映画「君の名は」にも登場した「口噛み酒」とは? 日本酒と神社の深~い関係
日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する簗塲友何里(やなば ゆかり)さんのお酒コラム。今回は、何かと寺社仏閣に縁のある年末年始、日本酒と神社の深~い関係について考えてみよう、というお話。
映画「君の名は」に登場する巫女の「口噛み酒」
酒が米を主体として造られはじめた起源は、縄文時代から弥生時代にかけてだそうです。穀物を口に入れて加温しながら噛み砕き、唾液の酵素で糖化させ、発酵させていたのです。いくら美しい巫女とはいえ、その方がペッと口から出したものを飲料にするというのは、普通の感覚では少々受け入れ難いものですが、「君の名は」によって美しく幻想的に表現され、神秘的な雰囲気になりました。これからは、このアニメを引き合いに出しながら口噛み酒の説明ができます。
実は昔、私は巫女をしていました。ですから、今このように日本酒の仕事をしているのも「ご縁」を感じます。そのため、いつか神社と日本酒についてまとめてお伝えしたいという想いがありました。
まずは日本神話の時代にさかのぼってみましょう。
日本神話から日本酒が登場!
お酒は神様とのコミュニケーションツール
神様への「祀り」が大衆的になり「祭り」となりました。神社での神事の締めくくりには直会(なおらい)があります。御神輿を担いだ後に町会ごとにお酒を飲み食事をする風習も一般的です。神事に関わった人々で神様に奉納したお酒を飲むことで霊力を分け与えられ、自分たちの中に取り込むと信じられています。直会は、ただ単に打ち上げとしてではなく、元々はそんな神秘的な意味もあったのです。
米作り、酒造りと神社
実は今年、酒蔵での田植え体験をさせていただきました。その際も地元の神社の宮司様をお迎えし、田植えを始める前には田んぼの横に祭壇を準備し、良い米が実るよう30分程神事が行われました。昔は、酒造り自体が神事とされており、酒の神様として京都の松尾大社や梅宮神社があります。酒蔵の中には、11月初旬ごろに醸造安全祈願として参拝される蔵もあります。
お燗も奈良時代から
神聖な飲み物日本酒
※記事の情報は2017年11月29日時点のものです。
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