冬に旬を迎える「ブリ」の栄養は? カロリーや料理別の健康効果について、管理栄養士が解説!
冬の魚の代表とも言える「ブリ」。脂ののったブリはおいしいだけでなく、お酒を飲む人にとってうれしい栄養成分がたくさん含まれているのです。そんなブリの栄養や健康効果について、管理栄養士の森由香子先生に解説していただきます。
東のサケ、西のブリとも言われるように、西日本、とくに関西や北陸地方では、お祝いごとに欠かせない格の高い魚ともされています。
ブリは出世魚! 成長段階別の名前は?
東日本ではワカシ→イナダ→ワラサ、西日本ではツバス→ハマチ→メジロ、さらに北陸地方では、コズクラ→フクラギ→ガンドと呼ばれ、最終的に「ブリ」となります。
また、天然ものをブリ、養殖ものをハマチと区別して呼ぶことがありますが、これは養殖もののブリが、関西でいうハマチ(40~60㎝)の大きさで出荷されたことが由来とされています。
ちなみに、養殖ものは日本で流通するブリの約3/4を占めているため1年中食べることができますが、天然ものが一般のお店に並ぶのは晩秋から冬のみです。
ブリに含まれる栄養成分は?
さらにビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB群、鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、カリウムなども多く含まれているほか、特に血合にはビタミンB1やビタミンB2、鉄もたっぷり含まれています。
ブリは料理によって効能が変わる!
ここからは、ブリ料理の種類別に栄養と効能について解説します。
EPAとDHAを無駄なく摂るなら「お刺身」で!
生の状態で食べることで、n-3系脂肪のEPAとDHAを無駄なく摂取することができます。EPAとDHAは体の細胞膜の原料になるほか、血栓や動脈硬化予防、血中の中性脂肪やコレステロール濃度を低下させる作用もあります。
ある報告によると、若い世代ほどEPAとDHAの摂取量が少なく、中高年以上は多い傾向にあるそうです。また、EPAとDHAの血中濃度が4%未満だと冠動脈性心疾患のリスクが高く、8%以上だと低くなることも分かっています。
EPAやDHAは、もともと海中の植物プランクトンが合成したαリノレン酸が元となっており、動物プランクトンが植物プランクトンを食べ、魚が動物プランクトンを食べる間に作り変えられてできたものです。ヒトの体内でもαリノレン酸からEPAやDHAを生成することはできるのですが、必要量を合成するのは難しいため、ブリを食べて補給するのが良いでしょう。
また、鉄、亜鉛、カルシウム、カリウムなどのミネラルの吸収を高めるために、醤油ではなくポン酢などでいただくのがおすすめです。
「ブリ大根」なら、抗酸化力がアップする!
栄養の面では、大根と一緒に食べることでブリに足りない食物繊維やビタミンCを補給することができます。
ビタミンCやビタミンEは「抗酸化ビタミン」と呼ばれているもので、病気の原因を作る活性酸素を消去してくれます。さらに可能であれば大根の葉の方も利用すると、βカロテン、ビタミンCが加わり、抗酸化力が増強されます。お酒を分解するときには、体内で活性酸素が生まれやすいので、ぜひ摂っていただきたい栄養素です。ほかにも、大根の葉にはカルシウムが豊富で、ブリのビタミンDと一緒に摂ることで吸収率が高まります。お酒を飲むと利尿作用からカルシウムが外に流れやすいので積極的に補給しましょう。
「ブリの塩焼き、照り焼き」なら、皮の栄養までおいしく摂取できる
管理栄養士的にも、塩分控えめの味付けはおすすめです。また、ブリにはカリウムも豊富なので、余分な塩分を排出してくれる効果も期待できます。特に中高年の方は、薄味を意識することは将来の高血圧予防になります。味が濃くなりがちな方は、減塩調味料を使うといいでしょう。
ところで皆さんは、ブリを食べるときに皮はどうしていますか?
皮には、身にも勝るとも劣らない有益な栄養素がたくさん含まれています。代表的なもので言うと、亜鉛が豊富です。特に背側の黒い部分に多く含まれており、お肌の健康、維持をサポートしてくれる働きがあります。ほかには、美容ビタミンとも呼ばれ、脂質の代謝もサポートしてくれるビタミンB2も集中しています。さらに皮の裏側には、EPAやDHA、ビタミンAが溶け込んでいます。今まで食べていなかった方にはぜひ、残さず食べていただきたいです。
ダイエット中なら「ブリしゃぶ」がおすすめ!
生のブリは、100gで222Kcal。1切れ20gとすると約44Kcalと少しカロリーが高めです。
しゃぶしゃぶを食べるときは、1枚ずつゆっくりと間をおいて、サッとだし汁にくぐらせてから味わっていただくのがおすすめです。そうすることで、脳の満腹中枢に指令が届くまでの時間稼ぎをすることができ、食べすぎ防止になります。
高級なお魚は、少量でも満足度が高いものです。だし汁に通すことで、程よく脂が落ちてエネルギーダウンにもつながります。
一緒に、水菜や白菜、長ねぎなど、冬に旬をむかえる野菜を加えてカサを増しつつ、食物繊維やビタミンCを補うとさらにGOODです。さらに、かぼすや柚子、すだちの果汁を加えれば、クエン酸がミネラルの吸収をアップさせてくれます。
また、ダイエット中は、シメのうどんや雑炊は控えましょう。コクと旨味と食材からの栄養素が凝縮しただし汁でお腹を満たし、満足度をあげてください。
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寒さが染みるこれからの季節、冬の味覚の代表格であるブリをおいしいお酒とともに堪能し、健やかな飲酒ライフをお過ごしください。
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※記事の情報は2023年1月12日時点のものです。
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