かき氷には燗酒？ニッポンの夏ならではのペアリングを発見！

ニッポンの夏と言えば、浴衣に花火、そしてなんといってもかき氷です。今回は日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する、簗塲友何里（やなばゆかり）さんが発見した「かき氷と日本酒」を組み合わせる新提案！

2020.07.08

簗塲友何里

なんといっても夏はかき氷

今年の夏も過酷な暑さとなりそうですね。夏に食べたくなるものと言えばなんでしょう。まずは、冷たいスープやパスタ、そうめんなどなど。軽くさっぱりとしたものが食べたくなります。そして、ついつい、涼しげな旗にさそわれて食べてしまうのが「かき氷」。

冷たくてさっぱりしたものが欲しくなる夏。日本酒は重い感じがして抵抗あり、というお言葉が聞こえてきそうですが、かき氷をはじめとした、夏の食べ物と日本酒のペアリングには理にかなった点があります。

夏こそ燗酒がおすすめ

外が暑いと冷たいものばかり食べてしまい、身体も冷え切っています。室内や電車もクーラー全開で極寒状態。私も以前、事務の仕事を長くやっていました。夏の仕事場で芯から身体が冷え切る状態を今でも思い出します。

そこでおすすめは「夏でも燗酒」です！　暖かい日本酒が内臓を温めて、食欲増進、栄養を補給し、優しいリラックスできる香りで心も溶け出します。

かき氷と燗酒のペアリング

心も体もほっとさせてくれる燗酒に、かき氷を合わせてみませんか？　スイーツに日本酒？　と思われる方も多いかと思いますが、フルーツ系のシロップを使用したり、シロップに発酵調味料を使ったりすることで、日本酒にぴったり寄り添ってくれます。

私が経営する発酵フレンチと日本酒のマリアージュのレストランでも、季節限定でかき氷をご提供しています。

ますふくのかき氷 — 「SAKE Scene〼福」でご提供しているかき氷。濃厚なフルーツと発酵調味料のコラボです

私は大のかき氷好きで、都内の有名かき氷店を食べ歩くことがあります。すると意外に発酵調味料をシロップに入れているお店も多く、発酵好きの私としては嬉しくなります。かき氷とジュースのようなシロップだけでは、サラリとし過ぎていますが、そこに酒粕などの発酵食品のコクや旨味が加わることで、かき氷にぐっと食べ応えが出てきます。

以前にも発酵食品と日本酒のマリアージュについては書かせていただきましたが、この二つは切っても切り離せないほどの好相性。当店のかき氷も酒粕と自家製練乳のシロップをベースにしています。そこにコックリとしたフルーツの濃厚なソースを加えることで、さらに酸味とコクが加わります。

かき氷と燗酒の行ったり来たりが楽しい！

かき氷を頂いて涼しくなったら、優しい米の甘味を感じるうすにごりのぬる燗を一口。すると、かき氷の後味もまろやかに、温度も上がってゆったりします。冷たい氷と暖かい燗酒を行ったり来たりしながら、至福の時間が過ぎていきます。

かき氷におすすめの日本酒は旨み重視

当店でかき氷に合わせてお出ししているのは、滋賀県の上原酒造「不老泉（ふろうせん）　杣（そま）の天狗純米吟醸うすにごり木槽天秤しぼり生原酒」というお酒です。もともと蔵付き天然酵母で発酵させた山廃仕込みが主流の蔵ですが、このお酒は珍しく一般的な速醸仕込みです。速醸のさらりとした飲み口と不老泉特有のしっかりとした味わいがマッチしています。米の甘味とジューシーな旨味、ピリッと主張する酸味が特徴です。

これを燗酒に仕上げると、米の旨味と奥行きを感じる味わいになり、濃厚な酒粕練乳シロップとマンゴーのコクや酸味をやさしく包み込みます。

不老泉とかき氷 — マンゴーのかき氷と「杣（そま）の天狗」。相乗効果はばっちりです

かき氷と日本酒の組み合わせお試しあれ

かき氷を食べながら燗酒を飲む。冷たさと温かさを行ったり来たりしながら温度のバランスを楽しむ「ライブ感たっぷり」の新しい日本酒の飲み方です。

実は、新型コロナウイルスの影響で、お店もかなり厳しく、何か新しい事を始めなきゃ、とかき氷をスタートしたのですが、そんな中で新たに発見した「奇跡のペアリング」でした！　ぜひ、お試しください。楽しみながら、暑い夏を乗り切りましょう！

※記事の情報は2020年7月8日時点のものです。

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