シュワシュワの日本酒がたまりません! 活性にごり酒の世界をご案内します。

日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する簗塲友何里(やなば ゆかり)さんのお酒コラム。今回は、シュワシュワの炭酸が楽しくおいしい「活性にごり酒」のご紹介です。

ライター:簗塲友何里簗塲友何里
メインビジュアル:シュワシュワの日本酒がたまりません! 活性にごり酒の世界をご案内します。

シュワシュワの季節到来。

暑い日にはスパークリング! このところ気温も高くなってきて、喉越しの良い、シュワシュワっとしたものを飲みたくなる日も多いですね。ビール? スパークリングワイン? いえいえ、日本酒にも、爽やかな季節にぴったりのシュワシュワしたバージョンがあるんです。喉越しが良いガス感がありながらも、日本酒らしい米の旨味を感じられる、活性にごり酒です。

活性にごり酒とは

火入れという加熱殺菌をせず、醪を粗めに濾した「にごり酒」の総称です。熱処理していないため、発酵が続いて炭酸ガスを含んでいるのが最大の特徴。一概に活性にごりと言っても、さまざまなタイプがあります。代表的なものとして、「粗越し活性にごりタイプ」「瓶内二次発酵タイプ」「炭酸ガス添加タイプ」が挙げられます。


◯粗越し活性にごりタイプ
その名の通り、粗い目のフィルターでこしているので、瓶内に醪が多く残っています。そのまま発酵を続けるため、瓶内に二酸化炭素が増えて行く状態です。味わいは、米感をしっかり感じつつも、爽やかなシュワシュワ感も感じます。ドロッとした飲みごたえのあるタイプの他、うすにごりのサラッとしたタイプもあります。

◯瓶内二次発酵タイプ
瓶に詰めた日本酒に、発酵した醪を足し、瓶内でもしっかり発酵させているタイプです。
泡がきめ細やかで、シャンパーニュと同様に優しい上品な泡が心地良いです。お酒に泡がなじんでいるので、飲んでいても疲れません。発酵が続いているので、熟成させたものはさらに二酸化炭素が瓶内に詰まっています。米の味はもちろん、旨味も感じられ、しっかりした味わいなので、肉料理や、濃い目のソース、スパイスを使ったものに合います。

◯炭酸ガス添加タイプ
日本酒に炭酸ガスを添加して、強めのガス感があるタイプです。爽やかな清涼感や甘味があるものも多いので、食前酒にも良いです。キリっと冷やして飲みたいですね。


活性にごり酒の中には、あまり泡の勢いがないものもあります。ガス感の強いものを見分けるには、骨太な酒を造る蔵の「7号、9号酵母」を使っているものがお勧めです。これらの酵母は比較的発酵が良く続き、甘すぎず飲み疲れしない、ガス感たっぷりの活性にごり酒になります。

開け方に注意!

活性にごり酒は、開栓の時に注意が必要です。基本的には、開栓注意の表記がラベルにされています。活性にごり酒を、通常のお酒のつもりで栓を開けてしまうと、シャンパンファイトのように日本酒が噴き出すことがあるので注意です!

基本的には、キャップシールの上からキリや画鋲で穴を開け、少しずつ空気に触れさせます。あらかじめ栓の上に空気穴が開いているものもあります。
必ずしっかり冷やして発酵を抑え、瓶を横にしたり振ったりしないようにしましょう。四合瓶の場合は、スクリューキャップがほとんどなので、泡の立ち方を見ながら開けられるので便利ですね。
基本的には、キャップシールの上からキリや画鋲で穴を開け、少しずつ空気に触れさせます。
私が経営している発酵フレンチと日本酒のマリアージュのレストランでは、活性にごり酒が噴き出すのを「開栓パフォーマンス」として楽しんだりしています。下の動画は、お正月イベントの時の様子、かなりダイナミックです(笑)。瓶の上下にボールでガードし、こぼれた日本酒も美味しくいただきました!

おすすめの活性にごり酒

私が一番好きな活性にごり酒をご紹介しましょう。
酉与右衛門 純米酒無濾過 阿波山田錦70%精米 活性にごり酒
酉与右衛門 純米酒無濾過 阿波山田錦70%精米 活性にごり酒
岩手県花巻市の我が道を行く、旨口の酒を造る蔵です。通常の直汲みもフレッシュな味わいながらも、米の旨味を感じるしっかりとした飲みごたえがある食中酒です。こちらの活性にごり酒は、すっきりとしたまろやかな優しいシュワシュワ感がありながらも、米の甘味、旨味と酸のバランスが心地良く楽しめます。お燗にしてもおいしく頂け、じっくり熟成させるのもお勧めです。

新しいスタートを切ることが多いこの時期には、勢いある泡の日本酒でお祝いしませんか? 景気よく楽しい気分で出発できますね。



※記事の情報は2018年4月11日時点のものです。
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