ヤンマー×沢の鶴の目指す酒造りとは? コラボ日本酒の第2弾を飲んでみた。

灘の老舗酒蔵「沢の鶴」と農機具大手の「ヤンマー」がタッグを組んで造った日本酒の第2弾が新発売。アップデートされた味わいはいかに?

ライター:青田俊一青田俊一
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ヤンマー×沢の鶴のコラボ日本酒第2弾「X02」

灘の老舗酒蔵の沢の鶴、農機具のヤンマー、この業種の異なる2社が酒造りでコラボしているという話は以前の記事(ヤンマー×沢の鶴のコラボ!大阪で採れたハチミツを使った梅酒を飲んでみた。)にてご紹介させていただきましたが、今回はそのコラボで生まれた日本酒の第2弾が発売になったということでご紹介したいと思います。
沢の鶴 X02
今回ご紹介するのは「沢の鶴 X02(エックスゼロツー)」。昨年発売された「沢の鶴 X01」の第2弾です。

X01、X02の一番の特徴は、ヤンマーと沢の鶴で新たに開発した酒米を使っているところ。そもそもなぜこの2社が酒米を開発することに至ったのかは、前回の記事でも説明しましたがさらっとご説明すると、“米を生かし、米を吟味し、米にこだわる”という理念のもと新たな製品の開発を検討していた沢の鶴、日本の農業が抱えている問題を打開すべく海外で人気となっている日本酒の原料である酒米生産に着目したヤンマー、この2社の目的が一致したことで始まったのがこの“酒米プロジェクト”です。

X02は2年におよぶ研究・試験で最も評価の高い1品種に絞り込んだ、まったく新しい酒米を使用しているそうです。目指しているのは山田錦に並ぶ新たな酒米。酒米の王様とも呼ばれる山田錦は非常に香味が良く、鑑評会の常連品種となっています。しかしながらその背の高さから、稲が倒れやすく栽培が難しい品種でもあります。この課題を解決するため、何万種類にもおよぶ米の種子の中から、ヤンマーが研究・選択・栽培し、沢の鶴が試験醸造を行いフィードバックするという一連の流れを何度も繰り返し、酒造りに適した米に進化したのがこの「X02」だそうです。また、栽培にはドローンを利用したリモートセンシングが導入されるなどヤンマーの最新技術の粋を集めた産物、果たしてどんな味の日本酒に仕上がるのか。というわけで、お楽しみの試飲タイムにいってみましょう。

飲んでみた。

沢の鶴 X02
試飲の前にまず目を引くのはボトルのデザイン。言われないと中身が日本酒だと分からないかもしれません。前回は黒を基調にしたシックなデザインでしたが、今回は一転、白を貴重にしたまるで化粧品のようなデザインです。専用のカートンにも入っているので贈り物にも嬉しい仕様ですね。またラベルに印刷されているQRコードを読み取ることでトレーサビリティーの記載されたWEBサイトを見ることができるとのことで、この酒米に対する思いの強さを感じます。

それでは、いよいよ試飲のお時間です。注ぐとグラスから甘い香りが立ち上がります。X01より少し香りが強くなったように感じます。口に含むと米の旨みが口の中に広がります。X01も米の旨みをしっかりと感じるタイプでしたが、こちらはさらに米の旨み、そして甘みが強くなったように感じます。スペックが純米大吟醸ということで、香りが立ち過ぎていたり、旨みが強過ぎたりで食事の邪魔をしてしまうケースもままあるのでそのあたりを懸念していましたが、こちらはバランスがとても良く食中酒としても真価を発揮しそうです。上手く伝えるのが難しいのですが、確かにいままでの酒米とは何か違うような印象を受けます。

2社の技術を結集した日本酒、ぜひ1度体験していただきたい味わいです。気になるお値段は180mlで1,500円(税別)と、家飲みで毎日楽しむにはまだまだ難しい価格帯。今後の展開としては、いずれはレギュラー酒でも使えるよう量産できるようにしたいという構想もありそうなので、家飲みで日常的に楽しめる日が来るのを期待したいところです。
 

沢の鶴 X02【商品概要】

  • 産地:兵庫県
  • アルコール度数:15.5%
  • 原材料:米、米麹
  • 容器 / 容量:瓶/ 180ml、720ml
  • 参考小売価格: 1,500円(180ml) / 5,000円(720ml) ともに税別
  • 製造元:沢の鶴
※記事の情報は2019年3月25日時点のものです。
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