フランス・ブルターニュ地方のシードル街道を訪ねました
ブドウ栽培に不向きな気候のフランス・ブルターニュ地方では、かわりにリンゴ栽培が発達。リンゴでつくるスパークリングワイン「シードル」が長く飲まれて来ました。そんなブルターニュ地方の「シードル街道」をご紹介します。
フランスのシードル産地はブルターニュとノルマンディ
この2つの地域は緯度が高く気温が低いためブドウ栽培には不向きです。かわりに発達したのがリンゴ栽培で、リンゴでつくるスパークリングワイン「シードル」が長く飲まれて来ました。モン・サン・ミッシェルに行かれたことがある方は、周辺の道路沿いに「シードル」や「カルヴァドス(リンゴのワインを蒸溜したブランデー)」の看板がいくつもあったのを覚えている方もいらっしゃると思います。シードルはアルコール度数が5%前後と低く、お値段もリーズナブルなので、カジュアルな食堂ではランチを食べながらシードルを飲む人を見かけます。
街道沿いにシードリーが点在
生産者のほとんどは小規模なリンゴ農家です。ほとんどが家族経営で、よく似たつくりの横長がの母屋に、ショップと製造所を備えていました。建物の裏は果樹園が広がっており、たいてい馬や牛を飼っています。
こちらは美しい港町として人気のオンフルール。この近くの高台にあるマノワール・アプルヴァル社は比較的規模が大きく、すてきなゲストハウスを持っていました。
シードルやカルヴァドスを使った料理教室やBBQパーティなど、いろいろな用途に使われています。
写真では海がうまくとれませんでしたが、空の半分は海という眺めです。
蒸溜器のレンタル会社があり、必要な時にシードリーに牽引してくるのだそう。
アルコール度数5%前後 リンゴの発泡性ワイン
味わいは甘辛のほか、澱をきれいに取り除いたクリアータイプと少量の澱を残したクラウディタイプ(ボディを強調する狙いで澱を残すケースが多い)、ガス圧の強いものと弱いもの、ブルーベリーやブラックベリーなど他の果実を加えたものなどバラエティが豊富です。また、洋ナシでつくった「ペリー」もシードルと同じ柄製法でつくられ、香りの違いはあるもののよく似たスタイルです。
主な産地はフランス北部のノルマンディー地方やブルターニュ地方、イングランド南部(英国では「サイダー」と呼ばれる)です。スペインでは「シドラ」、ドイツでは「アプフェルヴァイン」と呼ばれ製造されているほか、ロシアや北米にもあります。
こちらはアメリカはオレゴン州ポートランドのシードル「2TOWNS」。創業者は趣味でビールづくりをしていたそうで、友人の結婚式にビールを提供したのが縁で、一緒にシードルをつくるメーカーを立ち上げたそう。オレゴン特産のフルーツを加えて、おいしくまとめていました。
こうした動きは英国で先行して始まり、刺激されたフランスの産地も開発に乗り出して、プレミアムクラスが広まったと言われます。
またアメリカではクラフトビールのブルワリーが、ビールの醸造設備を利用して、独自性を追求したシードルを発売する例が目立ちます。アメリカでは「シードル」ではなく「ハードサイダー」と呼ばれることが多いようです。
日本でもワイナリー&ブルワリーが注目
一方で個性的なシードルが増え、バラエティは豊富になります。推進役は零細なワイナリーです。醸造所の稼働率を上げるためにも、ブドウより長い期間醸造できるシードルに注目しています。オリジナル商品を開発したいリンゴ農家からの委託醸造にも積極的で、同様に料飲店や酒販店が委託醸造するケースも散見されます。
さらに独自に酒造免許を取得するリンゴ農家も、青森、長野、北海道などで増えています。
※記事の情報は2018年5月8日時点のものです。
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