、バーグッズが売れたという話もありますが、実際にいまカクテルのトレンドはどうなっているのか。2023年3月に開催された「CTSJ Brand &Cocktail Festa 2023」からそのトレンドを読み解きます。

ライター:青田俊一青田俊一
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名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします! 今回は大阪で開催されたカクテルのイベントのレポートになります。

「CTSJ Brand &Cocktail Festa 2023」に行ってみた

今年のトレンド予測で「おうちでカクテル」というテーマを取り上げたので、今回はカクテルについてお話ししたいと思います。

長引くコロナ禍で家飲み需要が伸びた結果、バーグッズが売れたなんていう話を耳にしたことがありますが、まだまだ家飲みでカクテルというのはハードルが高いのではないでしょうか。生活が少しずつ以前の形に戻る中、家飲み需要も少し落ち着きつつあるのかなと思います。その反面、外食ではいままで体験しにくかった本物に触れる機会も少しずつ増えてきているのではないでしょうか。外で飲める今だからこそバーでカクテルを楽しみ、家飲みでもまたカクテルを楽しむ、というのが理想の形ではないかと思ったりもします。

そんなわけで、カクテルのいまを知るべく「CTSJ Brand &Cocktail Festa 2023」というイベントにお邪魔してきました。
CTSJ ブランド&カクテルフェスタ
「CTSJ Brand &Cocktail Festa 2023」はカンパリグループのCTスピリッツジャパンが取り扱うブランドの世界観を伝えるべく開催されたイベントで、会場では各種商品の試飲から、トップバーテンダーによるセミナーや実演など、様々なコンテンツが用意されていました。

CTスピリッツジャパン

そもそもCTスピリッツジャパンとは何者かというと、イタリアに本拠地を置くカンパリグループとの合弁会社として2020年に発足した新しい会社。カンパリ社は50を超えるブランドを擁し、スピリッツの売上高では世界で第6位という世界でも有数の企業で、CTスピリッツジャパンはその日本法人という位置づけになります。
ウイスキーのブース
ウイスキーはワイルドターキーやグレングラントなど、ウイスキーのブースを取り扱っています
個人的に注目のラムのブース
個人的に大好きなラムのブース。ジャマイカンラムのアプルトンエステートやトロワリビエールなどが展示されていました
CTスピリッツジャパンではカンパリ、アペロール、チンザノといったイタリアを代表するブランドに始まり、イタリアで最も飲まれているスコッチウイスキー「グレングラント」、プレミアムバーボン「ワイルドターキー」、洋菓子では定番のリキュールの「グランマルニエ」、ロンドンドライジン「ブルドッグ」、ウォッカの定番「スカイウォッカ」、ジャマイカンラムの「アプルトンエステート」やアメリカで人気のテキーラ「エスポロンテキーラ」など、幅広い国のスピリッツとリキュールを取り扱っています。

2022年からは某シャンパーニュメゾンでのキャリアを持つドミニク・ドゥマルヴィルがセラーマスターを務めるシャンパーニュ、「ラリエ」の取り扱いを始めるなど、スピッツに留まらず幅広く展開しています。

そんな豪華なブランドが一堂に会するイベント、楽しくないわけがないですよね。つい仕事を忘れて飲みすぎてしまうところでした。

アペリティーヴォという文化

CTスピリッツジャパンの代表的な商品といえばやっぱりカンパリ。このカンパリにはイタリアの文化が根付いていると言っても過言ではありません。

イタリアにはアペリティーヴォという言葉があります。このコラムでも以前、フランスのアペリティフと同義で“食前酒”のこと、とご紹介したのですが、本来のニュアンスは少し違うそうです。

たしかに食前酒という意味も含むものの、夕食前にお酒を飲みながらゆったり語らうこと自体がアペリティーヴォであり、単にお酒だけのことを指す言葉ではないそうです。例えばネグローニのようにアルコール度数が高く、一般的には食後のお酒というイメージのものがアペリティーヴォの定番と言われていたりするのも、このイタリアの文化であるアペリティーヴォならではのことです。

で、このアペリティーヴォで飲まれるお酒、実はとある共通点があるそうです。それは苦みです。苦みは消化器を刺激し、食欲増進の効果が見込まれるので、そのあとの食事に向けて体が整うという、漢方にも似た考え方からきているようです。

CTスピリッツジャパンの主力ブランド「カンパリ」
CTスピリッツジャパンの主力ブランド「カンパリ」
トップバーテンダーによるセミナーではアペリティーボの話題も
トップバーテンダーによるセミナーでは本場イタリアのアペリティーボの事情をお話しいただきました
そんなイタリアのアペリティーヴォという文化、非常に理にかなっているので、日本でもそういう飲み方ができる場所が増えるといいなと思いました。まあ、まずは家飲みに取り入れてみるというのが手っ取り早いと思うので、とりあえずカンパリかアペロールを購入するとこからですね。ネグローニのプレミックスなんていうのも販売されていたりするので、意外と手軽に始められるのも嬉しいところです。

気軽にカクテルを楽しもう

家飲みでのカクテルはアペリティーヴォに限った話ではありません。冒頭でも触れたように、コロナをきっかけにバーグッズを揃えた方が結構いたらしいという話でしたが、今では埃をかぶってしまっている…なんてことになっていたりしませんか。

今回のイベントではカクテルラボと題し、カクテルの試作を行えるコーナーがあったのですが、ここではトップバーテンダーからレクチャーも受けられる時間も設けてありました。実際に私も「カンパリシェカラート」というカクテルの試作に参加してみたのですが、それなりにおいしくは飲めたものの、プロが作るものとの差は歴然でした。

ちなみに「カンパリシェカラート」とは、カンパリをカクテルシェイカーに入れて氷とシェイクするだけという至って単純なレシピのカクテルで、仕上がりはピンク色で上面に泡の層ができるというのが特徴です。空気が混ざることによって、もともとのカンパリとは違った姿に変わるわけですが、ただシェイクして空気と混ぜるだけという、このシンプルの動作に技術の差がはっきりと表れるんですね。

この「カンパリシェカラート」、本場のイタリアでは氷とシェイクしたあと再度シェイカーに戻して、液体のみをさらにシェイクするという手の込んだレシピで提供するお店もあるそうです。実はこの工程をハンドブレンダーで代用するという裏技もあると教えてもらいましたが、家で作るならそういう方法でも全然ありですよね。
オリジナルカクテル
トップバーテンダーが作るオリジナルレシピのカクテル
カクテルラボ
トップバーテンダーによる実演
プロの料理人の料理と家庭の料理にそれぞれ違うよさがあるように、プロのバーテンダーの作るカクテルと家で楽しむカクテルが違ってもいいと思うんですよね。プロの作るカクテルのほうがおいしいという事実は間違いないのですが、家で好きなように作るのもそれはそれで楽しいですよね。もちろん開ければすぐに飲める便利なお酒は多々ある中、カクテルを作るのはひと手間かかってしまうわけですが、そのひと手間をむしろ楽しんで自分だけの1杯を作ってもらえればと思うのです。

そんなわけでたっぷり楽しませていただいた今回のイベント、あらためてカクテルの素晴らしさを体感することができました。またバーで本格的なカクテルを楽しみたいなと思うのとともに、これからは家飲みでも気軽にカクテルを楽しんでみたいと思いました。みなさまもぜひ、自分だけのおうちカクテルをお楽しみください。


※記事の情報は2023年4月3日時点のものです。
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