酒米を食べる!? あっさりモチモチで食べてもおいしい!

日本酒の原材料、酒米。普通のお米屋さんでは手に入らない業務用の品種です。でも最近は米飯用として一部のお店や通販で手に入るようになりました。今回は日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する、簗塲友何里(やなば ゆかり)さんの「酒米を食べてみた」リポートです。

ライター:簗塲友何里簗塲友何里
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酒米の特徴とは?

酒米の実り
酒米の代表選手「山田錦」の実り
日本酒を造るのに不可欠な酒米(酒造好適米)。お米の中でも特に日本酒造りに向いた品種たちです。山田錦や、雄町など、みなさんも耳にしたことがあるのではないしょうか?普通の食米よりも粒が大きく、水を吸いやすいのが特徴です。

この酒米、一般的にはほとんど流通していません。お米屋さんやスーパーなどでもあまり見かけないかと思います。日本酒の蔵元は、基本的に契約農家などから買っていますが、最近は、酒蔵さん自身が夏は米を育て、冬は日本酒を造るところも増えて来ています。

日本酒を造るためのお米ですから、通常は、日本酒の生産量と酒米の生産量は連動しています。蔵元が造る日本酒の量に合わせて生産され、売買されるわけです。ところが、今年は少し事情が異なっています。

酒米の現状

休業中
昨今の新型コロナウィルスの影響で、多くの飲食店が休業をせざるをえなくなり、客足も遠のいてしまっている中、日本酒の消費量が大きく減っています。そうなると、酒蔵は減産をすることになります。

つまり、仕入れた原材料の酒米を蔵元が消費できず、そのため新たに酒米を仕入れる事もできないのです。米農家も通年と同じようには米を育てられないという負の連鎖が起こってしまいます。

ということで、今、日本酒業界では、酒米を食べよう!という動きが起こっています。

酒米を食べてみましょう!

山田錦の袋
今回食べてみた酒米「醸し人九平次」の山田錦!
というわけで、今回は、酒蔵が販売している酒米を食べてみました。取り寄せたのは、名古屋市の萬乗醸造 醸し人九平次の久野九平治本店が発売元の酒米。兵庫県西脇市が原産の山田錦・令和1年産です。オンライン販売で簡単に購入ができました。

こちらの蔵元では、フランス、カマルグの米農家さんと共に2014年から米栽培を行い、マノビというフランス国有品種のお米を日本に運んで、日本酒を造る試みもされています。

山田錦は、大吟醸など香り高い高級酒に使われる人気の酒米で、ひところは鑑評会に出品される日本酒のほとんどが山田錦を使ったお酒だったほど。酒米の象徴的な存在です。

お米自体を観察してみると、やはり飯米より大きく、心白がよく確認できます。
山田錦
米粒が大きく、お米の中心に白い「心白(しんぱく)」というデンプンのかたまりがある
酒米と食米
左が酒米・山田錦で、右が一般的な食米。だいぶ粒の大きさが違います
ラベルには、炊き方も詳しく説明されています。飯米より水加減を少なめで、洗った後に吸水させないのがポイントだそうです。あとは普通のご飯を炊くのと同様に、炊飯器のスイッチをオン。

炊き上がりは、ふっくらキラキラと輝くご飯になりました。それでは食べてみましょう。

さて気になる酒米の味わいは?

炊いた酒米
炊いてみました!
口に入れると、想像していたよりもモチモチとしています。タイ米のようにサラッとさばける感じではありません。

味わいは、さっぱりしています。噛めば噛むほど甘く感じる飯米のような余韻は少ないのですが、モチモチ食感とも相まって、とても美味しいです!

山田錦から造られる日本酒は、すっきりとした味わいが多いので、そこから想像すると山田錦のご飯も「さらっと」した味わいかと思っていましたが、予想通りです。みずみずしく、粒がちょっと大きいので、食べ応えもあるご飯になりました。

甘味が飯米より少ないので、リゾットやパエリア、雑炊などスープをお米に吸わせる料理にはバッチリ合います。おそらく、チャーハンも美味しいと思われます。また、意外とモチモチしているので、おにぎりにも向いていますね。

酒米の食事と日本酒を合わせよう

醸し人九平次の日本酒を食中酒に、同じ販売元の酒米を味わう。そんなペアリングも楽しめます。

お米と日本酒の組み合わせがどんどん進化をしている現在。新たな日本酒の楽しみ方として、酒米にも注目してペアリングに取り入れて行くのもいかがでしょう。ぜひ酒米をお家でも気軽に食べていきませんか?

酒米の基本的なことについては、以前コラムでも書いていますので、よろしければこちらもご覧ください。
※記事の情報は2020年8月13日時点のものです。

◆酒米については、コチラでも解説しています!
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