チェイサーは強いお酒に欠かせない? 言葉の意味や効果をお酒のプロが教えます

チェイサーはウイスキーやワインなど、アルコール度数が高いお酒を飲むときに欠かせない飲み物です。「水」を思い浮かべる方が多いと思いますが、実はジュースや炭酸水、ときにはビールがチェイサーになることも! 知っているようでよく知らない”チェイサー”について、詳しく解説します。

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チェイサーとはずばり“強いお酒の合間に飲む飲み物”!

一般的にチェイサーはウイスキーや焼酎、テキーラなどの蒸留酒をはじめとした強いお酒を飲むときの合間に飲む飲み物として知られています。もちろん蒸留酒だけでなく、ワインや日本酒といった醸造酒を飲むときにも欠かせません。チェイサーは“強いお酒の良き相棒”と言えます。

チェイサーの意味は?

チェイサーは英語では「chaser」と表記し、本来は「追跡する人」という意味をもちます。「chase」には「追う」という意味があり(カーチェイスという言葉で馴染みがあるかもしれません)、強いお酒を飲んだとき、お酒の後を追うようにして飲むことからchaserと呼ばれるようになりました。

ちなみにイギリスの場合は真逆になります。ビールなどのアルコール度数が低いお酒を飲んだ後にアルコール度数の高いお酒を飲む習慣があるため、ウイスキーなどの蒸留酒をチェイサーと呼びます。

チェイサーって水のこと?

日本では「チェイサー=水」のイメージが強いかと思いますが、実は水とは限りません。メインのお酒よりもアルコール度数の低いお酒や炭酸水、ソフトドリンクなどもチェイサーになります。

ときにはビールがチェイサーになることもありますが、お酒が強くない方にはおすすめできません。
ソフトドリンクとビール

チェイサーを飲むメリットは?

それではなぜチェイサーが必要なのか。水などノンアルコールのソフトドリンクをチェイサーとした場合の、主な3つの効果を解説していきます。

チェイサーの効果①│アルコール濃度を下げて体への負担を軽減する

アルコール濃度を下げる
度数に関わらず、体内にアルコールを入れると血中のアルコール濃度が上がります。血中のアルコール濃度が上がるといわゆる「酔っ払った」状態になるわけです。アルコールの入っていない飲み物を飲むことで、アルコールの血中濃度が薄まり、脱水症状を防ぐ効果もあります。肝臓への負担を少なくするためにも、合間にチェイサーを飲むことが重要です。

チェイサーの効果②│味覚をリセットしてお酒の味をより楽しめる

味覚をリセット
アルコール度数が高い上、香りや味わいの強さが特徴のウイスキーやブランデーなどは、連続してちびちび飲んでいると次第に舌が麻痺してきます。間に細かくチェイサーを挟むことによって、常に口内をノーマルな状態に保つことができます。

またワインや日本酒といった醸造酒の場合は料理やおつまみと合わせることが多いので、さまざまな味わいの繊細な変化やペアリングを楽しむにはチェイサーが欠かせません。

チェイサーの効果③│翌日の辛い二日酔いを軽減する

二日酔いを軽減
お酒を飲みすぎた翌日、ひどい頭痛や倦怠感が残る経験は少なからずあるかと思います。それはお酒を飲む量が多すぎる、空腹状態で飲み続けたなどの原因ももちろんありますが、合間にチェイサーを飲まなかったことも原因の一つです。もともと日本人は欧米人に比べるとアルコールを分解する酵素が少ないと言われているので、チェイサーを飲まないと二日酔いになりやすい体質といえます。

チェイサーの飲み方にルールはある?

チェイサーの正しい飲み方や量は決まっていません。ただ、たとえばワインを好んで飲む人の間では「ワインを飲むときは、同量の水を飲む」というのが常識になっています。お酒の種類に関わらず、手の届く範囲に必ず水を用意し「お酒を飲んだら少量口に入れる」と習慣づけるのがオススメです。

家飲みでもチェイサーはあった方がいい?

