鯖缶の栄養、生の鯖と比べてどう? おつまみアレンジ術も伝授!

今やおつまみ食材の定番となった鯖缶。どんな栄養がどれくらい含まれているのでしょうか? 管理栄養士の森由香子さんが鯖缶の栄養学的魅力をご紹介! 鯖缶の栄養を賢く摂るための料理アレンジ術も伝授します。

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鯖缶はたんぱく質、EPA、DHA、カルシウムが豊富!

手軽で調理時間も短縮できる缶詰。家飲みでも、おつまみとして登場頻度が高い食品のひとつではないでしょうか。

魚の缶詰といえばツナ缶も定番ですが、今やそれと双璧をなすのが鯖缶です。今回は、鯖缶の栄養についてお話したいと思います。

鯖缶は健康ブームで火がついて飛ぶように売れたのがきっかけに、コロナ禍での保存食としても需要が高まり、売り上げは高止まり状態と聞きます。

鯖缶の栄養といえば、豊富なたんぱく質、EPA(エイコサペンタエン酸性)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった必須脂肪酸(体内で作れないカラダに必要な脂肪酸)、カルシウムが特長です。

【鯖缶の栄養①】1缶に1/3日分のたんぱく質

筋肉イメージ画像
たんぱく質はカラダの主成分を構成する栄養素であり、筋肉や臓器、酵素、ホルモン、免疫抗体の成分やエネルギー源として利用されます。

カラダの中では常にたんぱく質の分解と再合成が行われ、その一部は排泄されているため、食事からたんぱく質を摂ることが大切です。たんぱく質が不足すると、筋肉などからたんぱく質が分解されて補給するようになり、それが長期にわたり繰り返されると筋肉量が減り、ひいては免疫力も低下していくのです。

では、1日にどれぐらい食品からたんぱく質を摂ったらよいのでしょうか。

厚生労働省「2020年版日本人の食事摂取基準」では、たんぱく質の1日の推奨量*は、男性(18~64歳)では65g、女性(18~64歳)では50gとなっており、たんぱく質は少なくとも推奨量以上は摂るべきとされています。

では、鯖缶1缶(固計量100g)に含まれるたんぱく質量を見てみましょう。

■鯖缶1缶から摂取できるたんぱく質
水煮…20.9g
味噌煮…16.3g
味付け(トマト味やしょうゆ味など)…21.4g 

鯖缶1缶で推奨量の1/3弱のたんぱく質を摂ることができます。

ちなみに、ツナ缶のたんぱく質含有量は、100gあたり16~19g、鯖缶のほうが少し多いようです。商品によって含有量が異なるので食品表示を確認してみましょう。

*ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団に属するほとんどの者(97〜98%)が充足している量として「推奨量」を定義する。

【鯖缶の栄養②】1缶に1日分のn-3系脂肪酸(EPA、DHA)

n-3系脂肪酸(EPA、DHA)
EPA(エイコサペンタエン酸性)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、中性脂肪の増加(血液中)や動脈硬化、虚血性心疾患の発症を抑える働きがあります。

血中の中性脂肪は、飲酒量の多い方、糖質の摂取量が多い方などが上がりやすい傾向にありますので、思い当たる方は意識的に摂りたい栄養素です。

少し掘り下げた話をすると、EPAとDHAは脂肪酸の中でも「n-3系脂肪酸」というグループに属し、その仲間にエゴマ油、亜麻仁油に多く含まれるα-リノレン酸があります。

実は、カラダの中でもα-リノレン酸からEPAとDHAがつくられています。しかし、加齢とともにその生成量は減っていきますので、魚からEPAとDHAを摂って補給することが大切なのです。

時間栄養学の知見によれば、大腸のある部分にGRP120という受容体(肥満や糖尿病の原因遺伝子と考えられている)があり、そこにn-3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHAなど)がつくと、GLP-1というホルモンが出され、インスリンの分泌が促進されることがわかりました。血糖値が気になる方には有益な情報ですね。

n-3系脂肪酸の1日の目安量(2020年版日本人の食事摂取基準)は、男性(18歳~49歳)2.0g、男性(50歳~64歳)2.2g、女性(18歳~49歳)1.6g、女性(50歳~64歳)1.9gです。

では、鯖缶1缶(固計量100g)でどれぐらいのn-3系脂肪酸が摂れるのでしょうか。

■鯖缶1缶から摂取できるn-3系脂肪酸量
水煮…2.7g
味噌煮…3.3g
味付け(トマト味やしょうゆ味など)…3.2g 

鯖缶1缶で1日の目安量を摂ることができます。たんぱく質やn-3系脂肪酸の補給源として鯖缶は優秀な食品ですね。

【鯖缶の栄養③】1缶に1/3日分のカルシウム

カルシウム
骨まで丸ごと食べられる鯖缶は、カルシウムも豊富です。

生魚と比べて、入手しやすい、いつでも食べられる、長期保存がきくというメリットもありますが、カルシウムの補給源としてもとても優れた食品なのです。

焼き鯖100gあたりカルシウムは10mgですが、鯖缶(水煮)なら100gで260mgも摂ることができます。男女(18歳~64歳)とも1日推奨量の約1/3程度にあたる値です。

栄養豊富な鯖缶、ただし摂り過ぎに注意!

鯖缶は、カラダに良い働きをする脂肪酸が多いことがわかりましたが、エネルギー量(kcal)もあることを忘れないでください。

1缶(100g)あたり水煮174kcal、味噌煮210kcal、味付け208kcalです。健康維持を考えるならば、1日100g程度にとどめておきましょう。

またLDL-コレステロールを増やす飽和脂肪酸も含まれており、食べる量が増えれば、それだけ摂取量が多くなるのでご注意ください。

栄養のプロがすすめる鯖缶アレンジ術は?

ポテトサラダ
鯖缶には、ビタミンC、糖質や食物繊維がほとんど含まれていませんので、栄養バランスを整えるには、主食や野菜と組み合わせて食べることです。

例えばポテトサラダに鯖缶を加えれば、簡単で美味しく、しかも栄養バランスのとれたおつまみになります。

\管理栄養士おすすめ!/

「鯖缶入りポテトサラダ」黄金比

・じゃがいも…120g
・にんじん…10g
・たまねぎ…10g
・きゅうり…20g
・鯖缶…30g
・塩…0.5g
・マヨネーズ(低カロリータイプ)…10g

また、おつまみ以外の料理のアレンジにも、鯖缶が何かと役立ちます。例えばお昼に即席袋麺を使ってラーメンを作る際、たっぷりの野菜と鯖缶(水煮)を入れてみてはいかがでしょうか。食材の組み合わせや摂取量次第で、栄養バランスを整えることができます。

コロナ禍においては、栄養バランスよく食べ、健康維持をはかることが大切です。食生活に気を付けて元気にお過ごしください。

※記事の情報は2021年5月17日時点のものです。
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