米?麦?芋? 一応おさえておきたい、本格焼酎選びの基礎知識
日本がほこる蒸留酒といえば焼酎。みなさん、焼酎家飲みしていますか? 焼酎はその種類もさまざま、いろいろありすぎて、選ぶっていったってどうすりゃいいの?といった按配。そこをスッキリ解明すべく、焼酎の種類をお勉強していきましょう!
焼酎とは?
さて、この焼酎、大きく分けて2種類あります。「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」と「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」です。
前者は、醸造した焼酎を何度も蒸留してほぼ純粋な飲用アルコールにしたもので、レモンサワーやホッピーなど割材で割って飲むいわゆるサワーや酎ハイのお酒部分。
後者は、一度だけゆっくり蒸留して原料の風味を残して熟成させたもの。「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」は、そもそもの原材料の違いが、そのまま焼酎の種類の違いになります。米が原料なら米焼酎、麦が原料なら麦焼酎、といった具合。原料によって、味わいも香りもまったく違い、それぞれ別物といってよいお酒になります。これらは特に「本格焼酎」と呼ばれています。
本格焼酎王国の3大勢力
さて、本格焼酎王国には「主流派」の焼酎原材料が存在します。それが、芋、米、麦の3大勢力です。
■芋焼酎
芋焼酎は、主には南九州、鹿児島あたりの特産品。このあたりの土地は白砂土壌といって火山灰がふりつもったものです。こういった火山灰地は、水はけが良すぎてとてもお米はつくれません。水はけのよい土壌にさんさんと降りそそぐ南国の太陽…この地域にもっとも適した作物は、サツマ芋だったのです。というわけでお酒もサツマ芋でつくろう、となったわけです。
芋焼酎は、サツマ芋の風味が残ったふくよかな味わいが特徴です。かつては「芋くさくてとても飲めない」「いや、このクサさがいいんだ!」と好みの分かれる焼酎でしたが、最近ではより洗練された、ソフトで誰にでも飲みやすい味わいのものが主流です。
■米焼酎
米どころと言えば、北陸や東北が思い浮かびますが、実は九州にも米どころがあります。地下水量が豊富な九州の中部では良質なお米がたくさんとれます。この豊富なお米を原料に熊本や宮崎でつくられているのが米焼酎。
米焼酎は、焼酎の中でも、もっとも癖がなく飲みやすいとされています。日本酒を飲みなれている方なら、おなじ原材料を使った米焼酎は親しみやすい味わいです。
■麦焼酎
麦焼酎は、長崎県の壱岐の島が発祥の地。壱岐の島はとても肥沃な土地に恵まれ、良質な米や麦がたくさんとれます。そしてこの豊富な麦を原料にした焼酎がつくられるようになりました。この背景には、お米でつくった高価な清酒を飲めない農民が安価な麦を使って焼酎をつくりはじめた…という事情もあるようです。麦焼酎は、ウイスキーのように長期熟成されたものも人気です。
まだある美味しい本格焼酎
鹿児島から海にでて、南下していった洋上にあるのが奄美大島。この島は、江戸時代、島津藩によってサトウキビの特区として黒糖の献上が義務づけられてきた土地。ここだけでつくることを許された、黒糖を使った焼酎が黒糖焼酎です。ラム酒のような甘い味わいが人気ですね。
■泡盛
奄美大島から、さらに南へと漂流をつづけると、到着するのは沖縄です。時は夕刻、でっかい夕日の沈まんとするこの浜辺にきこえるのは、波の音と土地の人がかなでる三線の響き。やがて三線はにぎやかなリズムをきざみ、見れば人々が思い思いに踊っている…… その足元にある、やちむん(沖縄の陶器)の徳利にはいっているのが、本格焼酎のお父さんとも呼べるお酒、泡盛です。
原料は米ですが、品種はタイ米。製法にもいわゆる本格焼酎とは、いろいろと違いがありますが、日本の税法上では本格焼酎の仲間に分類されています。焼酎造りの技術が、大陸から沖縄を経由して九州に上陸したことを思えば、本格焼酎の直系のお父さんは、この泡盛なのでしょう。甘みのある深い味わい、そして、100年、200年ものさえ存在する、超長期熟成酒「古酒(くーす)」に育つダイナミックレンジの広さは、ウイスキーやブランデーの世界にも通じるものがあります。
飲み方いろいろ
まずは、同じ蒸留酒のウイスキーと同様の飲み方を思いうかべてみましょう。そのままクイッとストレート、氷をうかべてロック、飲みやすく水割りで。ソーダで割ってもさわやか。
さらにくわえて、日本酒のようにあたためて飲むバリエーションがあります。ストレートのお燗に、水割りのお燗、そして冬の居酒屋定番のお湯割り。そば湯で割る、というのもお蕎麦屋さんの定番のお酒。
本格焼酎の楽しさは、そのバリエーションの豊富さ、そして飲み方なんでもありの自由さにあります。あなたも、焼酎王国の冒険に出てみてはいかがですか?
※記事の情報は2018年7月12日時点のものです。
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