定番おつまみ「ぬか漬け」の栄養は? 1日の適量や塩分量について、管理栄養士が教えます
さっぱり系のおつまみとして人気の「ぬか漬け」。なんとなく体によさそうなイメージはありますが、その栄養や効果とは? 1日の適量や塩分量など、気になる疑問に管理栄養士の森由香子さんがお答えします。
コロナ禍で「ぬか漬け」をつくる人が増えている!
ところが、どうでしょう。
最近、コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増えたこともあり、ぬか床を用意してぬか漬けをつくる人が増えてきているそうです。インターネットでもぬか漬けキットなるものが購入できるようになり、簡単に始められるようになったのも普及した要因でしょう。
もともとぬか漬けは、秋にとれた野菜を冬まで保存することが大きな目的でした。
しかし近年では、輸入された農作物が市場に広がりを見せたことや、ハウス栽培の全国的な普及、交通機関の発達等により、「ぬか漬け」も従来の保存のためという目的から変化して、「加工食品」の一つとして位置づけられるようになりました。
ぬか漬けには注目の栄養成分「プロバイオティクス」が豊富
プロバイオティクスとは、腸内細菌のバランスを改善することによって健康に好影響を与える生きた微生物を指し、ほかにはビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌、糖化菌などがあります。
プロバイオティクスの働きは、腸内環境の改善ばかりでなく、動脈硬化の予防効果、抗腫瘍作用などもあり、注目が高まっています。
ぬか漬けにすると、野菜のビタミン量がアップする!
野菜に含まれているビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6といった水溶性ビタミンは、水に触れることで失われやすいという特性を持ちます。しかしこれらのビタミンは、ぬか漬けにすることによって逆に増やすことができるのです。
ぬか床にはもともとビタミン、ミネラルがたっぷり含まれています。そのため、漬け込んでいくうちにぬか床の栄養素が野菜の中に浸透して、ぐんぐんと増えていくのです。食べるときにぬかを洗い流したとしても、野菜の奥にしっかり栄養素がキープされているので失われる心配はありません。
実際どのくらいビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6が増えるのでしょうか? ぬか漬けでお馴染みの大根ときゅうりで比較をしてみましょう。
大根ときゅうりのビタミン量の変化
100gあたり |
ビタミンB1 (mg) |
ビタミンB2 (mg) |
ビタミンB6 (mg) |
---|---|---|---|
大根 (生) |
0.02 | 0.01 | 0.04 |
大根 (ぬか漬け) |
0.33 | 0.04 | 0.22 |
きゅうり (生) |
0.03 | 0.03 | 0.05 |
きゅうり (ぬか漬け) |
0.26 | 0.05 | 0.2 |
※参考:食品成分表2021(八訂)
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などの水溶性ビタミンは、飲酒による利尿作用で流出しやすいので、お酒を飲むのがお好きな方は積極的にとりたいビタミン類です。
これがおつまみにもぴったりのぬか漬けで補給できるのであれば嬉しいですね。
ぬか漬けの塩分量、1日の適量はどのくらい?
そのため、ついつい食べ過ぎてしまう方も多いのではないでしょうか。
気になる塩分量ですが、大根のぬか漬け100gで3.8g、きゅうりのぬか漬け100gで5.3g程あります。
1日の適量としては、20g程度(2~3切れ)をおすすめしています。
もっと食べたいという方には、20g程度を小さめにカットして、かさを増すようにとアドバイスしています。大きくカットした2個(20g)よりも、小さめにカットした6個(20g)のほうが量が多いように感じられ、脳が満足感を得やすいのです。
栄養たっぷりのぬか漬けで、健康的な家飲みを
例えばこってりした揚げ物や味の濃い物を食べたあとに、口の中をさっぱりさせるための箸休めとして食べるなど、ぬか漬けもお酒も、食事をおいしく味わうことができる量にとどめることが健康維持には良いのではないでしょうか。
適量を守りつつ、すこやかな家飲みライフをお過ごしください。
※記事の情報は2021年12月13日時点のものです。
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