「週に2日」の休肝日は、本当に必要なのか?

人気管理栄養士・森由香子さんによる連載コラム「老けない人は何を飲んでいる?」。 第25回目の今回は、お酒好きなら誰もが気になる「休肝日」についてのお話です。

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「休肝日」、そもそも「肝臓を休める」とはどのような状態か?

3月は歓送迎会、得意先への挨拶まわり、卒業式、そして下旬ごろには桜の開花でお花見宴席など、公私ともに飲酒の機会が増え、肝臓もフル回転となる時期です。

毎日続けて、飲んでいると、ふと頭をよぎるのが肝臓の健康状態ですね。休肝日を設けていないけど大丈夫かなぁと、休肝日なしの飲酒ライフを心配しつつも、美味しいお酒がやめられないという方も多いのではないでしょうか。

1週間に2日程度、休肝日をつくって肝臓を休めましょうと言われていますが、「肝臓を休める」とはどういうことなのでしょうか。

肝臓は、お酒の代謝に限らず、食事からの栄養素の代謝、解毒、貯蔵などを休むことなくおこなっています。そのため肝臓が完全に休むということはありません。しかし、アルコールの代謝(解毒)は、自身の意思で調整可能なため、飲まない=肝臓を休める、という言い方をするのでしょう。

「休肝日は週に2日」の根拠はどこから?

では、「1週間に2日」という数値はどこからきたのでしょうか。

厚労省のホームページをみると、休肝日とは、肝臓を休めるために週に1日以上飲酒しない日を設けることを推奨する目的で作られた造語であり、休肝日を設けると飲酒総量が減り肝障害の予防ができる可能性があると書かれています。



では、海外ではどうでしょうか。2016年に発表されたイギリスのアルコール摂取量に関する新ガイドラインによると、男女ともに1週間のアルコール摂取量を14ユニット(1ユニットは100%アルコールで10ml)以内とし、週14ユニットを摂取する場合は3日以上に分けることを推奨されています。14ユニットは175mlのグラスワインで約6杯分、ウイスキーなら700mlの半分程度です。1週間の総量の設定しか書いてありません。

ある専門家も、肝臓を定期的に休ませればOKという科学的根拠はうすい、毎日2合、1週間を通して14合以内なら悪影響がない。休肝日の設定は、あくまで総量をコントロールするための現実的な手段である。大事なことは1週間の総量であると言い切り、休肝日の2日間を言及していません。

また1週間に2日間の休肝日を設けることでの健康効果のエビデンスはまだ報告されていないようです。

結局のところ「週に2日の休肝日」というのは、普段飲酒量が多い人への警告なのかもしれませんね。2日間飲まない日があれば、総量が減るということなのでしょう。

あくまでも適正な飲酒量は個人差があるため万人にあてはまる数値ではないのかもしれません。一緒にとる食事も影響すると思いますし。とはいっても、1週間の総量、1日あたりの適量は、自分なりに設定しておくことも健康的な飲酒ライフには必要ですね。

※記事の情報は2019年3月10日現在のものです。
 

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