バーや居酒屋ではチェイサーが自然と出てきますが、ご自宅で飲む際には必ずチェイサーを用意することをオススメします。自宅にいるとすぐ寝転べる環境にあるため、そのまま翌日を迎えて二日酔いになる可能性が高いです。ペットボトルの水でもいいので、すぐ手の届くところにチェイサーを置いておきましょう。

和らぎ水(やわらぎみず)は日本酒におけるチェイサー

ところで、日本酒を飲む合間に飲む”和らぎ水”をご存じですか?
和らぎ水のイメージ
和らぎ水は、チェイサーと同じような役割があります。

本来は日本酒を造る際に使用される「仕込み水」を使います。仕込み水は日本酒を醸造する際に必要なミネラルを多く含んでいるため、体への負担も少なく、コンディションを整えてくれます。日本酒にこだわったお店では和らぎ水として仕込み水が提供されることがありますが、多くは市販のミネラルウォーターや浄水した水で提供されています。

どちらの場合でも、日本酒を飲む際には和らぎ水を上手に活用しましょう。

水以外をお酒のチェイサーにするなら?

さてここからは、お酒とチェイサーの組み合わせをいくつかご紹介してます。

前述したように、一口にチェイサーと言っても水以外にもいろいろあります。組み合わせを楽しむなら、お酒に合わせて水以外のチェイサーを選ぶのもオススメです。気になった方はぜひ試してみてくださいね。

お酒×チェイサーのオススメ①┃ウイスキー×牛乳

ウイスキーと牛乳
一つ目のオススメは、ウイスキーと牛乳の組み合わせ。

意外と思われるかもしれませんが、牛乳はチェイサーとしてもとても優秀です。特にウイスキーとの相性は抜群です。ウイスキーの舌に刺すような刺激的な味わいやツンとくる鼻に抜ける香りをやさしく包んでマイルドにしてくれます。 寒い時期には、ウイスキーのトゥワイスアップ(ウイスキーに常温の水を同量加水したもの)とホットミルクの組み合わせがオススメです。

お酒×チェイサーのオススメ②┃テキーラまたはウォッカ×トマトジュース

テキーラまたはウォッカ×トマトジュース
2つ目にご紹介するのは、テキーラまたはウォッカとトマトジュースです。

テキーラやウォッカはストローハット(テキーラ+トマトジュース)やブラッディーメアリー(ウォッカ+トマトジュース)といったカクテルがあるように、トマトジュースとの相性がとてもいいお酒です。他にも、ラムと作る「クバニート」、ジンと作る「ブラッディ・サム」もあるので、ラムやジンをストレートやロックで飲む時にトマトジュースをチェイサーとして飲むのもオススメです。

お酒×チェイサーのオススメ③┃ワイン×炭酸水

ワインと炭酸水
最後にオススメするのが、ワインと炭酸水です。

ワインに合わせてよく飲まれるチェイサーはやはり水が多いですが、炭酸水のような口内をさっぱりさせてくれる飲み物もオススメです。ワインは香りや味わいの奥行きを楽しむ飲み物なので、チェイサーに味のついたドリンクを用いるのは最適とは言えません。 特に渋みの強い赤ワインは口中にタンニンが残りやすいので、炭酸で洗い流すように飲むことで口の中をすっきりとリセットできます。

チェイサーを活用してお酒をより美味しくより楽しく!

お酒を飲みすぎてしまうことは誰にでもあることです。ただ、「お酒の合間にはチェイサーを飲む」という意識をもつだけでも翌朝のコンディションに違いが出ます。それでもチェイサーを飲み忘れてしまった場合は、必ず眠る前に水を多めに飲んでおくことをオススメします。

チェイサーを上手に取り入れて、これからも楽しいお酒ライフをお送りください!


※記事の情報は2022年6月17日時点のものです。
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