テレビでも紹介! 北イタリアの都会で流行るお酒の習慣とは
北イタリアの都市部では「アペリティーヴォ」と呼ばれる食習慣が根づいています。どんな飲食のスタイルなのか、ご紹介します。
さて、私たちの番組の特徴は、何と言ってもイタリアの食文化の追求です。毎回、その土地ならではの食事やおつまみ、地元産のとっておきのワインの紹介を怠りません。今回もその充実ぶりには自信を持っています。「イタリア人の食の楽しみ方、ワインの飲み方とは、どのようなものか」、それを現地で実際に体験し、試みること。その番組の精神は、この「イエノミスタイル」の哲学とも通じるものがあると思います。
そこで番組のスタートに合わせて、今回の旅の中でも紹介する北の都市部のおもしろい食習慣を、「イエノミ」の読者の方だけに、こっそりお教えしますね。
それは「アペリティーヴォ(aperitivo)」です。
え? なんだか、聞き覚えあるぞ、ですって(汗)?
実はこれ、辞書を引くと「食前酒」と出てくる単語で、イタリア料理好きの方ならレストランなどのメニューで目にしたことがあるかもしれません。
確かに、メニューに出てくるアペリティーヴォは「食前酒」のことなのですが、食習慣としてのアペリティーヴォは、ちょっと違います。
北の都市部に普及したこのアペリティーヴォとは、仕事の後、家に帰る前、タイミングとしては夕食の前に、バーに立ち寄って一杯やるというものです。それなら日本でも、と思うかもしれませんが、そのとき、飲み物を1杯頼むと、なんと、おつまみは食べ放題(お店によります)というセットメニューが用意されているのです。こんな感じのおつまみが、お好きなだけ食べられます。
このような食習慣が流行る背景には、イタリアの夕食時間が遅いことがあります。都市部での一般的な夕食時刻は9時から10時です。日照時間が長く、夏にはサマータイムを取り入れることもあって、8時ごろまで明るい南ヨーロッパでは、日が落ちてからの食事も遅れがち。会社員であれば、5時頃には仕事を終えます。それから9時頃まで食事を待つのはつらいですよね。そこでアペリティーヴォのひとときが、何とも癒されるいい時間となるわけです。
アペリティーヴォで人気のカクテルはこれだ!
このオレンジ色は、「アペロール(aperol)」というイタリア産のハーブリキュールの色。ビターオレンジ、スイートオレンジ、各種ハーブをブレンドして作られており、甘味と苦味が同居した深い味わいが特徴です。
基本的な1杯分の分量としては
・アペロール 20ml
・白ワイン30ml
・ソーダ水 30ml
また、白ワインとソーダ水の代わりに、白辛口のスパークリング・ワインで一気に割ってしまっても美味しくいただけます。イタリアでは「プロセッコ(Prosecco)」というスパークリングで割るのが好まれていますよ。氷を入れてしっかり冷やしていただくのがイタリア流。
さらに、オリーブを入れて、時々カリカリとかじりながら、カクテルをいただけば、味わいに変化が出ますよ。
アペロールは、最近は日本の量販店でもよく見かけるようになりましたが、このアペロールを「カンパリ(Campari)」に変えても、同じ作り方でスプリッツができます。カンパリの方が日本では馴染みがありますね。まずはぜひ番組をご覧になって、それからご自宅でスプリッツを試してみてください。
トリノっ子を癒しているビチェリンって、どんな飲み物?
それがこちら。「ビチェリン(Bicerin)」というチョコレート飲料です
このビチェリンも、仕事の合間や仕事終わりに、トリノっ子たちがのんびりとカフェのテラスでいただく癒しの一杯となっています。
番組の取材を通じて感じたのは、このように一杯の飲み物をうまく使いながら、オンとオフ、強と弱、交感神経と副交感神経を上手に切り替えているイタリア人の暮らしのリズムこそ、我々が取り入れるべきものではないかということです。家飲みのさらなる充実に、ぜひ活用してみてください。
※記事の情報は2018年10月16日時点のものです。
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