〈寝酒と睡眠の関係〉不眠の原因は誤った飲酒習慣にあるかも?

眠れない夜、ついついお酒に手を伸ばしていませんか? 実は、それこそが不眠スパイラルを招いている原因かもしれません。人気管理栄養士の森由香子さんが、寝酒が睡眠に及ぼす影響や質の良い睡眠のために気を付けるべきことを解説します。

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日本人は睡眠薬より寝酒に頼る傾向にあり

だいぶ涼しくなり、過ごしやすい陽気になってきました。秋の夜長、本を読んだり、音楽を聴いたり、映画鑑賞をしたり、お家時間を楽しまれている方も多いと思います。

ところで、夜更かしをしていると目がどんどん冴えてきてしまい、眠れなくなってしまうことがないでしょうか。

そんなとき、お酒を飲むと眠れるようになりますね。

ある調査報告によれば、眠れない時の対処法として、日本と南アフリカでは寝酒をたしなむことが多く、欧米や中国では睡眠薬を服用していることが多いそうです。日本では、睡眠薬より安全だろうということで、寝酒をたしなむ傾向にあるようです。

寝酒が招く不眠スパイラル、そのメカニズムは?

不眠気味のイメージ
確かにお酒には催眠、鎮静効果があり、これらの作用が眠れない状態から一転して眠りを誘います。

しかし寝酒は、寝つきは良くなるものの、夜中に目が覚めたり、アルコールによる利尿作用からトイレに行く回数が増えたりして、起床時にスッキリ起きられない、疲れがとれない原因になっていることがあります。

寝酒による睡眠作用は、血液中のアルコール濃度と、それに伴う脳の活動状態によるものです。血液中のアルコール濃度が高くなると、中枢神経系が抑制されてしまうことから眠くなります。

しかし、その後、アルコールが分解されて3時間ぐらい経つと、血液中のアルコール濃度が低くなり、脳の興奮期が訪れ、眠りが浅くなっていき目が覚めてしまいます。

その後、また眠っても交感神経の活動が活発になっているため、脈が速くなったり、汗をかいたり、悪い夢を見たりすることが起こる場合があります。そして朝、目覚めても疲労感が残るなど、睡眠の質の低下につながるのです。

つまり寝る直前の飲酒は、質の良い睡眠を妨害します。

ですので、眠れないからといって寝酒を習慣にすることは良くありません。続けるとお酒に対する耐性が高まり、量を増やさないとだんだん眠れなくなっていくこともあります。

さらには、お酒を飲まないと寝つきが悪くなり、お酒に依存してしまうことも起こりえます。寝酒を習慣にすることは控えてください。

寝酒以外にもある! 快眠のために気を付けたいこと

寝酒に頼らなくてもいいように、快眠につながるような生活スタイルを見直すことも大切ですね。

例えば、夕食後にスマートフォン、パソコンなどのブルーライトが強い光を見ることは脳を活性化させ寝つきを悪くすることがわかっています。21時以降はなるべく使用を控えましょう。

また、夕食後から就寝までは、なるべく部屋の明かりは暗くして、睡眠ホルモンの「メラトニン」分泌を下げないようにしましょう。良質な睡眠のためには赤い波長成分の多い暖色系の電球が良いとされています。

さらに、コーヒー、紅茶などのカフェイン、たばこのニコチンにも覚醒作用があるので、夕食後は少なめにしたほうが無難であることは言うまでもありません。

お酒は就寝の3時間前までに切り上げるべし

夕食時間にワインを楽しむ人たち
あくまでもお酒は夕食とともに楽しむこと、就寝予定時間の少なくとも3時間前には終わらせることが睡眠の質を高めるには必要です。

飲酒量の適量は個人によって異なりますので、快眠を意識して飲酒量を調整してみてはいかがでしょうか。

飲酒習慣のある人が禁酒を1か月ぐらい続けると、睡眠の質の変化や向上を実感すると聞きます。とは言え、なかなか1か月続けるのは至難の業であり、禁酒を続ける中で眠れず睡眠不足になってしまったら本末転倒でありますが。

暑くも寒くもなく、眠るのにも快適なこの時季。ぐっすり眠ることは、免疫力維持にもつながることでしょう。健やかな飲酒ライフをお過ごしください。

※記事の情報は2020年10月15日時点のものです。
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