冷奴のトッピング、栄養学的におすすめなのは?

ヘルシーおつまみの定番「冷奴」。木綿と絹ごし、どちらがおすすめ? 青ネギ、生姜などの薬味をトッピングするのは理にかなっている? 管理栄養士の森由香子さんが栄養学的にみた冷奴の魅力について解説、おすすめトッピングもご紹介します。

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豆腐は栄養的にも優秀な食材

暑くなってくると食卓にのぼる機会が増えるおつまみの一つに冷奴があります。

冷奴の優れている点は、トッピングする食材や調味料によって味の変化も楽しむことができますし、なによりも簡単に作れて、時間がないときやおかずが足りない時のもう1品としても重宝するところです。

豆腐は、栄養的にも優秀かつヘルシーな食材です。主に以下の栄養素が豊富に含まれます。

■豆腐に含まれる栄養素
・タンパク質
豆腐は必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のたんぱく質源。消化吸収も良いため、胃腸が弱っているときや食欲減退気味のときにも役立つ

・リノール酸
血液中のコレステロールを下げる作用がある。ただし、摂り過ぎると善玉のコレステロールも下げる作用があります。大豆製品ばかり選んだり植物油を摂りすぎたりしないように注意

・大豆オリゴ糖
腸の働きを整え消化吸収を助ける

・ビタミンB1
疲労回復を助ける

・ビタミンE
アンチエイジング効果など

・カルシウム
骨粗しょう症予防など

・亜鉛
タンパク質の合成に関与

・カリウム
高血圧予防など

女性に嬉しい豆腐の大豆イソフラボン

大豆
他に、大豆イソフラボンも含まれます。美容・健康効果が期待できる、女性にとってうれしい栄養成分です。

大豆イソフラボンは、体内で腸内細菌によってエクオールという成分に変換され、こちらが女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似ているため、同じような働きが生じると考えられています。

ただし、近年の研究によれば、大豆イソフラボンをエクオールに変換、産生できる腸内細菌を持っている人のみがその恩恵を受けることができることがわかっています。ご自身がもっているかどうかは検査でわかるようですので、気になる方は調べてみるのもよいかもしれません。

木綿豆腐と絹ごし豆腐で栄養価が違う!

豆腐は、大きく分類すると木綿豆腐と絹ごし豆腐に分けられますが、多少、栄養価が異なります。

豆腐は、豆乳にニガリや硫酸カルシウム、塩化マグネシウムなどの凝固剤を入れかためてつくったものですが、木綿豆腐は、豆乳からでる「ゆ」(上澄み)を抜くため、水分が絹ごし豆腐に比べて少なくなり重量あたりの栄養価が高くなります。

100g中に含まれる主な栄養素を表にしてみました。

出典:日本食品成分表2021八訂

木綿豆腐は、エネルギー量、たんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミンE、カルシウム、亜鉛、鉄が多く、絹ごし豆腐は、ビタミンB1、カリウムが多いことがわかります。その時々の健康状態にあわせて、豆腐の種類を変えてみるのもよいでしょう。

私は、カルシウムを補給したいときは木綿豆腐、カロリーを抑えたいときは絹ごし豆腐という感じで選んでいます。

冷奴の定番トッピングは栄養学的にも理にかなっていた!

冷奴のトッピングの定番といえば、青ネギと生姜そしてかつお節です。なんとなく食べ継がれてきた昔ながらの組み合わせ、実はとても健康効果が高いものでした。以下、簡単にまとめてみました。

・青ネギ
青ネギに含まれる硫化アリルは、豆腐のビタミンB1と組み合わせることで、ビタミンB1の吸収、効力が高まります。ビタミンB1は、アルコール代謝に必要なビタミンですのでイエノミ読者の方々には積極的に組み合わせてほしいですね。

・生姜
生姜は、ジンゲロン、ショウガオールといった辛み成分があり、食中毒の予防効果や胃液の分泌促進、消化吸収を助けるため、食欲減退になりがちなこれからの季節に、生姜と冷奴の組み合わせはエネルギー補給の一助となります。

・かつお節
かつお節は、豆腐のカルシウムを吸収しやすくするビタミンD(豆腐に含まれない)が含まれていますので骨の健康維持に役立ちます。

管理栄養士がおすすめする冷奴トッピングはこれ!

次に管理栄養士としておすすめの冷奴トッピングアイデアを3つご紹介しましょう。

トッピングにおすすめの食材は、豆腐に足りない栄養素が補給できるものが良いですね。足りない栄養素は、前述したようにビタミンD、アンチエイジングに欠かせないビタミンA、ビタミンC、そして血液の健康に関与するビタミンB12です。

 1.イクラと大葉とMCTオイル
イクラと大葉とMCTオイル
イクラには、豆腐にふくまれない4つのビタミン(ビタミンD、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB12)が含まれています。大葉の香りが食欲をそそり、食物繊維もアップします。

そしてMCTオイルをほんの少し加えることで脂溶性のビタミンのビタミンA、ビタミンDなどの吸収が高まります。MCTオイル「Medium Chain Triglyceride( ミディアム チェーン トリグリセリド)」とは、中鎖脂肪酸100%の油のことで、一般的な油よりも消化、吸収されやすくエネルギーになりやすい特長があります。食欲がないときにエネルギー補給としておすすめします。

できればお醤油はかけずに、イクラの塩味、大葉の風味でいただきましょう。

2.アンチョビとトマトとオリーブオイル
アンチョビとトマトとオリーブオイル
豆腐に含まれない4つのビタミン(ビタミンD、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB12)を補給できる組み合わせです。

アンチエイジングの代表ビタミンであるビタミンA・C・E(通称「エース」)、トマトのリコピンも加入って活性酸素撃退、老化予防効果が期待できます。

オリーブオイルとの組み合わせでイタリア風冷奴のできあがり。私はスプマンテと一緒に食べるのが好きです。こちらもアンチョビの塩味、トマトの酸味、2つの食材がもつ旨味でいただきたいですね。

3.シラスとカイワレ大根と胡麻油
シラスとカイワレ大根と胡麻油
これも豆腐に足りない4つの栄養素がそろう組み合わせです。

シラスからカルシウム、ビタミンD、ビタミンB12が、カイワレ大根からビタミンAやビタミンC、胡麻油からビタミンEなどが摂取できるので骨や血液の健康、生活習慣病の予防に役立ちます。

カイワレ大根の辛み、胡麻油の風味が食欲をそそります。もちろん、醤油は使わず、このままでいただきましょう。

ご紹介してきたように、冷奴はトッピングする食品の組み合わせで、さらに健康効果がアップします。

ただし、食べる時に管理栄養士としてお願いがあります。時々、冷奴に醤油をグルグルとまわしかけて食べる方がいらっしゃいます。塩分の摂り過ぎになりますので、調味料の使い過ぎには注意しましょう。

おいしいお酒と冷奴で、健やかな飲酒ライフをお過ごしください。

※この記事の情報は2021年6月14日時点のものです。
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