「シジミ」は二日酔いに効くって本当? シジミの栄養、効果について、管理栄養士が答えます!
二日酔いには「シジミ汁」が有効!とよく聞きますが、一体なぜなのでしょうか。シジミに含まれる栄養素は? 一度に摂取する量の目安や、シジミと一緒に食べるとよい食品は? 気になる疑問に管理栄養士の森由香子さんが答えます。
二日酔いの救世主「シジミ」、本当に効果はある?
ご存じの方も多いかもしれませんが、二日酔いは、お酒を飲みすぎることで肝臓がアルコールを処理しきれなくなり、有害物質のアセトアルデヒトが血液中に流れ込んで体内で悪さをはたらき、吐き気、頭痛などの症状をもたらすことで起こります。
昔から、「お酒を飲んだ後にはシジミ汁がよい」といわれてきましたが、本当のところはどうなのでしょうか。
シジミに含まれる栄養成分は?
シジミは、たんぱく質食品といわれるように、必須アミノ酸のメチオニンをはじめ、シスチン、システイン、タウリンなどのアミノ酸が豊富に含まれており、肝臓の働きを支える柱となります。
また、ビタミンB2も含むため、肝臓の解毒作用を助けたり、胃の粘膜を構成する細胞を再生、保護したりする働きがあります。
ほかに、オクダテセン酸という脂溶成分も含んでいるので、肝機能改善や黄疸の予防が期待できるという研究報告もあります。
ミネラルでは、造血作用のある鉄、亜鉛、銅などが多く、血液の健康を維持し、肝臓の働きを円滑にしてくれます。
さらに、カルシウムが多いのも特徴で、貝類のなかでも1、2位を争うほどです。カルシウムはアルコール分解酵素など酵素の働きに関わっています。
シジミ汁にすると栄養はアップする?
シジミは栄養たっぷり! 二日酔いを防ぐには、シジミだけ摂ればOK?
また、薬ではありませんのでシジミの働きには限界があります。シジミだけに肝臓や胃腸の健康をゆだねることは、おすすめできません。
さらに、シジミのエキスを濃縮した食品となると尚更、期待は禁物のようです。
例えば、C型慢性肝炎の患者は、鉄過剰を起こしやすいことから鉄制限が必要と考えられ、多くの鉄を含有するシジミはむしろ避けるように指導されています。
また、『シジミエキスが「肝臓に効く」「黄疸に効く」と言われ、エキスが健康食品として用いられているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない』という報告もあります。
※参考:「健康食品」の安全性・有効性情報(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
前述したとおり、二日酔いは、肝臓がアルコールを処理しきれなくなり、有害物質のアセトアルデヒドが血液中にながれることで起こります。
シジミ汁をのむことで二日酔いが軽減するといわれる理由は、水分を摂ることでアセトアルデヒドを外へ出す働きをもたらすこと、気分的にホッとするなどプラセボ効果的なものからではないでしょうか。
私は、日ごろから肝臓をいたわる飲み方、つまり適量の飲酒量をまもること、栄養バランスの整った食事をしてからだ全体へ十分な栄養補給することこそ、肝機能を高めるうえで有益であると考えています。
シジミと一緒に摂るとよい栄養素や、適量、摂るべき時間帯は?
シジミに足りないビタミンB1は、豚肉、えのき、まいたけなど、ビタミンCや食物繊維は、水菜、大根の葉、小松菜、ネギ、玉ねぎなどの野菜に豊富です。
ビタミンCは鉄の吸収を高める働きがありますので、鉄の多いシジミとビタミンCが含まれる食品の組み合わせはベストです。
また、シジミの適量ですが、汁物でとる場合は、特に塩分過多にもつながるため1杯程度が良いでしょう。
その場合、おすすめの時間帯は、夜です。塩分の体内への吸収が朝に比べて弱まったり、シジミに含まれる豊富なカルシウムは夜に吸収がよくなったりするという、時間栄養学の知見があります。
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土用シジミ、寒シジミと呼ばれるように、シジミの旬は夏と冬の2回あります。これから、寒シジミが旬を迎え、うまみや栄養が増して美味しくなります。
是非、シジミとシジミに足りない栄養素を補った料理、そして適量のお酒で、健やかな飲酒ライフをお過ごしください。
※記事の情報は2021年11月8日時点のものです。
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