外食デートで飲み物は何を? 知っておきたい注文のコツ
渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」店主・林伸次さんによる連載〈バー店主が語るお店の使い方〉。お酒は「人間関係の潤滑油」となりますが、どの程度飲めるかは人それぞれ。林さんが自分の適量に合った上手な注文方法をレクチャーしてくれました。
まずは自分の「適量」を知ることから
さて、その飲み物の注文です。ところで、日本人は体質的に、5割の人が「いくらでもお酒が飲めるタイプ」で、4割の人が「そんなには飲めないのだけど、練習をして少しは飲めるようになるタイプ」で、1割の人が「全く飲めないタイプ」だそうです。あなたはどのタイプでしょうか? まずそれを知っておいた方が良いですね。
僕自身は、バーテンダーという仕事をしていますが、2番目の「そんなには飲めないのだけど、練習をして少しは飲めるようになったタイプ」です。この仕事を始めるまでは、お酒を飲む習慣はありませんでした。飲み会に誘われたら、ビールを2杯くらい飲んでそれで終わりって感じでした。
でも、バーテンダーという仕事を始めて、世の中には色んなお酒があって、それぞれに色んな歴史や美味しさや文化があって、それを追いかけていくうちに、「お酒の美味しさ」や「自分がどのくらいまでなら飲めるのか」というものを知って、うまくお酒と付き合えるようになりました。
できれば、自分がどれだけお酒を飲めるのか、というのを最初に知っておくと、これからの人生がもっともっと楽しくなります。お酒が人間関係の潤滑油になって、あなたにこれから色んな出会いがあると思います。
お酒の分類を知ると世界が広がる
ここで「お酒の分類」の話をします。ちょっと面倒ですが、知っておくと世界のお酒の色んなことがわかります。是非、おつきあいください。
お酒は「醸造酒」と「蒸留酒」との2種類に分かれます。
例えばワインは、ブドウに酵母がついて、酵母がブドウの糖分を「アルコールと炭酸」にします。それがワインという「醸造酒」です。他にもビールは麦を、日本酒はお米を原料にした、「醸造酒」です。
その出来たワインを鍋で煮ると、空気中にアルコールが飛びますよね。その飛んだアルコールを集めたものが、ブランデーという「蒸留酒」です。こちらはこの製造方法でもおわかりのように、醸造酒よりも度数がとても高いです。麦やコーンを原料にした蒸留酒をウイスキーと呼び、日本では、米や麦や芋を原料にした蒸留酒を焼酎と呼びます。他にもジンやウオッカやラムやテキーラといった蒸留酒が世界にはあります。
カシスソーダってありますよね。カシスリキュールに炭酸を足したカクテルです。そのカシスリキュールは、蒸留酒にカシスの実を漬け込んで甘さを加えたものです。梅酒と同じですね。同じように、カンパリのような薬草を漬け込んだ薬草系リキュール、カルーアのようなコーヒーのリキュールもあります。
「ビール1杯」と「ワイン1杯」のアルコール摂取量はほぼ同じ
最近は「ハイボール」というメニューが大きく表示されているお店も多いですよね。ハイボールは、ウイスキーを炭酸で割ったカクテルです。元のウイスキーは蒸留酒で40%あります。それを薄めてあるというわけです。お店にもよりますが、ハイボールはビールよりも少しアルコール度数が高めで7~9%くらいでしょう。
スパークリングワインもレストランなんかでは「一杯目」としてよく選ばれますね。ワインはだいたい、12~13%です。ですので、グラスワイン1杯分はそんなに量はないですよね。度数はビールの倍ですが、量はビールの半分くらいなので、「アルコール摂取量」は同じというわけです。
お酒が飲めなくても楽しめるドリンクはいろいろ
もちろん1滴も飲めないという方には勧めません。1杯目は何か炭酸が入った胃を刺激するものが良いと思います。自家製のジンジャーエールやモヒートというライムとミントと炭酸とラムのカクテルの、「ラム抜き」も良いかも知れないですね。
ちなみに「お酒が入ってないカクテル」を「ヴァージン○○」と呼びます。ラムが入ってないモヒートはヴァージン・モヒートで、ウオッカが入ってないブラッディ・メアリーはヴァージン・メアリーです。
もちろんずっとウーロン茶という手もありますが、せっかく色んな飲み物がメニューに用意されています。色んなノンアルコールドリンクを楽しみましょう。 少しだけアルコールが飲めるというあなたはどのくらいですか? ビールを1杯だけ飲むとちょうど酔っぱらうって感じの方、よくいらっしゃいますよね。
でしたら店員にそのことを伝えて、すごく薄いカクテル、例えばモヒートのラムを2滴だけにしたもの、あるいはシャンディ・ガフという「ビールとジンジャーエールのカクテル」のジンジャーエールを多めっていうのも、食事に合います。
とにかく、自分がどれくらい飲めるのか、それを把握して、楽しい食事にしたいですよね。そしてそれをうまく店員に伝えましょう。
※記事の情報は2019年8月22日時点のものです。
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