お酒の“チャンポン”は悪酔いする説って本当?

人気管理栄養士・森由香子さんによる連載コラム「老けない人は何を飲んでいる?」。今回は、二日酔いしやすいと言われている「お酒のチャンポン」について。

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「チャンポンすると悪酔いする、速く酔いがまわる」
だれしもが、耳にしたことがあると思います。皆さんは、最初に何を選んでいますか?  日本の宴会では常套句の「とりあえずビール」にはじまって、その後、日本酒、ワイン、サワー、ハイボール、水割り、ロックなど、ビールよりもアルコール度数の高いものに移っていく人が多いように見受けられます。少なくとも2種類のお酒をのむ、つまりチャンポンしている人が大半を占めているのではないでしょうか。

チャンポンすると肝臓に負担をかける成分が増える?

チャンポンのように種類を変えていろいろと飲むことで懸念されることに、蒸留酒に含まれる極微量のメチルアルコールや、醸造酒に含まれる不純物(アセトン、フーゼル油)などの存在があります。メチルアルコールは、エチルアルコール(純アルコール)に比べてカラダから排出される速度が10倍ぐらい遅いとされます。ですので、醸造酒、蒸留酒といろいろな種類を組み合わせることで、水やエチルアルコール以外の成分が増えて肝臓への負担がかかるという説があるのでしょう。

「ビール → 蒸留酒」の順番が原因?

また、チャンポンについて、日本ばかりでなく海外でも次のような俗信があります。 「Beer before liquor, never been sicker.(ビールを飲んだ後に蒸留酒を続けると最悪)Liquor before beer, you’re in the clear.(蒸留酒を先にのめば、大丈夫)」
これは、ビールから始めると、次にアルコール度数の高い蒸留酒を飲む場合、ビールと同じぐらいのスピードで速く飲みがちになり、飲みすぎる傾向があります。その一方、蒸留酒、たとえば、ウイスキーのオンザロックをはじめに飲むと、次にビールを続けても、ゴクゴク、ハイペースで飲むことはなく、ゆっくり飲む傾向にあります、というようなことです。

最大の原因は、チャンポンではなく、飲むスピードと量

前頁の海外の俗信でも言っているように、実はチャンポンによる酔いの早さ、悪酔いの原因は、飲むスピード、アルコールのトータル摂取量にあると考えられています。いろいろな種類のお酒をアレコレとスピードを出して飲んでいくことで、知らない間にアルコールの許容量を超えてしまうのです。つまり、チャンポン飲みでも飲酒スピードを調整し、飲酒量をコントロールすれば悪酔いを防げるのです。できれば、飲酒量は、ほろ酔い程度までがよいですね。

「ほろ酔い程度」は、血中アルコール濃度でいえば、0.05%~1.0%となります。血中アルコール濃度を求めるには、次のような式があります。
 
血中アルコール濃度計算式

たとえば体重が53㎏の方ならば、ビール(5%)をどれぐらいの量を飲むと、ほろ酔い程度となる血中アルコール濃度0.05%になるのかをみていきましょう。

ビール500mlで0.05%、ビール1ℓで0.1%です。

繰り返しますが、チャンポン飲みする場合は、「お酒の濃度に合わせて飲むスピードを変えていく」、「ハイペースで常時飲まない」、「ほろ酔い程度で終了する」ことが極意となります。
 
※記事の情報は、2019年5月13日時点のものです。
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